=== フラン & ブシュロン === --- C --- [ブシュロン] うっ…ひっぐ… なんで…なんでこんなことに… [ブシュロン] そんなの…あんまりじゃないか… うう…うおおん…! [フラン] あなた、ブシュロンさんだよね。 [ブシュロン] あ…あんたは… フランだったよな。 [ブシュロン] どうしたんだ…ひっぐ… 俺に…うう…何か用事でも… [フラン] 用事なんかないわ。 [フラン] 大きな泣き声が聞こえたから気になったの。 心配になっちゃって。 [ブシュロン] そ、そうか。心配をかけてすまなかったな。 でもこの通り大丈夫だ。 [フラン] 確かに、ケガとかしてるわけじゃなさそう。 どうしてそんなに泣いてたの? [ブシュロン] この本を読んでいたら、 あまりにも…感動してしまって… [フラン] 本? [ブシュロン] 俺、涙もろすぎるみたいでさ。 感動すると、すぐああなっちゃうんだ。 [フラン] その本ってどんな話なの? [ブシュロン] 幼い頃に戦争で引き離された兄妹が 大人になってから敵と味方に別れて再会する物語なんだ。 [フラン] へぇ… [ブシュロン] 興味があるようなら、 読み終わったあと貸してあげようか? [フラン] 残念だけど遠慮しておくわ。 私、字を読むのが苦手なの。 [ブシュロン] それは残念だな… [ブシュロン] そうだ。 だったら俺が読み聞かせてあげよう。 [フラン] えっ、悪いわよ。 なんだか子供みたいだし… [ブシュロン] 遠慮することないって、 フランもきっと気に入ってくれるはずだ。 [フラン] それならお願いしちゃおうかな。 ブシュロンさん、よろしくお願いね。 --- B --- [ブシュロン] そして、長い戦争が終わり、 二人の兄妹は安らぎを手に入れました… [ブシュロン] めでたしめでたし… [フラン] ………… [フラン] ううっ…うわーん! [フラン] ひっぐ…! よかった…本当によかった…! [ブシュロン] わかる…その気持ちわかるぞ… 俺も思い出し泣きが…! [フラン] うう…正直、中盤のブシュロンさんの思い出し泣きで 話に集中できなかったんだけど… [フラン] それでもすっごい良かったよー! [ブシュロン] そうか! それはよかった! [フラン] ブシュロンさんが感動して号泣する気持ちが とってもよくわかったよ。 [フラン] 本って感動的で面白いものなんだね。 もっと退屈なものだと思ってたけど。 [ブシュロン] 面白い本はもっともっとたくさんあるぞ。 良ければぜひ読んでくれ。 [ブシュロン] 次のおすすめは、あれだ。 士官学校を題材にした物語… [ブシュロン] 重厚な世界観と巧みな心理描写が売りで、 確か今…三十冊ほど出ているな。 [フラン] すっごい巻数あるね。 [ブシュロン] 読んだら感想を語り合おう。 [フラン] う、うーん… 全部自力で読めるかな。 [フラン] かと言って、ブシュロンさんに いつも読んでもらうわけにもいかないし。 [フラン] たくさん字を読むのはやっぱり苦手だから、 感想を語るまでには、ちょっと時間がかかるかも。 [ブシュロン] そ、そうか… [フラン] でも、ありがとう。 ブシュロンさんのおかげで本の面白さがわかった! [ブシュロン] そうか。 そう言ってもらえると俺も嬉しいよ。 --- A --- [ブシュロン] フラン。 プレゼントしたい物があるんだ。 [フラン] え? [ブシュロン] はい、これだよ。 [フラン] …これって、本? また何かのおすすめなの? [ブシュロン] 開いてみてくれ。 [フラン] うん… [フラン] ………… [フラン] え? 何これ。 中身が真っ白で何も書いてない! [ブシュロン] その通り。 [フラン] もー! ブシュロンさん! 私のことバカにしてるの? [ブシュロン] 違う違う。白紙の本を渡したのには ちゃんとした理由があるんだ。 [ブシュロン] その本にはフランが自分で物語を書くんだよ。 [フラン] 私が書く? [ブシュロン] そう。 読むのが苦手なら書いてみるのはどうかなって。 [フラン] 書いてみるって… 私に本が書けるわけないよ。 [ブシュロン] 別に上手く書く必要はない。 日記みたいに使ったっていいんだ。 [ブシュロン] 自分の書いたものなら、 読み直すのも楽なはずだし。 [フラン] ………… [フラン] それじゃあ、この本には ブシュロンさんとの出会いから書こっかな。 [ブシュロン] そんな始まりでいいのか? [フラン] うん! とっても素敵な出会いだったから! [ブシュロン] 出会いって… 俺が大声で泣いていたときだろ? [フラン] そうだよ。今でもはっきりと覚えてる。 あれは忘れようったって忘れられないよ。 [ブシュロン] あはは。 じゃあ、いつかその本を読ませてくれよな。 [フラン] 最後まで書き終わったらね。 [フラン] でも、きっと素敵なお話になると思うな。 ブシュロンさんがまた大泣きしちゃうぐらいに! [ブシュロン] 楽しみにしてるよ、フラン。 --- S ---