=== リュール & クラン === --- C --- [クラン] 神竜様。 何をなさっているのですか? [リュール] あ、クラン。 [リュール] 明日は忙しくなりそうですから、 準備をしていました。 [クラン] でしたら、僕が代わりに。 神竜様はお休みください。 [リュール] そんなの悪いですよ。 自分のことは自分でやります。 [クラン] いけません。ここはお任せください。 [リュール] でも… [クラン] 僕は三十三代竜の守り人として、神竜様の お目覚めをずっとお待ちしてました。 [クラン] いいえ、僕だけではありません。 それは先人たち全員の思いです。 [クラン] 千年も待った僕たちにとって、 神竜様に仕えることは何よりの至福なのです。 [クラン] だからお気になさらず、 身の回りのことは僕に任せてください。 [リュール] …わかりました。 そういうことなら、お任せしましょう。 [クラン] ありがとうございます。 [リュール] お礼を言うのはこちらです。 いつも気にかけてくれて、本当にありがとうございます。 [リュール] あなたのような臣下を持って、私は幸せ者です。 [クラン] ほ、本当ですか! うれしくて、また卒倒しそうです… [リュール] ふふ。クランが作ってくれた時間、 しっかり休ませてもらいますね。 --- B --- [リュール] クラン? [クラン] ………… [リュール] あのー、クラン? [クラン] あっ! 神竜様! す、すみません…! [リュール] どうしたのですか? 何度も声をかけていたのですが。 [クラン] も、申し訳ありません… 少しボーッとしてしまって… [リュール] もしかして… クラン、疲れているのではないですか? [クラン] い、いえ… そんなことは… [クラン] そんな…ことは… [リュール] あなた、 私のために無理をしていますね。 [クラン] い、いえ! 全然! 大丈夫です! [クラン] 神竜様のためなら、 このぐらいへっちゃらです! [クラン] すべてやり遂げてみせますから。 なんでも命令してください。 [リュール] なるほど… そういうことなら… [リュール] クランに命令です。 私のために、ゆっくりと休んでください。 [クラン] えっ!? [クラン] 神竜様… そんな命令…ずるいです。 [リュール] クランは大切な臣下… 倒れてしまっては困ります。 [リュール] 疲れているときはしっかり休んで、 有事に備えてください。 [クラン] 神竜様… [リュール] ほら、命令ですよ。 [クラン] わかりました… [クラン] では、お言葉に甘えて、 今日はお休みさせていただきます… --- A --- [リュール] クラン。 すっかり元気になりましたね。 [クラン] はい。もう大丈夫です。 [リュール] これからは無理をせず、 自分のできる範囲内で頑張ってくださいね。 [クラン] ………… [クラン] 千年もの間、竜の守り人が 待ち続けたのは間違いじゃありませんでした。 [クラン] 神竜様は僕が想像していた通りの… いえ、それ以上のお方です。 [クラン] それに比べて…僕は… [クラン] 神竜様の役に立ちたいと思っているのに、 無理をしたせいで逆に気を遣っていただいて… [クラン] 自分が恥ずかしいです。 [リュール] 恥じることなんてありません。 クランはよくやってくれています。 [リュール] 私はクランの頑張る姿に、励まされているのですから。 [クラン] 本当ですか? [リュール] それだけではありません。 [リュール] クランは私を大事に思ってくれていますよね。 私が目覚める前からずっと… [リュール] その思いがひしひしと伝わってきて、 とても嬉しいです。 [クラン] 神竜様… [クラン] うう…うっ…う… [リュール] クラン。 泣いているのですか? [クラン] はい…うれしくて… [クラン] 神竜様に…そんな風に… 思っていただけていたなんて… [クラン] 僕はこれからも神竜様のためにがんばります! [リュール] ええ。ありがとう。 ですが… [クラン] わかっています。 もちろん無理しない範囲内で。 [リュール] ふふ。 ええ。それでお願いします。 --- S --- [クラン] 神竜様… 少しだけ…まじめな話を聞いていただけますか? [リュール] もちろんです。なんですか? [クラン] 僕は神竜様のことをずっと思ってきました。 どんな性格なのか…どんな声をしているのか… [クラン] 神竜様が目を覚ます前から、 想像を膨らませていたんです。 [リュール] ふふ。 どうでした? 実際に会ってみて。 [クラン] …今は、会わなければよかったと思っています。 [リュール] え? [クラン] ………… [クラン] 離れたところから見ているだけなら… こんな気持ちにもならなかったのに… [リュール] クラン? [クラン] こんなこと、守り人たる僕が言ってはいけない。 それはわかっています… [クラン] でも… 僕は…もっと… [クラン] もっともっと神竜様とお近づきになりたいんです! [クラン] 僕が神竜様の特別な人になりたい。 ダメ…でしょうか… [リュール] クラン、それって… [リュール] …あなたは竜の守り人として、 私を大事にしてくれているのだと思っていました。 [クラン] 最初はそうでした。 でも、今は… [クラン] 寝ても覚めても考えるのは神竜様のことばかり… この気持ちは誰にも負けないつもりです… [リュール] クラン… [リュール] その気持ちが本気なら、 ひとつ、お願いがあります。 [クラン] はい。なんでしょう。 [リュール] 私にもあなたを守らせてください。 [クラン] え? [リュール] それがお互いを大切に思うということでは ないでしょうか。 [クラン] は、はい! そうです! そう思います! [リュール] でしたら問題ありません。 私も、あなたの守り人になります。 [リュール] それから、これをあなたに。 神竜が特別なただ一人に贈る『約束の指輪』です。 [リュール] この意味は…わかってくれますよね。 [クラン] ………… [クラン] ちょっと待ってください… あまりのうれしさで目眩が… [リュール] クラン、フラフラしてますよ。 私の膝の上で休んでください。 [クラン] そ、そんな滅相もないです! [リュール] さっき約束しましたよね。 私にも守らせてくださいって。 [クラン] わ、わかりました…ではお言葉に甘えて… [リュール] 自分以外の誰かを心から大切に思う。 なんて素晴らしいことなんでしょう。 [リュール] クラン、私は世界一の幸せ者です。 [クラン] ぼ、僕もです…! [クラン] 神竜 様。本当に大好きです…! これからもずっと、一緒にいさせてください。