=== ジャン & リンデン === --- C --- [ジャン] ふぅ… [ジャン] ダメや… 眠くて頭に入ってこうへん… [リンデン] どうしたんじゃ? [ジャン] あ、リンデンさん。 今、勉強してるとこです。 [リンデン] ほう、こんな夜中に感心じゃのう。 なんの勉強じゃ? [ジャン] 医学です。 [リンデン] ふむ。疲れた顔をしておるのう。 [ジャン] 寝る時間があまり取れてへんからかもしれません。 覚えることが多いので… [リンデン] 昼間は戦、夜は医学の勉強… それでは身が持たぬ。 [リンデン] 他人の体を気にする前に、 自分の体が壊れてしまうぞ。 [ジャン] 仰る通りなんやけど… [リンデン] 書物はとりあえず閉じて、 少し気分転換をするといい。 [ジャン] でも、それやと勉強が… [リンデン] 書物は素晴らしい教師じゃ。 だが、書物だけが教師ではない。 [リンデン] この世には優秀な教師がごまんといる。 [リンデン] その教師たちに教われば、 今よりももっと効率よく勉強が進むじゃろう。 [ジャン] ほんまですか? [リンデン] ああ、本当じゃ。 今度、彼らを紹介してやろう。 --- B --- [リンデン] ジャンを連れてきたかったのは、 ここじゃ。 [ジャン] 草原…? [ジャン] なんでここに? 教師みたいな方は誰もおらんみたいやけど… [リンデン] いや、おるじゃろう。 [ジャン] ど、どこにですか? [リンデン] 一面に咲く、きれいな花たち。 彼らが今日の教師じゃ。 [ジャン] ふふ。 また、そんな冗談を… [リンデン] 冗談ではない。大真面目じゃ。 [リンデン] …あんたは心身ともに疲れておる。 [リンデン] 今のあんたには、この小さき花たちが 最も役に立ってくれるはずじゃ。 [リンデン] ほれ、騙されたと思って、 花の隣に座ってみるのじゃ。 [ジャン] は、はい… [リンデン] ゆっくりと寝そべって天を仰ぎ、 大きく深呼吸するのじゃ。 [ジャン] はい… [ジャン] ふぅ…すぅ… こうですか? [リンデン] おや? 花たちがあんたに何か囁いておるぞ。 [ジャン] …え? [ジャン] 何も聞こえませんけど… [リンデン] 困ったもんじゃの。 もっと肩の力を抜いて、耳を澄ませるのじゃ。 [ジャン] ………… [ジャン] やっぱり聞こえません… [ジャン] でも、花のいい匂いがします… 風も心地いいです… [リンデン] そうか。 その感じに身を任せてみるがいい。 [ジャン] はい… わかりました… [ジャン] ………… [ジャン] すぅ…すぅ… [リンデン] 眠ったようじゃの。 それでいいのじゃよ。 --- A --- [ジャン] リンデンさん、この間は失礼しました。 いつの間にか寝てしまって…! [リンデン] 気にすることはない。 眠ってもらうのが目的だったのじゃからな。 [リンデン] それに、花の教師たちがあんたに 大事なことを教えてくれたはずじゃ。 [ジャン] 大事なこと…? [リンデン] 目先の成果にとらわれず、心身を休めること… 急がば回れじゃ。 [ジャン] ………… [ジャン] 草原から帰ってきたあとは、 集中して勉強ができました。 [リンデン] うむ。 それはよかった。 [ジャン] リンデンさん…あなたを師と 仰がせてもらってもいいですやろか? [リンデン] 何? [ジャン] あなたの言葉は、 一つ一つがとても勉強になります。 [ジャン] 自分に必要なんは、書物にあることだけではなく、 もっと幅広い知識と経験… [ジャン] あなたのような大賢者様の教えです。 [リンデン] だ、大賢者様じゃと… [ジャン] 嫌ですか? [リンデン] 嫌ではないが… [リンデン] 教えることが多い上、わしはこの年じゃ。 最後まで教えられるかどうかわからぬぞ? [ジャン] それやったらご心配なく。 [ジャン] 未熟者ではありますが、自分が専属医師として… その健康を守らせてもらいます。 [リンデン] ふふ。そうくるか。 これは参ったのう。 [リンデン] 良いじゃろう。 ジャンよ、あんたを弟子としよう。 [ジャン] おおきに! 全力で学ばせていただきます! --- S ---