=== アイビー & ゼルコバ === --- C --- [アイビー] 痛っ… [ゼルコバ] アイビー様。 「大丈夫」ですか。 [アイビー] …平気よ。 少し頭痛がしただけ。 [ゼルコバ] 「そう」でしたか。 あまり「無理」はなさらぬよう。 [アイビー] 心配など無用よ… [アイビー] どうせ私の身など 本気で案じてはいないのでしょう… [アイビー] 貴方が私に好意的ではないことは知っているわ… [ゼルコバ] ふむ… [ゼルコバ] 「誤解」があるといけませんね… なので「正確」に話をいたしましょう。 [ゼルコバ] 俺は「本気」で、 アイビー様の身を「案じて」いますよ。 [ゼルコバ] それが「仕事」だからです。 [アイビー] ………… [ゼルコバ] アイビー様は俺からの 「好意」について気にしているご様子。 [ゼルコバ] 「御名答」。 [ゼルコバ] 俺は「アイビー様」に対し 「好意的」な感情は持ち合わせていません。 [ゼルコバ] だが、そんなことは「無関係」です。 [ゼルコバ] 「好意」があろうがなかろうが、 アイビー様の「臣下」としての仕事の手は抜きません。 [アイビー] 私に好意は持っていない… とても臣下の放った言葉とは思えないわね。 [アイビー] でも、それでいいわ。 だって、私も貴方のこと好きではないから。 [ゼルコバ] 「結構」です。 俺の仕事になんら「影響」はありませんから。 [アイビー] そう… それを聞けて安心したわ… --- B --- [ゼルコバ] 「痛み」とは人を孤独にするもの。 [ゼルコバ] どう言葉を尽くしても 「本当の痛み」は己しか知覚できませんから。 [ゼルコバ] ならば人は「他者」とは分かち合えない「痛み」を 「無力」に受け止めることしかできないのか… [ゼルコバ] 「否」。 人には「孤独」に打ち勝つための「知識」がある。 [ゼルコバ] その「結晶」がこれです。 俺はこれを「光明の秘薬」と呼んでいます。 [ゼルコバ] 「孤独の闇」を打ち消す光… その思いを込めて。 [アイビー] ………… [アイビー] …つまり何? [ゼルコバ] 「頭痛薬」です。 [アイビー] そう… 私のために貴方が作ってくれたのね。 [ゼルコバ] はい。 臣下として主君の「苦しみ」は放っておけません。 [アイビー] …ありがとう。 [ゼルコバ] 礼など「不要」です。 これはただの「仕事」ですから。 [アイビー] ………… [アイビー] やはり貴方のことはあまり好きではないわ。 [アイビー] でも…その正直さは好きかもしれない。 [アイビー] 私の周りには、 おべっかや嘘ばかりの取り巻きが多かったから… [アイビー] それに比べたら… 貴方の正直さの方が好き… [ゼルコバ] ………… [アイビー] だ、黙らないで… なんだか恥ずかしくなるじゃない… [ゼルコバ] も、申し訳ありません。 少し、いやかなり「驚いて」しまったので… [ゼルコバ] では、俺は「仕事」がありますのでこれで。 …お体、お大事に。 [ゼルコバ] [アイビー] ええ。 ありがとう、ゼルコバ。 --- A --- [アイビー] ゼルコバ、これを… [ゼルコバ] 絵の具と筆ですね。 「俺」に? [アイビー] ええ。 先日の頭痛薬のお礼よ。 [アイビー] 絵を描いたりもすると聞いたから… 不要なら捨てて構わないわ。 [ゼルコバ] ありがとうございます。 「大切」に「使わせて」いただきます。 [アイビー] そう… 気に入ってくれてよかったわ… [ゼルコバ] ………… [ゼルコバ] アイビー様。 俺は「仕事」をするのが「好き」です。 [ゼルコバ] 「仕事」は「没頭」できるし、 「夢中」になることができますから。 [ゼルコバ] 「余計なこと」など何も考えずに。 [ゼルコバ] 俺がアイビー様の臣下である限り、 「仕事」がなくなることはない。 [ゼルコバ] 俺は、この環境がとても気に入っています。 [アイビー] そう… それが本心なら喜ばしいことね… [ゼルコバ] 「本心」ですよ。 アイビー様に「嘘やおべっか」は使いません。 [アイビー] ふふ… わかっているわ… [ゼルコバ] アイビー様。 これからも「俺」に遠慮なく「仕事」をください。 [ゼルコバ] 俺は、アイビー様のためなら 喜んで死ねますから。 [アイビー] 喜んで? 私に好意は持っていないのに? [ゼルコバ] 「感情」は常に「変化」するものです。 [ゼルコバ] アイビー様は「主君」として、 「悪くない」ですよ。 [アイビー] そう… 貴方も「悪くない」わ、ゼルコバ… [ゼルコバ] ふっ。 ありがとうございます。 [アイビー] だから、私のために喜んで死ぬことは、 禁じるわ… [アイビー] 何がなんでも生きて、 臣下として仕えつづけなさい… [ゼルコバ] 承知しました。 アイビー様。 --- S ---