=== リュール & ラピス === --- C --- [リュール] ラピス。以前の戦闘では助けられました。 ありがとうございます。 [ラピス] そんな。とんでもありません。 [ラピス] 神竜様が導いてくださった結果で、 感謝されるようなことは何も。 [ラピス] 神竜様にほめられるのは嬉しいですが、 他にもすごい人はたくさんいます。 [リュール] ラピスは腕も立つし機転も利きます。 どうか自信を持ってください。 [ラピス] じ、自信だなんて。 そんな贅沢なもの、とても持てません。 [ラピス] あたしは高貴な生まれでもありませんし、 奇跡的に騎士になっても、周りには優秀な人ばかりで。 [ラピス] 自信を持つなんて、そんなこと恐れ多いです! [リュール] ラピスは自分に厳しいのですね。 とてもいいことだと思います。 [リュール] でも、他人の能力は ラピスの実力とは関係ありませんよ。 [リュール] ですからそんなに卑屈にならず、 胸を張ってください。 [ラピス] で、でも… 神竜様…あまり困らせないでください。 [ラピス] 褒められるのには慣れていなくて、 あたし、どう反応したらいいか。 [ラピス] すみませんが、失礼しますっ。 [リュール] どうやらラピスは 何か強い劣等感を持っているようですね。 [リュール] どうにか克服できたらいいのですが… --- B --- [ラピス] えっ! あたしの鍛錬に 神竜様が付き合ってくださるんですか? [リュール] はい。 たまには一緒にどうかと思いまして。 [ラピス] 嬉しいです。 恐縮ですが、よろしくお願いします。 [リュール] ラピスは普段どんな鍛錬をしているんですか? [ラピス] 各種武器の練習や、素振りをしたり…あとは、 重い荷物を運搬したりしています。 [ラピス] 重しを乗せた背負子を使って、 走り込みや登山をするんですよ。 [リュール] それは、ものすごく体力が付きそうです。 [ラピス] 一緒に鍛錬するなら神竜様の背負子も必要ですよね。 すぐにお作りします! [リュール] つ、作る? [ラピス] あたしの田舎ではなんでも作るんです。 それ以外に手に入れる方法がないので。 [リュール] 田舎…? [ラピス] あっ。 [ラピス] あーーーっ! 否か! 作るか否かと! そう聞きたかったんです! [リュール] ええと、勿論お願いします。 物が作れるなんて、とても素晴らしいです! [ラピス] そ、そんな。 からかわないでください。 [リュール] からかってなどいません。 工作技術は戦場でも頼りになります。 [リュール] その技術を私にも教えていただきたいぐらいです。 [ラピス] ………… [ラピス] こんなことでほめられるなんて… なんだか不思議な気分です。 [ラピス] じゃ、さっそく背負子をお作りしますので。 よく見ていてください。 [リュール] わかりました。 [リュール] おお…すごい速さ。 目にもとまらぬ速さで、できていきますね… --- A --- [ラピス] 神竜様。 受け取ってほしいものがあるんです! [リュール] これは、工作道具ですか? [ラピス] はい! 工作技術を習いたいと仰っていたので。 [リュール] ありがとうございます。 [ラピス] お礼を言うのは、あたしの方です。 [ラピス] あたしはずっと自信がありませんでした。 でも、神竜様のおかげで気づいたんです。 [ラピス] 工作の腕を褒めてくださった時に… もっと堂々としていいんだって。 [リュール] その通りです。 ラピスは本当にすごいんですから。 [リュール] この前、背負子を作る速さには本当に驚きました。 私にも何か工作を教えてもらえますか? [ラピス] では、熊手を作りましょう。 [リュール] 熊手? いったい何に使うんですか? [ラピス] 芋の収穫です。 [リュール] 芋。 [ラピス] 芋と言っても種類はたくさんあるんですよ。 ジャガイモ、サツマイモ、山芋にブロディア芋。 [リュール] ブロディア芋…? [ラピス] 名前こそブロディアですが、分布は全世界的です。 このあたりにも自生しているのは確認済み。 [ラピス] 煮ると甘くなって、とっても美味しいんですよ。 さあ、そうと決まれば、共に熊手を作りましょう! [リュール] す、すごいです。 ラピスから学ぶことは、たくさんありそうですね。 --- S --- [リュール] ラピス。 ちょっといいですか? [ラピス] 神竜様。何かご用でしょうか。 [リュール] あの、これを… 受け取っていただきたいんです。 [ラピス] なんでしょう。綺麗な金属… なんだか高そうな…って、 [ラピス] ええっ! これって…『約束の指輪』ですか!? [リュール] はい。 裏を見てください。 [ラピス] あ…あたしの名前が彫ってあります。 [リュール] ラピスからいただいた工作道具を使って、 彫ってみたんです。 [ラピス] ええええ!! ちょっ…工作道具で、 何やってしまっているんですか! [ラピス] こんなの、彫ってしまったら、 もう…消せませんよ…! [リュール] 消すつもりはありません。 大切な人に贈るという気持ちを込めて作りました。 [リュール] ラピス… 受け取っていただけますか? [ラピス] ………… [ラピス] 昔のあたしなら… 身分の違いに恐縮して逃げ出したと思います。 [ラピス] ですが、今のあたしは…誰になんと言われようと、 どう思われようと、神竜様のことが大切です。 [リュール] それでは… [ラピス] はい、もちろん。 お受け取りさせていただきます。 [ラピス] 神竜様が心を込めて名前を彫ってくださった指輪… 一生大切にします。 [リュール] ありがとうございます。 [ラピス] あの…こうなってしまったからには 言わないといけませんが、あたし、その、実は… [リュール] ブロディアの田舎にある、芋の村出身なのですよね? [ラピス] なぜそのことをっ! [リュール] ブロディア芋のことを調べていたら、記述が。 その呼び名を使うのは芋の村出身者だけだと。 [ラピス] 全てばれていたというわけですね… でもいいんです。それも含めてのあたしですから。 [リュール] ええ、私はそんなラピスだから こうして指輪を渡したんです。 [ラピス] ありがとうございます。神竜 様… [ラピス] あたしを選んでくださったからには、苦労はさせません。 これからは二人で、色んな証を作っていきましょうね。