=== ルイ & ジェーデ === --- C --- [ジェーデ] ルイ、私に何か用? さっきからずっとこっちを見ているけど。 [ルイ] これは失礼しました。 ブロディア王国の戦士、ジェーデさん。 [ルイ] 貴方に興味があったので、つい… [ジェーデ] 興味? [ルイ] 常に冷静沈着で任務を適格に遂行。 主の命令には絶対に逆らわず…そして、 [ルイ] 敵には一切の容赦もない。 その様から冷酷非道と評されることもある、と。 [ジェーデ] …興味があるとは、 随分とかわいい言い方をしたものね。 [ジェーデ] 危険人物扱いしたいのなら好きにすればいい… 私も貴方を完璧に信用しているわけではないわ。 [ルイ] 危険人物だなんて、そんな。 誤解を招いてしまいましたね。 [ルイ] ですが、 貴方には隠された一面があるのも事実では? [ルイ] 一部の者しか知らない、真実の姿が。 [ジェーデ] ………… [ルイ] 僕は知っていますよ。 貴方の真の姿を。 [ジェーデ] な、何をバカなことを… [ルイ] 小説を書いているそうですね。 しかも、真面目さの欠片もないお笑い小説を。 [ジェーデ] …ルイ、忠告しておくわ。口は災いの元よ。 つまらない戯言で命を落としたくはないでしょう。 [ルイ] 安心してください。 誰にも話しませんから。 [ジェーデ] その言葉に嘘偽りがないのなら… 安心していいのは私ではなく貴方の方よ。 [ジェーデ] 明日も変わらずに朝日を拝めそう、とね。 [ルイ] なるほど。 肝に銘じておきますね、ジェーデさん。 --- B --- [ジェーデ] ………… [ルイ] 可憐な女性たちが登場し、仲良くおしゃべりをする。 そんな物語はどうでしょうか。 [ジェーデ] いきなり何よ… [ルイ] 難しい顔をされていましたからね。 案にお困りなのかと思いまして。 [ジェーデ] …貴方には今さら隠そうとしても無駄ね。 [ジェーデ] ええ、そうよ。 次に書く小説の題材を決めかねているわ。 [ルイ] なら、決まりですね。 女性たちが登場する話にしましょう。 [ジェーデ] 何かの経験を通して、 徐々に仲良くなっていく物語とか? [ルイ] 僕としては女性が楽しそうに おしゃべりをしていればそれで満足です。 [ジェーデ] 女性が楽しそうにおしゃべりをしている。 それだけの小説ということ…? [ルイ] 素晴らしい。 必ずや傑作になると思います。 [ジェーデ] ルイ。 物語には起承転結というものが必要なの。 [ルイ] それは目玉となる場面よりも、 重要なものなのでしょうか。 [ジェーデ] え? [ルイ] ジェーデさんの書きたい場面さえあれば、 突然始まって突然終わってもいいのでは? [ジェーデ] ………… [ジェーデ] ありがとう、ルイ。 なんだか悩みが解決した気がするわ。 [ジェーデ] その案、とてもいいと思う。 突拍子もない笑いが生まれそうだわ。 [ルイ] 気分が晴れたようでよかったです。 [ルイ] 可憐な女性たちの活き活きとした場面、 期待していますよ。 [ジェーデ] ………… [ルイ] おや、また難しい顔をしていますね。 新たな悩みでも生まれましたか? [ジェーデ] 違うわ、ルイ。 こう見えても笑っているのよ。 [ジェーデ] ルイの強過ぎる女性たちへの執着心が 私の腹筋を震わせているの。 [ルイ] ふふ。 それならよかったです。 --- A --- [ジェーデ] ねえ、ルイ。 聞きたかったことがあるの。 [ルイ] なんでしょうか、ジェーデさん。 [ジェーデ] どうして貴方は私に近づいてきたの…? [ジェーデ] 私のことをかなり調査していたようだから、 気になっていたのよ。 [ルイ] ………… [ジェーデ] 知っている? 優秀な工作員は、言葉巧みに敵に近づき… [ジェーデ] 慎重に信頼関係を築いた後、 油断した相手から情報を入手するというわ。 [ジェーデ] 同盟を結んでいるとはいえ、 あなたは他国の兵…可能性は否定できないわ。 [ルイ] …さすがジェーデさんですね。 [ジェーデ] そう。 嫌な予感が当たってしまったのね… [ルイ] いいえ、大間違いですよ。 僕は工作員なんかではありません。 [ジェーデ] …え? [ルイ] さすが、と言ったのは、 その想像力に対してです。 [ルイ] 物語を書かれる方としての、 素晴らしい才能がある証拠ですね。 [ジェーデ] は、はぐらかさないでちょうだい… 私に近づいた理由をまだ聞いてないわ。 [ルイ] ジェーデさんと仲良くなりたかったからですよ。 [ジェーデ] 本当にそれだけなの? [ルイ] ええ、それだけです。 [ルイ] ジェーデさんのことを調査したのも 何か会話のきっかけが見つかればな、と思っただけです。 [ルイ] でも、とても重要なことだと思いませんか? 国、文化、価値観… [ルイ] 僕たちはあらゆる違いを乗り越え、 同じ側に立ち、共に命を懸けて戦っています。 [ルイ] 運命共同体のジェーデさんと仲良くなるのは、 とても重要なことだと思いますよ。 [ジェーデ] …確かにそうね。 [ジェーデ] 互いのことを理解し合えば、 私たちはもっと強い絆で結ばれていく。 [ルイ] はい。その絆は戦が終わった後も、 続いていくはずですよ。 [ジェーデ] ルイ、疑ってごめんなさい。 [ジェーデ] 私、貴方のことが知りたいわ。 もっと仲良くしましょう。 [ルイ] では、とっておきの紅茶を淹れますね。 それを飲みながらおしゃべりしましょう。 [ジェーデ] ええ、喜んで。 ありがとう、ルイ。 --- S ---