=== アイビー & モーヴ === --- C --- [アイビー] モーヴ… [モーヴ] これはアイビー殿。 どうかされましたか? [アイビー] 少し話をしたいと思ったの… [アイビー] 貴方と私は似た境遇だから… [モーヴ] 似た境遇… ああ、なるほど。 [モーヴ] 俺もアイビー殿も元は敵として、 仲間の前に立っていた…そういうことですね。 [アイビー] ええ… [アイビー] モーヴ。 ここは、新たな居場所となったかしら? [モーヴ] …どうでしょうね。 [モーヴ] 俺を受け入れてくれる人も多いですが、 そうではない人もいるでしょうし… [モーヴ] 俺がいくらこの場所に 居心地の良さを感じたとしても… [モーヴ] それは俺の独りよがりに過ぎませんから。 [アイビー] そう… [モーヴ] ですが、 俺はここを離れる気はありません。 [モーヴ] 皆に受け入れてもらうためなら、 努力は惜しまないつもりです。 [モーヴ] 皆に認められて、初めて、 ここが本当の居場所となる気がしますから… [アイビー] 貴方の考え、承知したわ… [アイビー] 少なくとも私は… 貴方を受け入れる。 [アイビー] 同じ境遇、同じ悩みを持った者として… [モーヴ] ありがとうございます、アイビー殿。 --- B --- [モーヴ] なんと… [モーヴ] アイビー殿はイルシオン王国にいながら、 邪竜ではなく、神竜を崇めていたのですか。 [アイビー] ええ… [アイビー] おべっかや嘘ばかりの醜い大人たちが 邪竜を崇めていたから… [アイビー] 私はその反対に… 心の中で神竜を崇めていたの… [モーヴ] アイビー殿は幼少時から、 中々の豪胆さをお持ちだったようですね。 [アイビー] 思い返してみればそうだったかも… [アイビー] モーヴもイルシオンの生まれよね? では、邪竜信徒なの? [モーヴ] いえ、実は生まれはフィレネです。 [モーヴ] 幼い頃に父が病死し、 その後にイルシオンに来たのです。 [モーヴ] 神に祈っても夫を救ってはくれなかった。 ならば、神を見限り邪竜を信仰する、と母に連れられ… [アイビー] そうだったのね… [アイビー] 今、お母様は? [モーヴ] イルシオンに来てすぐ、 父の後を追うように病死しました。 [モーヴ] だから俺はイルシオンの教会で 他の孤児たちと一緒に育ったのです。 [アイビー] ごめんなさい… 事情を知らずに… [モーヴ] 構いません。 別に隠すことでもありませんので。 [モーヴ] ただ…邪竜信徒たちに教育されたのに、 俺自身は邪竜に傾倒することはありませんでした。 [モーヴ] 元々の性格が向いていなかったのでしょう。 [アイビー] そう… [アイビー] 邪竜信徒の中にいながら… 邪竜に傾倒しなかった… [モーヴ] はい。そんなところも、 俺たちは似ているようですね。 [アイビー] ふふ… 本当ね… --- A --- [モーヴ] 不思議です。 [モーヴ] なぜかアイビー殿にはあまり他人に話さなかった 自分の過去の話をしてしまいます。 [アイビー] 私も同じよ。 なぜか貴方には話してしまうわ。 [モーヴ] お互いに困ったことになりました。 [アイビー] ええ。 そうね。 [アイビー] 関わりが深くなるにつれ… 弱みまで見せてしまいそうになるわ。 [モーヴ] むしろ、そうなることを望んでいるやも… [アイビー] ふふ… 私たちは似た者同士だから… [モーヴ] アイビー殿。 俺は以前、こんな話をしましたよね。 [モーヴ] みんなに受け入れてもらうためなら どんな努力も惜しまないつもり、と。 [アイビー] ええ… 覚えているわ… [モーヴ] でも、その考えは少し… 間違っていたかもしれません。 [アイビー] どういうこと? [モーヴ] 例え全員に求められなくとも、 たった一人でも受け入れてくれたなら… [モーヴ] そこは自分の居場所になる。 そう思うようになったのです。 [モーヴ] ですので、アイビー殿が受け入れると、 そう言ってくださるのなら… [モーヴ] 今の俺にはそれだけで、 ここが自分の居場所だと言えます。 [アイビー] そう… それなら、良かったわ。 [アイビー] なら、これからも一緒に守りましょう… 私たちの居場所を… [モーヴ] はい。 [アイビー] 貴方とは、またお話がしたいわ… いいかしら、モーヴ。 [モーヴ] 喜んで、アイビー殿。 --- S ---