=== アイビー & オルテンシア === --- C --- [アイビー] オルテンシア… [オルテンシア] どうしたの、お姉様? あたしの可愛いお顔に釘付け? [アイビー] ふふっ… 嬉しいのよ… [アイビー] お互いに色々とあったけれど… 無事にこうして同じ場所に立てて… [アイビー] 貴方は私の大切な家族だから。 [オルテンシア] 家族か。 腹違いの姉妹、だけどね。 [アイビー] そんなこと関係ないわ… 貴方は私の、たった一人の妹。 [アイビー] 誰よりも大切な妹よ。 [オルテンシア] な、なんか改めてそう言われると、 すっごく恥ずかしいんだけど… [オルテンシア] でも、あたしもおんなじ気持ちよ。 ありがとう、お姉様。 [アイビー] その笑顔… 貴方のお母様にそっくり… [アイビー] 日に日に似てきているわね。 [オルテンシア] ほんとに? あたし、お母様に似てきてる? [オルテンシア] それ、すごく嬉しいな… [オルテンシア] こうやってあたしがお姉様の妹でいられるのは、 お母様のお陰だから… [アイビー] ………… [オルテンシア] あ、別に勘違いしないでね? あたしは恨み言を言うつもりなんて… [アイビー] ええ、もちろんわかっているわ… [アイビー] でも、ごめんなさい… 私の母のせいで、オルテンシアたちは… [オルテンシア] よ、用事を思い出しちゃった! ごめんね、お姉様! [オルテンシア] [アイビー] オルテンシア… --- B --- [オルテンシア] お姉様。 あたしのお母様のこと、覚えてる? [アイビー] ええ、もちろんよ… よく覚えているわ… [オルテンシア] もしよければだけど… 話を聞かせて欲しいの。 [オルテンシア] お姉様から見たお母様って、 どんな人だったんだろうって思ったから。 [アイビー] ………… [アイビー] 一番、印象に残っているのは… 笑顔よ。 [アイビー] 貴方のお母様は、正妻である私の母から、 よく思われていなかった… [アイビー] だから母やその取り巻きから、 凄惨な嫌がらせを受けていたわ… [アイビー] そんな地獄のような日々の中でも… 彼女は笑顔を絶やさなかった… [オルテンシア] …うん。 [アイビー] その愛嬌と忍耐強さを武器に、 とうとう私の母まで口説き落とし… [アイビー] 友人として取り入ることに成功した。 [アイビー] 本当に… 本当によく覚えているわ… [アイビー] 母親とは、自分の娘のためならば… ここまで強くなれるのだ、と… [オルテンシア] …娘のため? [アイビー] ええ、そうよ… [アイビー] 貴方のお母様は、貴方を守りたかったから… 強かったのだと思うわ… [オルテンシア] …あたしのことを。 [アイビー] オルテンシア。 彼女は立派な方だった。 [アイビー] それだけは断言できるわ… [オルテンシア] …そっか。 [オルテンシア] 知ることができて良かった… [オルテンシア] ありがとう、お姉様。 --- A --- [オルテンシア] ねえ、お姉様。 [アイビー] どうしたの、オルテンシア? [オルテンシア] あたしもいつかは、 お母様みたいになれるかな? [オルテンシア] か、可愛さではもう勝ってるかもだけど… それ以外の部分ではまだまだよね。 [アイビー] ………… [アイビー] いいえ。 そんなことないわ。 [アイビー] オルテンシア。 貴方は七歳の頃にお母様を亡くしたわね… [オルテンシア] うん… [アイビー] けれど、母親という後ろ盾を失ってもなお、 貴方は王城内に居続けることができたわ… [アイビー] 汚い思惑が蔓延る城内で、 子供が一人で生き延びることなど殆ど不可能… [アイビー] でも、貴方はそれを可能にした。 貴方自身の力で。 [オルテンシア] あたし自身の力? どういうこと? [アイビー] お母様譲りの愛嬌と忍耐強さで… 貴方は城内で味方を増やし、居場所を作った。 [アイビー] 年頃になってからは私と同じ学園に通い、 飛び級で上級クラスに入ってきた… [アイビー] 全部、貴方自身の力で… [アイビー] もう、わかったでしょう? [アイビー] いつかはお母様みたいになれるかな、 貴方はそう言ったけれど… [アイビー] すでになっているわ。 魅力ある女性に… [オルテンシア] …! [オルテンシア] まさか、お姉様にそんな評価をもらえるなんて。 ちょっと…ううん。すごく嬉しい。 [オルテンシア] …ありがとう。 [アイビー] お礼を言うのは私のほうよ… [アイビー] 幼少時から、貴方たちの姿に… どれほど私が勇気づけられたことか。 [アイビー] ありがとう… オルテンシア… [オルテンシア] お姉様… [オルテンシア] あたし、お姉様の評価に恥じない王女でいるわ。 これからも、ずっと! [オルテンシア] お姉様と離れ離れになったとき、 あたしがどれだけ寂しかったか… [オルテンシア] お父様もいなくなって、 あたし一人ぼっちになっちゃうかと思ったのよ。 [アイビー] 一人にして、ごめんなさい。 これからはずっと、私がいるから… [オルテンシア] 約束よ。 もう絶対に離れないんだから。 [アイビー] …ええ。私たちは、もう離れない。 約束するわ。 [アイビー] 貴方が私の妹で本当に幸せよ… オルテンシア。 [オルテンシア] あたしもよ。お姉様… --- S ---