=== シトリニカ & ゼルコバ === --- C --- [ゼルコバ] うぅ…くそっ…これから… 俺はどうやって「生きて」いけばいいんだ… [シトリニカ] ゼルコバ…何かあったの? よかったら話を聞くわよ。 [ゼルコバ] 「気持ち」は嬉しい。 しかし…「理解」してもらえるかどうか… [シトリニカ] 言ってみなければ理解もできないわ。 話してみてちょうだい。 [ゼルコバ] ………… [ゼルコバ] 実は…趣味が一つ、 「終わって」しまったのだ。 [シトリニカ] まあ。趣味が悩みだったの? わたしはもっと深刻なものかと… [ゼルコバ] 「そう」思って「当然」だ。 しかし俺にとっての趣味は「一大事」なのだ。 [シトリニカ] わ、わかったわ。ごめんなさい。 続きを話してもらえる? [ゼルコバ] …俺は、「小鳥」を飼っていた。 [ゼルコバ] 雛のときに「親」に見捨てられ、 「飛び方」すら知らなかった… [ゼルコバ] 俺はそんな小鳥の「親」となり、 毎日のように飛び方を教えた。 [シトリニカ] 小鳥を? 素敵だわ。 [ゼルコバ] しかし、小鳥は「さっき」、 俺の前から「姿」を「消した」… [シトリニカ] 逃げてしまったの? [ゼルコバ] いや、「巣立ち」だ… 飛んで行ったんだ、力強く…「大空」へと… [シトリニカ] 巣立ち…それなら、 いいことなのではないかしら。 [ゼルコバ] ああ。小鳥が「自分の力」で飛び立てるように… 俺は「飛び方」を教えた。 [ゼルコバ] だから、「飛び去って行く」ことは 「喜ばしい」ことなのに… [ゼルコバ] 今の俺の胸にあるのは、 埋めがたい「喪失感」だ… [ゼルコバ] シトリニカ… お前にこの「悩み」を解決できるか? [シトリニカ] うーん。似たような小鳥を買ってくる? もしくは大規模な捜索隊を雇って、連れ戻すとか。 [ゼルコバ] 「それ」はちょっと… [シトリニカ] なら、聞いておいて申し訳ないのだけれど… わたしに解決は難しそうね。 [ゼルコバ] そうか…では「自分」で何とかする。 「時間」をとらせたな。 [シトリニカ] いいえ。 お役に立てなくてごめんなさい。 --- B --- [シトリニカ] ゼルコバ、その後はどう? [ゼルコバ] あぁ…他の「趣味」に没頭しているが、 小鳥の「喪失感」は埋められない… [シトリニカ] そう。残念ね。 [シトリニカ] そんなときに申し訳ないのだけれど、 ちょっとこれを手伝ってもらえないかしら。 [ゼルコバ] 手伝う? 「何」を? [シトリニカ] これよ。読んでみて? [ゼルコバ] 「働きたがらない息子を説得してほしい」 [ゼルコバ] 「恋人に振られて落ち込んでいるので、 励ましてください」 [ゼルコバ] 「これ」は? [シトリニカ] わたしの国で困っている、 若い人たちの一覧表よ。 [ゼルコバ] …どうして「こんなもの」を? [シトリニカ] わたしはときどき、王室の手伝いで 困っている人たちの悩み相談に乗っているの。 [シトリニカ] 今回は人数が多いから、 あなたにも手伝ってほしくて。 [ゼルコバ] シトリニカ…お前は「優しい」な。 [シトリニカ] えっ? [ゼルコバ] こうすることで、俺が悩み相談に「没頭」し、 「喪失感」を忘れられるかも… [ゼルコバ] 「そう」思ってくれたのだろう? [シトリニカ] ふふ、買い被りすぎよ。 そこまで考えていなかったわ。 [シトリニカ] とにかく、その中から助けられそうな人を選んで 手紙を書いてあげて。 [シトリニカ] みんな、大人の助言を待ち望んでいるわ。 [ゼルコバ] ………… [ゼルコバ] わかった。 「さっそく」取りかかってみよう。 --- A --- [シトリニカ] 聞いたわよ、ゼルコバ。 [シトリニカ] あなた、あの一覧表の全員の悩み相談に 乗ってあげたそうね。 [ゼルコバ] ああ。「片っ端」からな。 [シトリニカ] すごいじゃない。 みんな、あなたに感謝していたわ。 [ゼルコバ] それはよかった。 だが、俺の「喪失感」は相変わらずだ。 [シトリニカ] そう… [ゼルコバ] だが、「気持ち」はずいぶん「前向き」になった。 [シトリニカ] 本当? [ゼルコバ] 一人一人の「悩み」相談に乗りながら、 「思った」んだ。 [ゼルコバ] 彼らもまた、「飛び方」を知らないだけ… [ゼルコバ] 俺が「飛び方」さえ教えてやれば きっと「自分の力」で飛んでいく… [ゼルコバ] 「俺の小鳥」のように… [ゼルコバ] ………… [ゼルコバ] そんなことを「思い」ながら、 俺は彼らへの「助言」の手紙を書いたんだ。 [シトリニカ] …そう。 [ゼルコバ] シトリニカ、「感謝」している。 [シトリニカ] 何がかしら? 手伝ってもらって、お礼を言うのはわたしのほうよ。 [ゼルコバ] お前は俺の気持ちが「前向き」になると見越して、 「手伝い」をさせただろう。 [シトリニカ] うふふ… なんのことかしらね。 [ゼルコバ] ふっ、お前は素晴らしい人間だ。 心からそう思う。 [ゼルコバ] さてと。そろそろ俺は「行く」。 次に「没頭」できるものを探さないとな。 [シトリニカ] きっとまた素敵な出会いがあるわ。 心から祈ってる。 [ゼルコバ] ありがとう。 [ゼルコバ] …そうだ。 行く前に「一つだけ」言わせてくれ。 [シトリニカ] なにかしら? [ゼルコバ] 今や…お前との友情は、俺の生きがいの一つだ。 またゆっくり、「話」をしよう。 [シトリニカ] …ふふ。ありがとう。わたしもよ。 楽しみにしているわ。 --- S ---