=== リュール & セアダス === --- C --- [セアダス] ルルルー♪ ルルールルルルー♪ [リュール] セアダス。 踊りの練習ですか? [セアダス] 神竜様… [セアダス] 厳密に言うと練習ではありませんね。 今宵は観客がいますので。 [リュール] 観客? でも…周りには誰も… [セアダス] 月。 [リュール] …月? [セアダス] そうです。 夜空に青白く輝く月… [セアダス] そして幾千の星々。 俺は今宵、彼らに踊りを披露していたのです。 [セアダス] 神竜様はご存じですか? 人は死すると肉体を離れ、星となることを。 [セアダス] あの空には、俺の師匠もいるんです。 [リュール] …亡くなられたのですね。その方は。 [セアダス] …ええ。 師匠はこの振付が、一番好きでした。 [セアダス] ルルールルルルー♪ [リュール] セアダス… とても綺麗です。 [セアダス] 当然です。美しく見せるために、 他の全てを犠牲にしているのですから。 [セアダス] 踊りの練習に、精神の統一、 徹底した体型管理も必要です。 [セアダス] これでも俺は、ソルムでは少し名の知れた踊り手… 恥ずかしい真似はできません。 [リュール] セアダスは自分に厳しいのですね。 素晴らしいと思います。 [リュール] それに、なんだか神秘的な雰囲気… 少し近づきがたく感じるほどです。 [セアダス] …もう踊りを再開しても? [リュール] あ…は、はい! お邪魔しました! --- B --- [セアダス] か、カードさん! カードさん! 導き給え! 流転せし星の運命! [リュール] …セアダス? あんなに必死で…占いをしているんでしょうか? [セアダス] どうか教えてくれ! この食事を食べたら太りますか! [セアダス] でも食べなきゃ空腹で死んでしまうので! 頼む、カードさん! せぇい! [セアダス] うわーーーーっ! 結果が悪いーーーーっ!! [リュール] え…ええ!? この前と全然印象が違います。 [リュール] 落ち着いてください、セアダス! [セアダス] 神竜様… [リュール] よくわかりませんが、あなたらしくないですよ。 食事ぐらい気にせず摂ればいいのでは? [セアダス] じゃ、これ食べても太らないんですね。 今日の食事… [セアダス] 小麦とバターを練りこんだ生地を揚げて、 油たっぷりのソースを死ぬほどかけてますけど。 [リュール] ああ、それ美味しかったです。 大丈夫です、太りませんよ… [セアダス] 嘘ですよね。 [リュール] ええー…っとー… [セアダス] 神竜様。顔を見ればわかります! カードにも「太る」って出てます! [リュール] ごめんなさい!! [リュール] でもどうせ動くので、問題ないですよ。 気にする方が体に毒です。 [セアダス] …俺はそれじゃダメなんです。 優れた踊り手たるもの、甘えは許されない。 [セアダス] 特に戦場に立つときは、 俺の踊りで皆を鼓舞しないといけないんですよ。 [セアダス] 一時の気の緩みで士気を上げられず、 死人が出たとしたら…俺は責任をとれません。 [リュール] セアダス… [セアダス] 今日は草でも食べて、 占い小屋に引きこもります… --- A --- [リュール] 私は自然体のセアダスでいいと思います。 [リュール] 少しぐらい太ってしまったって、 別にいいじゃないですか。 [セアダス] 何ですか、いきなり。 [リュール] 確かにセアダスの踊りが美しいのは、 日頃のたゆまぬ努力の結果だと思います。 [リュール] ですが、無理をしてしまっては、 折角の美しさが削がれてしまう気がして。 [セアダス] 美しさが、削がれる…? [リュール] セアダスの魅力は、その内面からも 滲み出るものだと思います。 [リュール] 月夜に亡き人を思って踊るあなたは、 とても美しかった… [リュール] 「お腹減ったなー」と思いながら 踊っていたら、きっとあの美しさは出せません。 [セアダス] なるほど。 「お腹いっぱいだなー」と踊る方がいいと? [リュール] 極端な話、そうです。その方があなたも、 見た人も幸せな気持ちになれるではないですか。 [リュール] あなたが美しくあろうとするのは、 仲間のため…戦に勝つためだとわかっています。 [リュール] でも倒れてしまっては元も子もありません。 私は幸せな美しいセアダスが見たいです。 [セアダス] 神竜様… [セアダス] その両立は多分めちゃめちゃ難しいです。 たくさん食え、しかし太るなと言っているのと同じ。 [セアダス] 率直に言うと、素人の考えですね。 [リュール] うっ…!! [セアダス] ですが、言わんとしていることはわかります。 仲間が無理をしているのを見ては士気も下がる… [セアダス] 気遣いのお言葉は素直に嬉しかったです。 ありがとう。 [リュール] どういたしまして。 [セアダス] さて、神竜様直々にご忠告いただいたので、 今日ぐらいは好きなものを食べようかな。 [セアダス] 特にこの前食べ損ねた、 油のやたら多いあの料理が恋しい… [リュール] ではこれからお願いして、作ってもらいましょう。 [セアダス] 何皿までなら大丈夫かな。 [リュール] カードさんに聞いてみますか? [セアダス] そうか… この前の決死の占いもご覧になっていましたね。 [セアダス] 神竜様には俺の恥ずかしいところばかりを お見せしている気がします。 [リュール] 素敵なところもたくさん見ていますよ。 [セアダス] でも、これからはもっと 俺の良いところをお見せしないと! [セアダス] 無理しない程度に頑張りますので、 今後も俺の美しさをご堪能ください。 [リュール] はい、期待していますよ。 --- S --- [セアダス] 神竜様、お待ちしていました。 今宵は特別な踊りを見ていただこうと思いまして。 [リュール] 特別な踊り…? [セアダス] はい。 ただ一人…あなただけのために舞います。 [セアダス] では、始めます。 [リュール] セアダス、素晴らしかったです。 感動しました! [セアダス] ありがとうございます。 食事も済ませ、幸せだなと思いながら舞いました。 [リュール] あはは、それは良かった。 どうして今日は特別な踊りを? [セアダス] それを説明するには… 今の踊りの意味を伝えなくてはなりません。 [リュール] 意味? [セアダス] 永遠の誓い…それが今の踊りです。 この踊りを見せるのは、ただ一人にだけ。 [セアダス] 神竜 様。 あなたは俺の特別です。 [リュール] …! [セアダス] はっきり言うと、ずっと好きでした。 たぶん、あの城塞で出会った日から。 [セアダス] ライバルは多いだろうなあ… でもこの想いは誰にも負けない自信がある。 [セアダス] どうか、この想いに応えていただけませんか? [リュール] セアダス… [セアダス] やっぱり、無謀でしたかね? [リュール] いえ、とても嬉しいです。 私も…相手はあなたがいいと、ずっと思っていました。 [セアダス] …! 本当ですか!? [リュール] この指輪も、 きっとセアダスに似合うだろうと… [セアダス] 『約束の指輪』…これを俺に? [リュール] …はい。 [セアダス] ありがとうございます。 ああ、胸の中に星が煌めくような気持ちだ… [セアダス] これからもっと頑張ります。 あなたと並び立つに相応しいように。 [リュール] 頑張るのは私の方です。 セアダスの輝きに負けないくらいに。 [リュール] 共に歩めること、とても嬉しいです。 [セアダス] 神竜 様… [セアダス] 俺も嬉しいです。世界が不思議で、美しく愛おしいのは… あなたがいてくれるからですね。もう決して離れません。