=== シトリニカ & ヴェイル === --- C --- [シトリニカ] ………… [ヴェイル] な、なあに? わたしのこと、じーっと見て。 [シトリニカ] 少し気になってしまって… [ヴェイル] 気になる? [シトリニカ] …質素。 [ヴェイル] え? [シトリニカ] ヴェイル王女は王族なのに、 宝石なども身に着けておられませんわ。 [シトリニカ] 何だか…質素です。 [ヴェイル] べ、別にいいでしょ。 わたし、そういうものには縁がなかったの。 [シトリニカ] そうですね。 それは理解しています。 [シトリニカ] ですが、なんと言いますか… 王族らしい煌びやかなヴェイル王女も見たいなと。 [ヴェイル] うう…悪かったわね。地味で。 [シトリニカ] 申し訳ありません、ヴェイル王女。 ご気分を害されたのでしたら謝ります。 [シトリニカ] ですが、ご安心ください。 わたしにすべて、お任せを。 [ヴェイル] お任せをって… どういうこと? [シトリニカ] うーん… まずはやはり着るものからかしら。 [シトリニカ] けれど、雰囲気を変えるには、 生活から変えるのが一番ともいうし… [シトリニカ] [ヴェイル] …行っちゃった。 な、なんだったの? --- B --- [ヴェイル] すっごい派手なドレス… 見たこともない宝石がごろごろついてる… [シトリニカ] ヴェイル王女。 お気に召しましたでしょうか? [ヴェイル] お気に召したも何も… こんな高価なもの、もらえないよ。 [シトリニカ] それは残念です。 とてもお似合いだと思ったのですけど。 [ヴェイル] それにこの…土地の権利書ってどういうこと? 砂浜が綺麗な無人島って… [シトリニカ] 別荘つきです。 そこでなら優雅に過ごせるかと思いまして。 [ヴェイル] 気持ちは嬉しいけど… もらえるわけないじゃない。 [シトリニカ] では、こちらの王冠だけでも。 ヴェイル王女のために特別に作らせた一品です。 [ヴェイル] わあ、きれーい! [ヴェイル] …って、ダメ! こっちも要らないから! [シトリニカ] そんな… どうか受け取って欲しいです。 [シトリニカ] わたしのためにも。 [ヴェイル] シトリニカのため? それってどういうこと? [ヴェイル] …はっ!? [ヴェイル] わたし、知ってる… [ヴェイル] これって贈り物じゃなくて… 供え物だ。 [ヴェイル] イルシオン信徒が自分の欲望を叶えてもらおうと 延々と高価な供え物を送ってた… [ヴェイル] …あの光景とまったく同じ。 [シトリニカ] ヴェイル王女? [ヴェイル] シトリニカ。 わたしはあなたからは何も受け取らない。 [ヴェイル] …残念よ。 [ヴェイル] 叶うのならあなたとも、 お友達になりたかったのに… [ヴェイル] [シトリニカ] ヴェイル王女… --- A --- [シトリニカ] ヴェイル王女。 [ヴェイル] シトリニカ… [シトリニカ] わたしもヴェイル王女と お友達になりたいと思っています。 [シトリニカ] ですが、方法を間違えてしまったようですね。 申し訳ありませんでした。 [ヴェイル] ………… [ヴェイル] 謝罪を受け入れる前に、ひとつだけ聞かせて。 [ヴェイル] 自分のためにも贈り物を受け取って欲しい、 あれってどういう意味だったの? [シトリニカ] …好きなのです。 [シトリニカ] 友人が喜んでいる顔を見ることが。 [ヴェイル] えっ… [シトリニカ] だから、わたしのためにも受け取って欲しい、 そうお伝えしました。 [ヴェイル] あの贈り物は供え物じゃなくて… 本心からわたしのために… [シトリニカ] はい。 嘘偽りなく。 [シトリニカ] 王女に見合う贈り物をすれば、 喜んでいただけると思ったのですが… [ヴェイル] …ごめんね、シトリニカ。 わたし、誤解してたよ。 [ヴェイル] でも、今からでも遅くないよね。 [シトリニカ] もちろんです、ヴェイル王女。 無人島の権利書はまだここにありますわ。 [ヴェイル] そ、そうじゃなくて! 高価な贈り物はもういいの! [ヴェイル] その…今からでも… お友だちになれるよね? [シトリニカ] ヴェイル王女… [シトリニカ] はい。 もちろんなれるに決まってますわ。 [シトリニカ] わたしはもう思っていました。 ヴェイル王女はわたしの大切な友人だと。 [ヴェイル] うふふ… その言葉、どんな高価な贈り物より嬉しいよ。 [ヴェイル] ありがとう、シトリニカ。 --- S ---