=== エーティエ & フォガート === --- C --- [フォガート] うーん。 どうしようかなぁ… [エーティエ] どうされたのですか、フォガート王子? [フォガート] 次の宴を計画してるんだけど、 全然、いい案が浮かばなくて。 [フォガート] みんなの気分が晴れ晴れするようなものにしたい… でも、これがなかなか難しいんだ。 [エーティエ] 難しい、とは? [フォガート] 状況が状況だから、楽団なんかに きてもらうというのも大変そうだし。 [フォガート] 物資も限られてるから新しいことを試して 失敗するわけにもいかないし… [エーティエ] ふむ。そう考えると、確かに。 [フォガート] あ、お菓子を食べる会なんてどうだろう? みんなで集まって甘いものを食べるんだ。 [エーティエ] お菓子は…あたくしの敵ですわ。 [フォガート] エーティエはお菓子が嫌い? [エーティエ] 嫌いではないですが、筋肉を愛する者にとって、 余分な肉の増加は許せませんので。 [エーティエ] それより、鍛錬の会なんて如何です? [フォガート] それって、何をするの? [エーティエ] みんなで集まって、 ひたすら筋肉鍛錬をするのです。 [フォガート] いやぁ…どうかなぁ… そういうのは人を選んじゃうから、難しい気がするなぁ… [エーティエ] そうですか… [フォガート] 他にも何か考えてみるよ。 ありがとう、エーティエ! --- B --- [エーティエ] フォガート王子。 宴の件は、いい案は出ましたか? [フォガート] それが難航してて… [フォガート] 肉を食べる会もいいかなと思ったけど、 肉は結構、食事に出るし… [フォガート] 逆に野菜を食べる会にしたら、 体を動かす俺たちには、野菜だけでは物足りない。 [フォガート] おいしい飲み物をいただく会もいいかもって思ったけど、 どうせやるなら何か食べたいし。 [フォガート] はぁ… まったく決まらないよー…! [エーティエ] でしたら、筋肉増強剤の会なんてどうです? [フォガート] それって… エーティエがよく飲んでる飲み物? [エーティエ] そうですわ。筋肉鍛錬の愛好者に好まれる、 あの究極の逸品です。 [フォガート] いやいやいや、それこそないよ。 [エーティエ] どうしてですの? [フォガート] どうしてって、筋肉増強剤だよ? つまり薬でしょ? おいしくないんじゃ… [エーティエ] 口にされたことはあるのですか? [フォガート] いや、ないけど… [エーティエ] ご経験がないのに、 あり得ないと決めつけるのですか? [フォガート] ! わ、わかった。ごめん。 偏見で判断しようとしたのは認める。 [フォガート] でも、みんなで集まって筋肉増強剤を 口にするだけだろ? [エーティエ] ふふっ、フォガート王子。 まだまだですわね。 [エーティエ] あたくしたちが毎日おいしくもない筋肉増強剤を 口に入れて満たされているとお思いで? [フォガート] …ち、違うの? [エーティエ] 少し時間をくださいな。 このあたくしに、名案がございますの。 [フォガート] わかった。 楽しみに待ってるよ。 --- A --- [エーティエ] ようこそおいでくださいました、 フォガート王子。 [エーティエ] 今日は筋肉増強剤が秘める無限の可能性を たっぷりと味わっていただこうと思いますわ。 [エーティエ] 召し上がっていただきたいのは、これです。 [フォガート] わあ…! おいしそうな料理だね! [エーティエ] うふふ。この干した果実のケーキも、蜂蜜パイも、 ラクダの乳のムースも、焼き菓子も… [エーティエ] どれも筋肉増強剤を使った 特別料理でございます。 [フォガート] え!? [フォガート] みんな…筋肉増強剤が入ってるの? [エーティエ] ええ、例外なく。 味はご自身の舌でお確かめください。 [フォガート] わかった…いただきます。 [フォガート] ………… [フォガート] こ! これは…おいしい!! 甘さも控えめで…その分、素材の味を楽しめる! [エーティエ] どれも砂糖の代わりに、 甘めの筋肉増強剤を使っています。 [エーティエ] おかげで体重増加を気にすることなく、 筋肉によいものを摂ることができるのです。 [フォガート] いい…いいよ、エーティエ!! 俺の心に突き刺さった! [フォガート] 斬新だよ! 今までにない、まったく新しい宴になる! [エーティエ] それは良かったですわ。 [フォガート] エーティエ、さっそく計画を立てよう! 君も一緒にやってくれるよね? [エーティエ] ええ、もちろん。 ですが、条件があります。 [エーティエ] これからあたくしとソラネル十周走りましょう。 そのあと腕立て千回、腹筋千回。さらに… [フォガート] ちょ…ちょっと待った! どうしてそんなことしなきゃならないの? [エーティエ] 主催者である王子にも体を限界まで追い込んでいただき、 筋肉増強剤を欲する感覚を味わってほしいのです。 [エーティエ] その感覚がわかったとき、王子は心からの愛情を込めて 新たな宴を開催できますわ。 [フォガート] わ、わかった…全ては宴のためだ。 でも最初だし、優しく頼むよ。 [エーティエ] もちろんですわ。死なない程度のギリギリまで、 優しく追い込んで差し上げます。 [フォガート] ひ、ひえぇ…! お手柔らかにーっ! --- S ---