=== リュール & ミスティラ === --- C --- [ミスティラ] 焼けたよ、神竜様! 美味しいお肉だから、ほっぺた落ちちゃうかもね! [リュール] ありがとうございます。とても大きいですね。 二人でも食べきれるかどうか… [ミスティラ] 違う違う。それ一人分だよ。 [リュール] この量が!? [ミスティラ] これくらい余裕だよ! ぺろっといけちゃう。 [リュール] す、すごいですね、ミスティラは。 [ミスティラ] スゥ~… [ミスティラ] そうなんだよ~! あたしはすごいの~! [ミスティラ] ソルム王国の第一王女だし~! 身に着けてる宝飾品も豪華なものばっかだよ~! [リュール] ミスティラ!? 大声で身分を明かさない方が! [リュール] この辺りは治安があまりよくないと 聞いていますし…! [ミスティラ] うんうん。 最近、盗賊の被害が多くなってるんだよね。 [ミスティラ] だからなんとかしないとって思って。 こうして自分がお肉になって待ってるってわけ。 [リュール] 自分がお肉に… まさか、囮ということですか!? [ミスティラ] あっち見て、神竜様。 さっきからずっとこっち見てる人たちがいるよ。 [リュール] あれって…賊じゃないですか! [ミスティラ] じゃ、サクっとやっちゃいましょう! あたしと神竜様なら楽勝だって! [リュール] えええ… 次からは最初に説明してくださいね! --- B --- [ミスティラ] ありがとね、神竜様。 ほんと助かっちゃったよ。 [リュール] 力になれたのは嬉しいです。 [リュール] まさか、盗賊の本拠地に 二人で乗り込むとは思ってもいませんでしたけど… [ミスティラ] そうなの? [リュール] だって、一緒にお肉を食べに行こうって 誘ってきたじゃないですか… [ミスティラ] うん。 だからあの後、お肉食べたでしょ? [リュール] そうなんですけど… より正しく誘うのなら、 [リュール] 盗賊の本拠地が判明したから二人で乗り込んで 壊滅させてから、お肉を焼いて食べよう… [リュール] が、正解だったと思います。 [ミスティラ] あははは! 長いから省略しただけだよ! [リュール] 省略し過ぎですって… [リュール] でも、王女自らが本拠地に突入するなんて、 ミスティラには驚かされっぱなしですよ。 [ミスティラ] 別に普通だと思うな。 [ミスティラ] 王族は民を守るために存在してるんだから。 何も不思議じゃないよ。 [リュール] 当然のようにそう言い切れる。 それがミスティラの魅力ですね。 [ミスティラ] あはは! ほめてくれてありがとう! --- A --- [ミスティラ] 神竜様、これからお肉を食べに行こうよ。 [リュール] 次はどこの賊を退治しに行くのですか? [ミスティラ] あはは! 今回は本当にお肉を食べるだけだよ! [ミスティラ] 狩りがうまくいったから、 神竜様にお裾分けしたいなって。 [リュール] そうだったのですか。 では、喜んでご一緒します。 [リュール] はぁ… もうお腹いっぱいで動けません… [リュール] ですが、とても美味しかったです。 [ミスティラ] ………… [リュール] ミスティラ? [ミスティラ] ごめん、神竜様。 今日は本当に食事のお誘いだけだったんだけど… [ミスティラ] いつの間にかあたしたち、 囲まれちゃったみたい。 [リュール] え!? [ミスティラ] 盗賊の本拠地は一つじゃなかったってことか。 あたしの調査不足ね。 [リュール] すごい人数ですね… [ミスティラ] あたしが突破口を作る。 神竜様はその隙に、ここから逃げてね。 [リュール] それよりもいい案がありますよ。 [リュール] 私たちで全員倒して、 今度こそ盗賊の脅威を排除するんです。 [リュール] この地の民たちのためにも。 [ミスティラ] あはは! 神竜様、その案とっても素敵だよ! [リュール] ミスティラの影響です。 [ミスティラ] じゃあ、パパっとやっちゃいますか! [リュール] はい! 背中は任せてください! --- S --- [ミスティラ] 神竜様。 ソルムの民は、自由をとても重んじるの。 [リュール] ええ、そう聞いています。 [ミスティラ] あたしもそう。自由でいることが好き! でも一つ…疑問に感じてることがあるんだ。 [ミスティラ] 神竜様。 絆は…自由を縛る鎖だと思う? [リュール] 鎖…ですか? [ミスティラ] 人と人との繋がりや絆は、大きな力になる。 それは理解しているの。 [ミスティラ] この世界では一人で成せないことの方が多いし、 本当の意味で一人で生きている人はごく少数。 [ミスティラ] 絆は力ということに疑問はない。でも… 人と人との繋がりは、時にしがらみにもなる。 [リュール] しがらみ… 確かにそういった一面もありますね。 [リュール] 大切な人がいるからこそ、 自分の意思とは違う行動をしなければならない。 [リュール] そのようなことはいくらでも起こり得ますから。 [ミスティラ] そう。絆がない方が自由なのかなって… 神竜様はどう思う? [リュール] 私の考えは…これです。 [ミスティラ] 『約束の指輪』…? [リュール] ミスティラに受け取ってもらいたいです。 [ミスティラ] えっ…!? [リュール] この指輪は、私とミスティラの絆を深めます…でも 決してあなたの自由を縛る枷にはならない。 [リュール] なぜなら、私はミスティラが好きだから。 あなたの自由を奪うことは…絶対にしません。 [ミスティラ] そ、それって…自由でありながら、 神竜様と絆を深めることができるってこと…? [リュール] はい。 [ミスティラ] …すごく素敵。最高の殺し文句だよ。 [ミスティラ] ありがとう。 指輪…受け取るね。 [リュール] 離れることがあっても、心は共に在りましょう。 自由なあなたと、永遠に。 [ミスティラ] あたしも同じ気持ちだよ、 神竜 様。 [ミスティラ] あたし、すごく幸せだ。この絆…死んでも大切にするわ。 二人はこれから、どこにいても、いつまでも、一緒だよ。