=== リュール & オルテンシア === --- C --- [オルテンシア] ねぇねぇ、神竜サマ。 今日のあたしを見てどう思う? [リュール] どう…とは? [オルテンシア] もう、いろいろあるでしょ! 可愛いとか、美しいとか、綺麗だとか! [リュール] そういうことでしたか。 いつも通り、かわいいと思いますよ。 [オルテンシア] むむ…嬉しいけど、それだけ? 神竜サマのために、お化粧に気合いを入れてきたのに。 [オルテンシア] 気づいてくれないなんてひどーい! [リュール] そ、そうだったんですね。 気づかなくてごめんなさい。 [オルテンシア] ホントにそうよ。しくしく…!! [オルテンシア] ………… [オルテンシア] …おや? こうやって悲しい顔を見せたら、 大抵の人はもっと優しくしてくれるのに… [オルテンシア] 神竜サマ、もしかして 嘘泣きを見破る訓練でも受けてる? [リュール] 訓練も何も… [リュール] 誰が見てもわかるほどの、 あからさまな嘘泣きでしたが… [オルテンシア] なんですと!? じゃあ質問を変えるわ。 [オルテンシア] あたしはこんなに可愛いのに、 どうして神竜サマはちやほやしてくれないの? [リュール] 人は外見も大切ですが、内面も大切ですからね。 見た目で対応を変えることはしませんよ。 [オルテンシア] それは違うわ。 内面は大切。外見はすごく大切。これが真理よ! [リュール] は、はあ… [オルテンシア] いーい? もっともっと外見を磨いて 神竜サマを必ず振り向かせてみせるわ! --- B --- [オルテンシア] 神竜サマ! 今日のあたしはどう? [オルテンシア] たっぷり美容に時間をかけたのよ。 すっごく綺麗になったでしょ。 [オルテンシア] さすがの神竜サマも、胸が高鳴ったんじゃないかしら。 ちやほやする気になったんじゃなーい? [リュール] 確かにすごくかわいいです。 その努力も認めます。でも… [リュール] 私は以前、見た目で対応を変えないと言いました。 なぜそこまで外見にこだわるんですか? [オルテンシア] ………… [オルテンシア] これはあんまり言いたくない話なんだけど… [オルテンシア] お父様の側室だったお母様とあたしは、 昔、城内で陰湿な嫌がらせを受けてたの。 [オルテンシア] だけどお母様は悲しい顔をせずに いつも綺麗に着飾って、可愛く笑って見せてた。 [オルテンシア] その結果、正妻にも気に入られて… 側室たちのなかで唯一、王城に残ることができたわ。 [オルテンシア] 美しさこそ強いのよ。 だからあたしは外見にこだわるの。お母様みたいに。 [リュール] なるほど…合点がいきました。 でも、一つ聞きます。 [リュール] オルテンシアのお母様は どうしてそこまで頑張ったんでしょうか? [オルテンシア] …え? [リュール] あなたのために…だとは思いませんか? [オルテンシア] ! [リュール] あなたのお母様は、決して外見だけを 磨いたのではないと思うんです。 [リュール] 誰かを思いやる気持ち…それを内に秘めてこそ、 真の美しさとなるのだと思いますよ。私は。 [オルテンシア] 思いやる気持ちが…美しい… --- A --- [オルテンシア] 神竜サマ、これあげる! [リュール] オルテンシア…この鍋は? [オルテンシア] 神竜サマのために手料理を用意したの。 スパイスが入っているから体が温まるわよ。 [オルテンシア] あと、傷口に効く薬草も手に入れたの。 もしものときはこれを使ってね。 [リュール] ありがとうございます。 [リュール] すごく気遣ってくれますが… いったいどうしたんですか? [オルテンシア] 神竜サマに言われて気づいたの。 [オルテンシア] あたしは誰かを思いやる気持ちを もっと磨かないとダメだって。 [オルテンシア] この前はしつこく迫ってごめんなさい。 あたしのこと、許してくれる? [リュール] 許すも何も、はじめから怒ってませんよ。 [オルテンシア] なら良かったわ。 [オルテンシア] …あたしのお母様は外見と内面、 どっちも素敵な人だったと思う。 [オルテンシア] だから、あたしもお母様に負けないような ステキな女性にならないとね。 [オルテンシア] 神竜サマ、 大事なこと気づかせてくれてありがとう! [リュール] オルテンシアなら必ずなれますよ。 素敵な女性に。 [オルテンシア] でも…いいのかしら? あたしが外見と内面を磨いたら… [オルテンシア] 神竜サマ、 メロメロになっちゃうと思うわよー? [リュール] メロメロ…ですか。 望むところです。 [オルテンシア] うふふ。言ったわね? その日が来るまで、覚悟してなさい! [リュール] 楽しみにしていますよ、オルテンシア! --- S --- [リュール] 最近のオルテンシアは、 とても生き生きしてますね。 [オルテンシア] そーお? きっと外見と内面を磨いたせいね。 [リュール] そうですね。おかげで以前にも増して、 周りに人が絶えないように思います… [オルテンシア] …ん? あらー? もしかして… [オルテンシア] あたしがみんなから好かれるようになって、 神竜サマ、ヤキモチ焼いてるの? [リュール] そ、そんなことは…! [オルテンシア] えへへ。嬉しいわ。 やっと神竜サマをメロメロにしちゃった。 [オルテンシア] でも、そんなに心配しなくていいのよ。 どんなにみんなから好かれても… [オルテンシア] 大切な人はあなただけだもん。 [リュール] え!? [オルテンシア] …ああっ!!? [オルテンシア] ああ…ああああ、つい口が、 あたしとしたことが口がすべっ…… [オルテンシア] ごめん、神竜サマ! 今のことは忘れて! [リュール] 忘れません! [オルテンシア] なんでぇ!? [リュール] オルテンシアの言うとおりだったんです。 私は…やきもちを焼いていました。 [リュール] あなたのことが気になっていて… 特別になりたいと思っていたから。 [リュール] …オルテンシア。 『約束の指輪』、受け取ってくれませんか。 [オルテンシア] これって… 神竜サマとパートナーになれる指輪… [オルテンシア] あたしが貰っちゃってもいいの? [リュール] はい。 [オルテンシア] ありがとう。 この指輪、一生大切にするわ…! [リュール] 素敵な笑顔です。 内面の美しさも滲み出るような。 [リュール] 私も外見と内面を磨かないと、 つり合いがとれませんね。 [オルテンシア] 外見はもういいでしょ。 初めて会った時からずっと、あなたは綺麗だし。 [オルテンシア] 内面だって、このあたしが認めたお墨付きよ。 そこのところ、わかってるのかしら。 [リュール] ふふ。なんだか、オルテンシアといると 自分がすごく素敵になった気がしてきます。 [オルテンシア] そうよ! だって… [オルテンシア] あなたはこのあたしが惚れ込んだ相手なんだから! これからも自信を持ってなさい。だーい好きよ!