=== ディアマンド & カゲツ === --- C --- [カゲツ] ディアマンド王子! 余と手合わせ願おう! [ディアマンド] ほう、手合わせか。 それは面白そうだな。 [ディアマンド] カゲツと戦う機会など なかなかあるものではない。 [カゲツ] おお、話が早くて助かるのう! [ディアマンド] 私も体を鍛えるのは大好きだからな。 [ディアマンド] 走り込みで山を三つほど越えてきたところだ。 手合わせで締め括れるとは嬉しいぞ。 [カゲツ] 山を…三つも… [ディアマンド] カゲツ。 お手並み拝見といこうではないか。 [カゲツ] ………… [カゲツ] 手合わせは中止じゃ。 [ディアマンド] なんだと。 私と戦いたかったのではないのか? [カゲツ] 余はディアマンド王子と戦うのを楽しみにしていた。 でも、完璧な状態でなければ意味がないのじゃ。 [カゲツ] 疲弊している相手を倒したところで、 余は満足できぬ。 [ディアマンド] 勝てば官軍という言葉もある… 気にせず勝負しようではないか。 [カゲツ] それはならぬ。 [カゲツ] 余の故郷では何より名誉を重んじる。 結果だけではなく、どう勝ったかが重要じゃ。 [カゲツ] 勝つも負けるも、潔く。 正々堂々と。 [カゲツ] 桜のように美しく咲き、 そして散るのが余の故郷の考え方じゃ! [ディアマンド] なるほど、見上げた考え方だ。 そういうことであれば今日の手合わせは中止だ。 [カゲツ] 理解してくれてありがたい。 こちらから誘っておいてすまないのう。 [ディアマンド] 次は万全な状態で会うと約束しよう。 そのときは全力で勝負だ。 [カゲツ] うむ! 最高の手合わせをしようではないか! --- B --- [カゲツ] はぁ…はぁ… さすがはディアマンド王子… [カゲツ] 聞きしにまさる…実力じゃ…! [ディアマンド] くっ… そちらもなかなか…やるではないか… [ディアマンド] 全力でやらなければ、 すでに負けていたに違いない。 [ディアマンド] それでどうする? まだやるか? [カゲツ] これ以上やればどちらかが倒れることになる。 力戦奮闘できて、余はもう満足じゃ。 [ディアマンド] 同感だ。 いい鍛錬になった。 [カゲツ] 手合わせ感謝する。 時間を取らせて申し訳なかったのう。 [ディアマンド] 何を言っている。 近いうちに再戦しようではないか。 [カゲツ] …よいのか? [ディアマンド] 引き分けのままで終わらせるわけには いかないだろう。 [ディアマンド] だが、次はこうはいかんぞ。 [ディアマンド] ブロディア王国第一王子の威信にかけ、 カゲツに参ったと言わせてみせよう。 [カゲツ] それはこちらの台詞じゃ。 余はこの刀に懸けて必ずや勝利してみせる! [ディアマンド] 恐ろしいほどに研ぎ澄まされた、 素晴らしい刀だな。 [カゲツ] 刀は戦う者の魂じゃからな。 手入れは毎日欠かさずおこなっておる。 [カゲツ] ディアマンド王子の剣も素晴らしい。 力強く威厳を感じる代物じゃ。 [ディアマンド] ブロディアは力を重視する国だからな。 この剣はその象徴でもある。 [ディアマンド] カゲツと同じで、私にとっても この剣はただの武器ではない。 [カゲツ] 生まれた国は遠く離れていても、 得物に対する思いは同じか… [ディアマンド] 一度刃を交えるだけで、 ここまで分かり合えるとはな。 [カゲツ] 言葉にするより確実じゃ。 次の手合わせ、楽しみにしておるぞ。 --- A --- [ディアマンド] はぁ…はぁ… まさか、今日も引き分けとはな… [カゲツ] 以前よりも強くなっておるとは… 今日こそ降参させようと思ったのじゃが… [ディアマンド] そちらこそ… どれだけ腕を磨いてきたんだ。 [カゲツ] 強者と戦うのはいい経験になる。 ディアマンド王子のおかげじゃ。 [ディアマンド] 私に手合わせを挑んできたのは、 そうやって強くなるためだったのか? [カゲツ] それもあるが… 強くなるためだけではない。 [カゲツ] 余がディアマンド王子との手合わせを願ったのは、 世界を知るためじゃ。 [ディアマンド] 世界を知るため…? [カゲツ] 世界には余の知らぬことが山ほどある。 独特の文化、趣向、考え方も全く違う。 [カゲツ] あるいはこの前の得物の話のように、 遠く離れていても同じ考えのこともある。 [カゲツ] 一度刃を交えれば、そういったことが 語り合う以上に理解を深めることができるんじゃ。 [カゲツ] 余はそれが楽しくて、 四荒八極で強者に戦いを挑んでおるのだ。 [ディアマンド] なるほど… そういうことだったのか。 [ディアマンド] カゲツが羨ましい。私は立場上、 気ままに世界を旅することなどできないからな。 [カゲツ] ならば余が旅してきた国のことを話してやろう。 そうすれば世界を見てきたのと同じことじゃ。 [ディアマンド] それはいい… どんな話が聴けるか楽しみだ。 [ディアマンド] す、すまん… [カゲツ] はははっ…よいよい。 手合わせをしたあとは腹が減るものだ。 [カゲツ] ほれ、こいつをやろう。 おにぎりだ。美味いぞ。 [ディアマンド] これは… 妙な形をした食べ物だな。 [ディアマンド] もぐっ… こ、これは…非常に酸っぱいぞ… [カゲツ] 梅の塩漬けを日干しにしたものが入っておる。 疲れた体に効くじゃろう? [ディアマンド] 酸っぱいが、美味い。 これは癖になりそうだ。 [カゲツ] これもディアマンド王子が知らぬ世界じゃ。 [ディアマンド] 鍛錬をして話を聴くだけではなく、 共に食事をするのも楽しそうだな。 --- S ---