=== リュール & スタルーク === --- C --- [スタルーク] 神竜様! 危ないっ!! オオカミがすぐそこに! [リュール] えっ!? [スタルーク] オ、オオカミさん…! あっちいってください! 神竜様から離れて…! [スタルーク] うぅ…言うことを聞かないみたいですね… こうなったら…! [リュール] そ、そのポーズは! いつか見た、国境での土下座…!? [スタルーク] オオカミさん! すみませんんっ!!!! [スタルーク] 僕なんかに謝られても腹が立つだけでしょうけど、 とにかく死ぬほど謝ります! [スタルーク] でも死んだらいろいろまずいので、 死ぬギリギリまで謝り続けます! [スタルーク] だから帰ってくださいっ! お願いしますっ! [リュール] ス、スタルークの異様な迫力に、 オオカミが後ずさりしてますね… [スタルーク] あっ…逃げていきました… [スタルーク] よかったぁ… 神竜様…ご無事でしたか… [リュール] ありがとうございます。 スタルークも無事で何よりです。 [スタルーク] いえ、命の価値でいえば… 僕よりも神竜様の方が上ですので、当然です… [リュール] そんな言い方はダメです! 命の価値に違いなんてありません! [スタルーク] 神竜様はお優しい方なんですね。 ああ、それに比べて僕は… [スタルーク] いけない。善良なる神竜様と一緒にいたら、 僕の心がますます荒んでしまいます…! [スタルーク] すみません、さようなら…! [リュール] あっ!? スタルーク!? 待ってくださ… [リュール] 足が速い…! --- B --- [リュール] スタルーク、ちょっといいですか? [スタルーク] はい、どうぞ。 [リュール] …何を身構えているんです? [スタルーク] 土下座の準備です… [リュール] 土下座の準備… [スタルーク] なんとなく謝罪すべき雰囲気を感じたので。 一瞬でできるようにと… [リュール] そんなの必要ありませんよ! 私はただ… この間のことで一つ言っておきたいんです。 [スタルーク] 何をですか…? [リュール] 私とあなたの命の価値は同じです。 これだけは絶対に譲りません。 [リュール] 二度とあんなこと言わないでくださいね。 わかりましたか? [スタルーク] わかりました…って言えたらいいのですが、 本心ではそう思っていないので… [リュール] も、もうー… 困った人ですね。 [スタルーク] ごめんなさい… [リュール] 本当にそう思ってしまうのなら、仕方ないです。 あなたはあなたらしくいてください。 [スタルーク] 僕はこのままでいいということですか? [スタルーク] 前向きな考えなどできないですし、 ほめられても素直に受け取れません… [スタルーク] 決断力も兄ほどないので、 言動でイライラさせることもあると思います。 [スタルーク] それでもこのままでいいと? [リュール] …はい。 [リュール] でもいつか、私の言っていることを わかってもらえたら嬉しいです。 [スタルーク] わかりました。 ご忠告ありがとうございます… --- A --- [リュール] スタルーク! またオオカミが現れました! [リュール] そちらに向かっています! 気をつけてください! [スタルーク] はい、わかりました。 [リュール] えっ…どうして棒立ちなんですか? 危ないですよ! [スタルーク] 大丈夫です、神竜様。 ここは僕に任せてください。 [スタルーク] ほら、干し肉だよ… たくさんお食べ… [リュール] ! スタルークが… オオカミを手懐けています。 [スタルーク] 彼は以前、 神竜様を襲ったオオカミなんですよ。 [スタルーク] さ、山へお帰り… 気をつけてね… [リュール] いつの間に仲良くなったのですか? [スタルーク] 森で弓の練習をしていたら、 顔を見せるようになって… [スタルーク] 最初はお互いに緊張しましたけど… 神竜様の言葉を思い出したら、上手くいったんです。 [リュール] 私の言葉、ですか? [スタルーク] 僕は僕らしくていい。 だから僕らしく、自然体で彼に接しました。 [スタルーク] すると彼のほうも警戒を解いてくれて、 今では友だちみたいになれています。 [リュール] すごいですね…! [スタルーク] これも神竜様のご忠告のおかげです。 本当にありがとうございます。 [スタルーク] そうだ。お礼に…よいしょ。 [リュール] 土下座はもういいですよ。 [スタルーク] えっ… [リュール] 得意技を封じられた可哀想な顔をするのは やめてください。 [リュール] お礼なら… 私もあのオオカミと一緒に遊びたいです。 [リュール] 良かったら、仲間に入れてください。 [スタルーク] お安いご用です。 干し肉を持って一緒に遊びにいきましょう。 [リュール] ありがとうございます! とっても楽しみです、スタルーク! --- S --- [スタルーク] 神竜様…あの… [リュール] スタルーク? どうしたんです。 [スタルーク] う…うう…ええと、その… [リュール] 座ろうとして、元に戻りましたね… [スタルーク] …ダメだ。平伏してお願いすることじゃない… 一生に一度でいい…僕は勇気を出したい…! [スタルーク] …神竜様。これを見てください。 [リュール] 綺麗な宝石ですね…! 不思議な色をしています。 [スタルーク] ブロディア王国原産の石です。 赤と青の混じった、珍しい色合いで… [スタルーク] 僕が生まれた時に、父より賜りました。 スタルークの髪と瞳の色に似ているから、と。 [リュール] 確かに、スタルークは青い髪に、赤い瞳。 この宝石にぴったりだと思います。 [スタルーク] で、でも…神竜様も同じですよね。 厳密には配分が違いますけど…なんというか… [スタルーク] 見ていると、あなたを思い出すんです。 僕に今のままでいいと言ってくれた、大切な人を… [リュール] ! 大切な人…? [スタルーク] 父は、いつかこれを… 心に決めた誰かに渡せと言いました。 [スタルーク] 神竜様…どうか受け取ってください。 僕の、あなたへの…気持ちです。 [リュール] ………… [リュール] …ありがとうございます、スタルーク。 喜んでお受けしますよ。 [スタルーク] …! [リュール] 私からも、この指輪を。 [スタルーク] これって『約束の指輪』… [リュール] はい。 [リュール] この指輪はあなたにこそ相応しい。 神竜の名に於いて、特別な絆をあなたに。 [リュール] …パートナーとして、共に生きましょう。 スタルーク。 [スタルーク] か… [リュール] か? [スタルーク] かっこいいいいい…! ずるいですよ神竜様! [スタルーク] きちんと決めようと思ったのに、 神竜様が僕を凌駕するかっこよさで殴りつけてくる! [スタルーク] でも、でも…嬉しいです。 ありがとうございます…ううっ…! [リュール] も、もう。 泣かないでください。 [スタルーク] 泣いていません。パートナーとなった以上、 情けない姿は見せられませんから。 [スタルーク] できるだけ。 [リュール] できるだけ… [スタルーク] 神竜様。僕、強くなります。 こう見えてブロディア王国第二王子… [スタルーク] 武力の国の王子としての伸びしろはあります。 もっと頼れる存在になって…ずっと… [スタルーク] …神竜 様のことを守ります。 [リュール] スタルーク… [スタルーク] これだけは自信を持って約束します。 この指輪に懸けて。 [リュール] ありがとうございます。 [スタルーク] 決して後悔はさせません。あなたと並び立って恥じない、 立派な王子となって最後まで、いえ、その先まで…共に。