=== フラン & クロエ === --- C --- [クロエ] はぁ… 任務がまだ終わりそうにないわね。 [クロエ] これじゃあ、今日はもう間に合わないわ。 [フラン] ソワソワしてどうしたの? もしかして、このあとデートの予定とか? [クロエ] 違うわよ。 珍味の屋台に行きたかったの。 [フラン] 珍味の屋台? [クロエ] ええ。わたしは変わった食材を使った、 珍しい料理が大好きなの。 [クロエ] でもこのご時世だから、 そういうものを出すお店も少なくなってきていて。 [クロエ] 今日はこの近くに屋台が出ると聞いていたから 楽しみにしていたんだけど… [フラン] そういうことだったら、私が行ってこようか? 代わりに買ってきてあげる! [クロエ] いいの? [フラン] 私はそこまで忙しくないし。 散歩がてら、お遣いもいいかなーって。 [クロエ] ありがとう。 じゃあ、お願いしちゃおうかしら。 [フラン] 何を買ってくればいいの? [クロエ] ヘビサンドっていう料理よ。 ヘビの丸焼きをパンで挟んだものなの。 [フラン] …ど、どうしてそんなものを… [クロエ] 珍味は特定の地域に根ざした 食べ物であることが多いの。 [クロエ] 食べた瞬間にその地域の歴史が口の中に広がる… それが珍味の魅力なのよ。 [フラン] な、なるほど… なんとなくわかったような、わからないような… [フラン] でもまぁ、とにかく行ってくるよ。 [クロエ] お金はこれを使ってね。 フランの分も買ってきて、一緒に食べましょう。 --- B --- [フラン] はい。頼まれていたヘビサンドだよ。 召し上がれ。 [クロエ] ありがとう…! それじゃあ、いただくわね。 [クロエ] ………… [クロエ] うん、おいしいわ…! フワフワのパンとカリカリのヘビが絶妙…! [クロエ] 食べた瞬間に風味が口の中に広がって… これは素晴らしいわ… [フラン] よろこんでもらえてよかった。 [クロエ] !? [クロエ] …いいえ、違うわ。 [フラン] え? [クロエ] これ…ほんとにヘビサンド? [フラン] そうだよ。 中にちゃんとヘビが入ってるでしょ? [クロエ] 違うわ。 似てるけど…ヘビじゃない。 [クロエ] これ、ウナギじゃないかしら… [フラン] あーっ! ほんとだ! [フラン] ご、ごめんなさい! 確かに、隣にウナギの出店もあったような! [クロエ] それで間違って買ってきちゃったの? フランったら、おっちょこちょいね。 [フラン] 私、竜の守り人のお仕事も、 いつも失敗しちゃって…本当にごめんなさい。 [クロエ] いいわ。 これはこれでおいしいから。 [クロエ] ほら、フランも食べて。 [フラン] うん、いただきます… [フラン] ! 何これー! こんなにおいしいんだ、ウナギって! [クロエ] わたしもそう思っていたところよ。 こんなにちゃんと味わったのは初めてだわ。新発見よ。 [クロエ] そうだわ。 今度、また別の場所で屋台が出るの。 [クロエ] もしよかったら… またウナギ料理を買ってきてもらえない? [フラン] わかった! 今度こそ、間違えないで買ってくるね! --- A --- [フラン] はい、買ってきたよ。 ウナギの揚げ物。 [クロエ] ありがとう。 ぶつ切りで、食べやすい大きさになっているのね。 [クロエ] ではさっそく、いただくわ。 [フラン] はーい、召し上がれ! [クロエ] うーん、いいわね… 外はサクサク、中は柔らかで… [クロエ] ………… [クロエ] あら? [フラン] どうしたの? ま、まさか… [クロエ] これ、ウナギじゃないわ。 [フラン] あーっ!!!! あっ…ごごご、ごめんなさい!! [クロエ] どうしたの、フラン。 [フラン] 伝票を見たら… これ…虫の揚げ物だった… [クロエ] 虫!? [クロエ] ………… [クロエ] 何て素敵なの! 虫がこんなに美味しいなんて。 [フラン] だ、大丈夫なの!? [クロエ] ? もちろんよ。 あるのは全部食べちゃうわね。 [フラン] …クロエさんって、絶対に怒らないんだね… [クロエ] どうしてフランを怒るの? あなたのおかげで、未知の味を楽しめているのに。 [クロエ] わたしの経験の幅を拡げてくれて、 あなたのおっちょこちょいには感謝してるぐらいよ。 [クロエ] また屋台が出る時には、 お使いをお願いできると嬉しいわ。 [フラン] もちろんだよ! 私が役に立つなら喜んで! [フラン] 次は何を買ってきてほしい? [クロエ] 買ってきてほしいのは… [クロエ] いえ、もう何も言わないことにするわ。 多分また、違うのを買ってきてくれるだろうし。 [クロエ] ここはあなたのおっちょこちょいにお任せするわ。 次はどんな味に出会えるかしらね。 [フラン] あはは、ありがとう! 楽しみに待っててね、クロエさん! --- S ---