=== リュール & モーヴ === --- C --- [リュール] モーヴ。 あなたの好みを教えてもらえませんか? [モーヴ] …なぜそのようなことを? [リュール] 感謝の気持ちを込めて、 贈り物がしたいからですよ。 [モーヴ] 神竜殿が俺に、感謝を…? [モーヴ] 思い当たる節がありません。 何かの間違いではないですか? [リュール] モーヴは、ヴェイルの騎士なのでしょう? [リュール] ヴェイルはあなたがいたから、 今まで生きてこられたのだと思います。 [リュール] 唯一のきょうだいとして、 そのことに感謝せずにはいられませんから。 [モーヴ] ………… [リュール] 私はまだあなたの好みを知らないので、 教えてくれませんか。 [モーヴ] なるほど… [モーヴ] そういうことであれば、 お気持ちだけ受け取りたいと思います。 [リュール] 気持ちだけ、ですか? [モーヴ] ヴェイル様に尽くしてきたことを 評価されるのは嬉しいです。 [モーヴ] しかし、俺は元々神竜殿の敵。 お礼を頂くような善人ではありません。 [モーヴ] それでは、これにて。 [リュール] モーヴ… --- B --- [リュール] この前の話ですが… 私は、モーヴは善人だと思います。 [リュール] 町であなたが人助けをしているのを、 よく見かけますから。 [モーヴ] …その話なら、おやめください。 俺は信じる道を間違えてしまったのです。 [モーヴ] 一介の邪竜信徒として、 慎ましく生きていたかっただけなのに… [モーヴ] 気づいたときには人々の敵、 あなたの敵となっていました。 [リュール] でも、それは… [モーヴ] 何を言ったところで、 言い訳にしかなりません。 [モーヴ] 洗脳されたヴェイル様を止めることができず、 四狗の暴走も抑えられなかった… [モーヴ] 何もできなかったという罪がある以上、 結果として悪人と変わりない。 [モーヴ] 俺が町の人々を手助けしているのは ただの罪滅ぼしなのです。 [リュール] ………… [モーヴ] ですので、俺を褒めたりしないでください。 心苦しくなるだけです。 [リュール] あなたはいつまで、 罪滅ぼしを続けるつもりですか? [モーヴ] わかりません。 [モーヴ] ですがきっと、 一生かけても終わらないのだと思います。 [モーヴ] 俺はそれだけのことをしてしまったのですから。 --- A --- [リュール] 私もモーヴの人助けに 協力させてもらえませんか? [モーヴ] 何を仰るのかと思えば… [モーヴ] 軍の将たる神竜殿と、俺が共に行動するなど 許されるはずがありません。 [リュール] 私はそうは思いませんが。 [モーヴ] …あなたは変わり者ですね。 [モーヴ] どうして俺なんかに 優しくしようとするのです。 [リュール] 一緒にいて気づいたからですよ。 私とモーヴが似ているということに… [モーヴ] 俺と神竜殿が似ている? まさか。 [リュール] 困っている人を放っておけない性格なのです。 あなたも私も。 [リュール] あなたはたまたま、敵側に回ってしまった… それだけのことだと私は思いますよ。 [モーヴ] 一体、何を… [リュール] 過ちを許せずに、自分に厳しくしてしまうのは 善人だからこそです。 [リュール] モーヴに足りない部分があるとすれば、 自分のことを信用する心ではないですか? [リュール] あなたに必要なのは、罪の意識を感じ 罪滅ぼしをすることではなく… [リュール] 仲間を信じ、共にいることだと思います。 [モーヴ] ………… [リュール] 私を信じてください。 あなたに力を貸したいんです、モーヴ。 [モーヴ] 俺は… 過ちを犯した自分を信じることはできません… [モーヴ] ですが…話をしていて、 こう思うようになりました。 [モーヴ] 神竜殿なら、信頼できる…と。 [リュール] モーヴ… [モーヴ] 人々の手助け、協力していただけますか。 [リュール] はい、もちろんです。 一緒に頑張りましょう。 [モーヴ] …不思議な心持ちがしています。 心が温かくなるような。 [リュール] その気持ちを、 あなたがこれから人々に届けるんですよ。 [モーヴ] 神竜殿と一緒になら、 できるような気がします。 [モーヴ] 俺からも、あなたに感謝を… --- S --- [モーヴ] 人助けに協力していただき、 ありがとうございます。 [リュール] 迷子を送り届けたり、揉め事の解消を手伝ったり… 今日はたくさんありましたね。 [モーヴ] 少々疲れましたが、 皆の笑顔を見られると嬉しく感じます。 [モーヴ] 以前はただ…自分が楽になるためだけに 人助けをしていたのだと痛感させられました。 [リュール] モーヴも前に比べると自然に 笑顔を見せてくれるようになりましたね。 [リュール] とても良いことだと思います。 [モーヴ] 少しずつ、自分を…周りの皆を 信じられるようになっている気がします。 [モーヴ] すべては神竜殿のおかげ。 あなたにそう思っていただけて感無量です。 [リュール] ………… [モーヴ] 神竜殿、どうしたのですか。 俺などの顔をじっと見て。 [リュール] い…いえ。 その言葉、嬉しいなと思って。あはは… [リュール] …やっぱりこれは、もう少し後で… [モーヴ] 今、何かを隠しましたね? [リュール] ち、違います。 別に何も隠してなんか! [リュール] …あっ。 [モーヴ] 『約束の指輪』? どうしてこのような大切な物を… [リュール] そ、それは…その… [モーヴ] ………… [モーヴ] …神竜殿。もしよろしければ、 その『約束の指輪』を俺にいただけませんか? [リュール] え…! [リュール] モ、モーヴ。 この指輪は特別な相手と絆を結ぶためのものです。 [リュール] 指輪を受けたいと申し出ることは、 私のパートナーになりたいと言うことと同じ… [リュール] それをわかって言っているのですか? [モーヴ] はい。 [モーヴ] 俺は神竜殿のおかげで救われました。 ですが、それだけではない。 [モーヴ] 恩人であるあなたのことを、 特別に思うようになってしまったんです。 [モーヴ] あなたが指輪を手に入れられたとき、 それは明確になりました。 [モーヴ] 隣にいるのは、俺が良いと。 [リュール] モーヴ… [モーヴ] 今の俺は、まだこの指輪に 相応しい存在ではないかもしれません。 [モーヴ] ですが、いずれ必ず。 どうか考えてはくださいませんか。 [リュール] ………… [リュール] …ふふ。本当は私からこの指輪を あなたに贈ろうと思っていたんです。 [モーヴ] ! [リュール] あなたが努力する姿を見て、気づいたときには… その優しさに惹かれていた。 [リュール] 渡す勇気がなくて困っていたところ、 あなたからほしいと言ってくれて嬉しいです。 [リュール] ですがあなたは、ヴェイルの騎士。 少し戸惑うところがありました。 [モーヴ] ヴェイル様は…喜んでくださいました。 大切な二人が特別になるのは嬉しいと。 [リュール] ! 相談していたのですか? ふふ…その答え、ヴェイルらしいですね。 [リュール] では、私も勇気を出しましょう。 [リュール] 指輪を受け取ってください、モーヴ。 私のパートナーとして。 [モーヴ] ありがとうございます。 光栄です…とても。 [リュール] この指輪、そして私との絆を、 これからずっと大切にしてくださいね。 [モーヴ] はい、神竜 殿。 [モーヴ] 許されない想いだと考えていました。それでも… 俺を受け入れてくださり、嬉しいです。…ずっとお傍に。