=== リュール & ブシュロン === --- C --- [ブシュロン] 神竜様、大丈夫ですか? [リュール] ブシュロン。 突然どうしたんですか? [ブシュロン] あ、いえ。すみません。 どことなく疲れていらっしゃるように見えたもので… [リュール] よくわかりましたね。 実は今、何となく体がだるくって。 [ブシュロン] それはいけませんね。 食事はちゃんと摂れていますか? [リュール] しっかり食べています。 [ブシュロン] 睡眠は? [リュール] たくさん寝ていると思います。 [ブシュロン] うーむ… 食事も睡眠も問題ないのに体がだるい… [ブシュロン] もしかしたら、心労が原因かもしれませんね。 [リュール] 心労? [ブシュロン] はい。戦をしていると、どうしても 心に負担がかかってきますから。 [ブシュロン] 神竜様は心労を発散する方法はお持ちですか? [リュール] 考えたこともなかったです。 ブシュロンには何か発散法があるのですか? [ブシュロン] ええ、いくつか。 [ブシュロン] 誰もいない山の中に分け入り、 清流でのんびりと釣りをするとか… [リュール] へえ…! 楽しそうです。 私も試してみたいです! [ブシュロン] ではよろしければ、俺と一緒に試されてみますか? 気に入るものがあればこれから使えるかもしれません。 [リュール] はい! ぜひお願いします。 都合のいい時に誘ってください、ブシュロン! --- B --- [ブシュロン] どうですか、神竜様。 この山の中は。 [リュール] なんて素敵な場所でしょう。 [リュール] ただ立っているだけで、 日々の悩みが吹き飛んでいきます。 [ブシュロン] 喜んでもらえたのならよかったです。 [リュール] いつも来ているのは、この渓流なんですか? [ブシュロン] ええ… まあ、おおよそこの辺と言っておきましょう。 [リュール] おおよそ? [ブシュロン] 俺はかなりの方向音痴でして… [ブシュロン] また同じ場所に行きたいと思っても、 成功したことがないんですよ。 [リュール] …へ、へえー… [ブシュロン] どうしたんですか? 急に不安そうな顔になって。 [リュール] …私たち、ちゃんと帰れますか? [ブシュロン] あはは、大丈夫ですよ。 道に迷わないよう、枝を折りながらきましたから。 [ブシュロン] 見てください。そこの枝が折れてますよね。 つまり、帰りはそこから… [ブシュロン] あれ? [リュール] 折れてませんね。 [ブシュロン] ………… [ブシュロン] あれっ? 折ったはずなんですけど! [リュール] ど、どこの枝を折ったのですか? [ブシュロン] あれ? どの枝も折れてない! わわわ! どうしよう! ほんとごめんなさい! [ブシュロン] でも、大丈夫! とりあえず、こっちの方向に行ってみましょう! [リュール] いえ、逆を行きましょう! [ブシュロン] えっ? [リュール] あなたが方向音痴なら、その反対が正解のはずです! [ブシュロン] なるほど! ごもっともです! --- A --- [ブシュロン] 神竜様、この間は本当にすみませんでした…! [ブシュロン] 俺が方向音痴なせいで、 迷惑をかけてしまって…! [リュール] 謝らないでください。 無事に帰れましたし、何より楽しかったです。 [ブシュロン] なら良かったです…! [リュール] それで今日は、どんな発散方法を 教えてくれるんですか? [ブシュロン] 今日は読書です。 心に響く本を読んで、心をスッキリさせましょう。 [ブシュロン] この本を読んでみてください。 フィレネ王国の傑作、『フィレネの愛』という本です。 [リュール] …やけに…ビタビタでシワシワですね。 [ブシュロン] ああ、すみません。それは俺の涙です。 [リュール] 涙!? [ブシュロン] 俺は感動するとすぐに泣いてしまうので… それで…うっ…! [ブシュロン] ごめんなさい… その本の表紙を見ただけで、もう泣けてきて… [リュール] 早くないですか!? [ブシュロン] 俺のことは気にせず、読んでください… すごくいい本ですから… [リュール] わ、わかりました…では… [ブシュロン] ううっ!! 今度は目次を見ただけで 嗚咽が止まらない…! [リュール] ええっ!? [ブシュロン] すみません…俺…邪魔ですよね… 向こうに行ってますね… [リュール] いえ、このままで大丈夫ですよ。 私は構いませんし… [リュール] 泣いたままどこかに行くと、 みんなを心配させてしまいます。 [ブシュロン] ううっ、神竜様、お優しい…!! ううっ、そして開いた頁がまた泣ける…! [リュール] …無事に読み終わることができるでしょうか… --- S --- [ブシュロン] 神竜様、どうされたのですか? こんなところに呼び出して… [リュール] ブシュロン。 今日も心労の発散法を教えてください。 [リュール] …ということを言いたくて、 お呼びしたわけではありません。 [ブシュロン] ? [リュール] 今日は三つのことをお伝えしたくて、 きてもらいました。 [リュール] ひとつ目は、お礼です。 [リュール] いつも私のことを支えてくれて、 本当にありがとうございます。 [ブシュロン] とんでもないです。 俺はただ、神竜様のお役に立ちたいだけで。 [リュール] そういう一生懸命なところも、 謙虚なところも本当に素敵です。 [ブシュロン] 素敵…? [リュール] はい。思い切って言ってみました。 今のが二つ目の伝えたいことです。 [リュール] あと、もうひとつだけ伝えさせてください。 それは… [リュール] ………… [リュール] その…ごめんなさい… なんだか…感極まってしまって… [ブシュロン] うっ… [リュール] どうしたのですか? [ブシュロン] 神竜様の感極まる様子を見ていたら 俺まで感極まってきてしまって。 [リュール] ブシュロンは人の気持ちに寄り添ってくれますね。 だから私は、あなたを特別だと思ったのかも。 [ブシュロン] …? [リュール] ブシュロン、私のパートナーになってもらえませんか? この『約束の指輪』を、受け取ってほしいんです。 [リュール] 私と、特別な絆を結んでください。 [ブシュロン] !! そ、そんな… すごく嬉しいです。神竜様…ううっ… [ブシュロン] …ここで泣いてはいけませんね。 俺もきちんと伝えないと。 [ブシュロン] 俺は王族でも守り人でもない、ただの兵ですが… それでも、神竜様のことを、大切に思っていました。 [リュール] ブシュロン… [ブシュロン] もちろん、ぜひお受けします。 喜んでそのお気持ちに応えさせてください。 [ブシュロン] 俺なんかでよければ、 地の果てまでもご一緒しましょう! [リュール] ありがとう、ブシュロン。 私はとても幸せですよ。 [ブシュロン] 神竜様…それは俺の台詞です。 [ブシュロン] これからはずっと隣にいます。人生に迷っても涙しても… 神竜 様と一緒なら、幸せです。