=== クロエ & オルテンシア === --- C --- [オルテンシア] むむ… むむむむむ…! [クロエ] どうされたんですか、 オルテンシア王女。 [オルテンシア] わかる。 わかるわ。 [オルテンシア] クロエにはあたしに足りてない魅力がある! [クロエ] 魅力? [オルテンシア] そう、それは母性… すべてを優しく包み込むような力… [オルテンシア] ずるいずるい! 可愛さなら負けないけど、母性って何よ! [オルテンシア] そりゃ何年かたてばあたしにだって 母性の一つや二つくらい生まれるに違いないわ! [オルテンシア] でも、あたしは今、負けてるのが嫌なの! [クロエ] は、はあ… [オルテンシア] ということでクロエ。 これからは暫く、あたしと仲良くしなさい。 [オルテンシア] あなたから母性という母性を引きずり出し、 すべて学んで、モノにしてみせるわ! [クロエ] よくわかりませんが、構いませんよ。 [クロエ] オルテンシア王女のような愛らしい方が わたしのことを慕ってくださるなんて光栄です。 [オルテンシア] そ、そう? [オルテンシア] 急なお願いだったから嫌じゃなかった? 割と一方的なアレだったし… [クロエ] 全然、構いませんよ。 これからよろしくお願いしますね。 [オルテンシア] …なんだかすでに、 クロエの母性に包み込まれてる気がするわ。 --- B --- [オルテンシア] 母性とはすべてを優しく包み込む力! 人を惹きつける魔性の魅力! [オルテンシア] 頭ではわかってるけど、 具体的にどうすれば得ることができるのか… [オルテンシア] クロエに密着して なんとしてでも学んでみせるわよ。 [クロエ] わたしがお役に立てるなら光栄です。 頑張ってください、オルテンシア王女。 [クロエ] あ、でもその前にちょっとだけ… [クロエ] この手ぬぐいで、 オルテンシア王女の口元をきゅっきゅ… [オルテンシア] ん… 汚れてた? [クロエ] はい。これでもう大丈夫です。 かわいいお顔がさらにかわいくなりましたよ。 [オルテンシア] えへへ。 ありがとう、クロエ! [オルテンシア] ………… [オルテンシア] …はっ!? [オルテンシア] もしかして、今のが母性!? [オルテンシア] あたし、なんの警戒心も抱かず、 安心して自然と身をゆだねてしまった… [オルテンシア] 口を拭かれてるときも、 とても心地が良かった… [クロエ] そうですか。 なら良かったです。 [オルテンシア] ふふふ…まったく。 油断も隙もないわね。 [オルテンシア] ま、気を取り直してクロエへの密着を 続けるわよ! [クロエ] はい、お水をどうぞ。 [オルテンシア] へあ? なんで? [クロエ] たくさんおしゃべりしたから喉が渇いたのでは? それに、今日はちょっぴり暑いですし。 [オルテンシア] わあ、ありがとう! [オルテンシア] ごくごく… [オルテンシア] …はっ!? [オルテンシア] またしても母性に飲み込まれたわ! 恐ろしい…おそろしいわ、クロエ! --- A --- [オルテンシア] あっ、クロエ… [クロエ] こんにちは、オルテンシア王女。 [オルテンシア] う、うん… じゃあね… [クロエ] あの、オルテンシア王女。 [オルテンシア] な、なにかしら? [クロエ] 気のせいかもしれませんが なんだか、わたしを避けていませんか? [オルテンシア] …やっぱりバレちゃうわよね。 [クロエ] わたし、何か失礼なことをしてしまいましたか? よろしければ、理由を教えて欲しいです。 [オルテンシア] ………… [オルテンシア] だって、クロエの近くにいると、 嫌でも自分に足りないものを意識しちゃうんだもん。 [オルテンシア] 甘えたくなる母性とか、大人の魅力とか、 全部、今のあたしにはないもの… [オルテンシア] それを意識したくないから クロエのこと、少し避けてたの。 [クロエ] そうだったんですか… 理由を話してくださって、ありがとうございます。 [クロエ] でもわたしは、もっとオルテンシア王女と 仲良くしたいです。 [オルテンシア] え…? [クロエ] 人がそれぞれ違うのは当たり前のことです。 [クロエ] オルテンシア王女はわたしから母性を学びたいと 仰ってくださいましたが… [クロエ] 逆に、オルテンシア王女にあって わたしにないものだってたくさんあります。 [クロエ] わたしだって、オルテンシア王女の魅力を もっと学びたいと思っているんですから。 [オルテンシア] …クロエ。 [オルテンシア] う、うわーん! そんな風に言ってくれて あたしとっても嬉しい! [オルテンシア] ごめんなさい、クロエ…! あたし、もうあなたを避けないわ。 [オルテンシア] これからはもっとたくさん一緒にいましょ。 お互い学び合って、高め合うのよ! [クロエ] ええ、嬉しいです。 王女の可愛さ、たくさん見せてもらいますね。 [オルテンシア] あたしだってクロエの魅力をいっぱいモノにして 誰よりも素敵になってみせるんだから…! [クロエ] ふふ。 オルテンシア王女なら必ずなれますよ。 [クロエ] その前に、鼻水を拭いておきましょうね。 きゅっきゅ。 [オルテンシア] ありがとう、クロエ! [オルテンシア] …えっ、鼻水出てた!? --- S ---