=== シトリニカ & メリン === --- C --- [シトリニカ] メリン、あなたってかっこいいわね。 隣で戦う姿を見て、つくづくそう思ったわ。 [メリン] かっこいいだなんて… ンッフフ。困るよ、そんな本当のこと。 [メリン] ちなみに、どういうところがかっこよかった? 参考までに聞かせてもらえないかな。 [シトリニカ] そうねぇ… [シトリニカ] やはり恐れることなく敵に挑んだところかしら。 勇敢な騎士に見えたわ。 [メリン] 騎士か…悪くない響きだよ… 他には? [シトリニカ] まあ、もっと言ってほしいの? [メリン] 僕はかっこよさを追求しているから、 他人の目が気になってしまうんだよ。 [シトリニカ] すこし意外だわ。 [シトリニカ] 絵画のような美女のあなたが、 そんなことを気にしていたなんて。 [メリン] ふっ…気にするさ。戦場では、 ちょっとした気の緩みが命取りになるからね。 [メリン] ああ、ここでの命取りというのは、 かっこ悪いところを見せるという意味での命取りだ。 [メリン] いつも努力を怠らないようにして、 この印象を維持しないといけないからね。 [シトリニカ] そうなの… 戦場でまで気を遣うのは、大変そうね。 [メリン] おっと。そろそろ行かないと。 鍛錬を怠ってはいけない。 [メリン] シトリニカ、話ができて嬉しかったよ。 ありがとう。 [シトリニカ] ええ。 鍛錬、頑張っていらして。 --- B --- [メリン] わわ! すごーい! 珍獣だ! 絶滅危惧種のブロディアアカツバメ! [メリン] わーい! 待て待てーっ! かわいいなぁ…君は本当に奇跡の存在だよ… [メリン] あっ! あれはイルシオンアホウドリ!? こんなところを飛ぶんだねー! [メリン] これからどこに行くんだーい! 僕も連れていってよーっ!! [シトリニカ] あの…メリン? 何をしているの? [メリン] !? [メリン] ………… [メリン] …見てた? 今の僕… [シトリニカ] ええ。しっかりと。 [シトリニカ] 幼い頃に見た、 お屋敷に招かれた道化師のようだったわ。 [メリン] ………… [メリン] そ、そう…そうなんだ… 実は今度…演劇をやることになってね… [シトリニカ] まあ、演劇を? [メリン] 小劇場の舞台なんだけどね。 僕はまさに道化師の役で… [シトリニカ] そうだったのね。 びっくりしたわ… [メリン] で、でしょう? 僕の印象がけっこう違ったから… [メリン] 大変なんだよ… 道化師の役を演じるのはね… [シトリニカ] その舞台はいつ? 見に行かせていただくわ。 [メリン] えっ? [メリン] い、いつだろう? ちょっとわからないなぁ… [メリン] なんか、中止になるっていう噂も… あったような… [シトリニカ] そうなの? もし資金が足りないのなら、 わたしに援助をさせて。 [メリン] だ、大丈夫! お金じゃないんだ。 演じる人の都合…とかだから。 [シトリニカ] そう…ぜひ見にいきたいから、 日にちが決まったら教えてちょうだいね。 [メリン] わ、わかった… そうするよ… --- A --- [メリン] シトリニカ! [シトリニカ] あら、メリン。 舞台の日にちが決まったの? [メリン] そのことなんだけど… ごめんなさい! 舞台の話は嘘なんだ! [シトリニカ] まあ、どういうことかしら。 [メリン] 僕、珍獣が大好きで…あのときは、 我を忘れて珍獣を追いかけていたんだ。 [メリン] でも、そこに君がきてしまって… つい嘘を。 [シトリニカ] よくわからないわ… どうして嘘なんか? [メリン] 君は僕をかっこいいと言ってくれた。 でも、あんな姿を見たら失望してしまうかもって… [メリン] かっこいい僕以外を、 見てほしくなかったんだ。 [シトリニカ] …そういうことだったのね。 [メリン] 本当にごめん。もう絶対に嘘はつかないし、 もうあんな見苦しい姿は見せないから… [シトリニカ] メリン、心配しないで。 [シトリニカ] わたしは失望していないし、 見苦しいなんて思ってないわ。 [シトリニカ] むしろ、素顔のあなたを見られて、 とってもうれしかったの。 [メリン] え…? [シトリニカ] だって、メリンの別の魅力を 発見できたのだもの。 [メリン] 別の魅力? [シトリニカ] いつもはかっこいいあなたが、はしゃぐ姿。 言葉にできないぐらいかわいかったわ。 [メリン] シトリニカ… [シトリニカ] ねえ、メリン。ブロディアにある、 珍獣がたくさんいる森はご存じ? [メリン] ああ、聞いたことがあるよ。 王族の私有地だっけ? [シトリニカ] 戦争が終わったら、一緒に行かない? そこを貸し切って二人で探検するの。 [シトリニカ] 専門家や学者を連れていくのもいいわね。 ほら、新種が見つかるかもしれないし。 [メリン] ちょ、ちょっと待って。そんなの大変だよ。 お金がかかりそうだし… [シトリニカ] ちっとも大変じゃないわ。 だってその私有地は、わたしの親戚のものだから。 [メリン] もしかして… シトリニカって王族の親戚? [シトリニカ] ええ。だから何の心配もしないでね。 誰も見ていない珍獣の森で、好きなようにはしゃいで。 [シトリニカ] 人の目を気にすることなく、 また飾らない姿を見せてほしいの。 [メリン] シトリニカ… ありがとう、感激だ。 [メリン] すごく楽しみにしているよ。 その時は、きちんとお礼もするから。 [シトリニカ] お礼なら、珍獣のことをたくさん教えてほしいわ。 わたしの珍獣博士。 [メリン] ンッフフ。それ、いい名前。 わかった。お安いご用さ! --- S ---