=== リュール & ザフィーア === --- C --- [リュール] ザフィーア。 鍛錬に付き合ってくれて、ありがとうございます。 [ザフィーア] 礼には及びません。 私もいい汗を流せました。 [リュール] さすがブロディア王国指折りの王城兵ですね。 付いていくのがやっとでした。 [ザフィーア] 神竜様こそ素晴らしい腕をお持ちです。 まだまだ伸び代も多く感じます。 [ザフィーア] 鍛錬を続ければもっと強くなりますよ。 私が保証します。 [リュール] ザフィーアの攻撃には力強さというか… 鬼のような気迫がありますね。 [リュール] 私も鍛錬を続けていれば、 そのような気を発することができるのでしょうか。 [ザフィーア] ………… [リュール] ザフィーア? [ザフィーア] ああ、すみません。 [ザフィーア] 神竜様にこのような気迫は… 身につかない方がいいと思ってしまいまして。 [ザフィーア] 神竜様は誰にでも優しく、 鍛錬中も良い表情をされています。 [ザフィーア] どうか私を真似しようとせず、 その表情を大切にしてください。 [リュール] わかりました、ザフィーア。 --- B --- [ザフィーア] 今日の鍛錬はここまでにしましょう。 [リュール] ありがとうございました。 [ザフィーア] やはり良い表情をされていますね。 素晴らしいことです。 [ザフィーア] では、私はこれから自分の鍛錬がありますので、 この辺りで。 [リュール] まだ鍛錬をするのですか。 すごいですね…! [ザフィーア] 私には鍛錬しかないだけですよ。 [リュール] どうしてそこまで鍛錬に打ち込むのですか? [ザフィーア] ………… [ザフィーア] 仕方ありません。 神竜様にだけは特別にお話ししましょう。 [ザフィーア] …私は子供のころから腕っ節は強かったのですが、 力比べでどうしても勝てない友人がいました。 [ザフィーア] その友人は最強の王城兵になるために もの凄い鍛錬をしていたのです。 [ザフィーア] ある日、イルシオン兵の襲撃で村が襲われ、 その友人も死んでしまいました。 [ザフィーア] だから、生き残った私が友人の意志を継ぎ、 最強の王城兵になるために鍛錬を続けているんです。 [リュール] そうでしたか… [リュール] でも、鍛錬を続けている理由は、 本当にそれだけですか? [ザフィーア] それだけ…とは? [リュール] 鍛錬中の鬼のような気迫… あれはもしや、復讐心からなのではないかと… [ザフィーア] ! [ザフィーア] …すみません。 もう鍛錬に行かねばならない時間ですので。 [ザフィーア] 私の拙い話を聞いてくださり感謝します。 では…失礼させていただきます。 [リュール] あ、ザフィーア…! [リュール] 余計なことを言ってしまいましたね… 謝らないと… --- A --- [ザフィーア] 神竜様。以前は質問に答えず、 申し訳ありませんでした。 [リュール] いえ、そんな! 私が無神経な質問をしてしまったので、すみません。 [ザフィーア] …神竜様の仰る通り、 イルシオンへの憎しみはあります。 [ザフィーア] しかし、一番許せないのは… 私だけが生き残ってしまったことなんです。 [ザフィーア] もし友人が生き残っていれば、 絶対に私よりも活躍していたはず。 [ザフィーア] その悔しさが… 私を鬼のようにさせるのかもしれません。 [リュール] …話してくれて、ありがとうございます。 [リュール] ザフィーアの気迫の理由がわかって、 安心しました。 [ザフィーア] 安心? [リュール] もし復讐のためだけに鍛錬をしているのなら、 止めようと思っていたんです。 [リュール] 強くなったとしても… その力は新たな悲しみを生むだけですから。 [リュール] でも、ザフィーアは復讐ではなく、 友の分まで強くなろうとしている。 [リュール] その方は王城兵になることを願っていた。 でも、友を苦しめることは願っていなかったはず。 [リュール] ザフィーアが幸せそうな顔でいたほうが、 ご友人は、喜ぶのではないでしょうか。 [ザフィーア] …そんなこと、 考えたこともありませんでした。 [ザフィーア] でも、そうかもしれない… あいつは強くて、優しい奴だったから。 [ザフィーア] 神竜様はどうして… 私の友人の気持ちがわかるのですか? [リュール] 私もザフィーアの友達だからですよ。 [ザフィーア] ! [リュール] この答えでは、いけませんか? [ザフィーア] …とんでもない。 ありがとうございます。私は… [ザフィーア] 神竜様のそのお言葉だけで幸せですよ。 --- S --- [リュール] はあぁぁーーっ! [ザフィーア] くっ… 参りました…私の負けです… [リュール] 手合わせ、ありがとうございます。 [リュール] さすがに疲れましたね。 今日の鍛錬はここまでにしておきましょう。 [ザフィーア] 神竜様の気迫には驚きました。 [ザフィーア] 神竜様は強くなると言いましたが、 ここまで力を付けるとは驚きです。 [リュール] ザフィーアのおかげですよ。 [リュール] あなたを守りたいという気持ちが、 私のことをここまで強くしてくれたんです。 [ザフィーア] なっ… [リュール] ふふっ。 赤くなるとは珍しいですね。 [ザフィーア] 守るなどと言われたのは初めてで… どう反応したらいいかわかりません… [リュール] 鬼のような気迫があっても、 あなたはとても繊細な心を持っています。 [リュール] だから… [リュール] ザフィーア。 この『約束の指輪』を受け取ってください。 [ザフィーア] え… [リュール] 私にとって、あなたは大切な存在です。 この指輪はその印… [リュール] どうか、パートナーになってはくださいませんか。 [ザフィーア] ………… [ザフィーア] 私は幸せになっていいのでしょうか… [リュール] もちろんです。 あなたは痛みを知っている人ですから。 [リュール] 心に痛みを持つ人は、幸せにならないといけません。 [ザフィーア] 神竜 様… [ザフィーア] わかりました。 その指輪、ありがたく受け取ります。 [リュール] ザフィーア。 これからもよろしくお願いします。 [ザフィーア] ただ守られるのは性に合いません。私もあなたを守り、 そして…この手で必ず、幸せにしてみせますよ。