=== リュール & ヴァンドレ === --- C --- [リュール] ふぅ。 今日の鍛錬はこのぐらいにしておきましょう。 [ヴァンドレ] 神竜様、お疲れ様です。 [ヴァンドレ] こちらの熱い布で顔をお拭きください。 さっぱりしますぞ。 [リュール] ヴァンドレ、ありがとうございます。 はぁ…気持ちいいです… [ヴァンドレ] こちらに着替えも用意しております。 [ヴァンドレ] 汚れた服は私が洗濯しておきますので、 あとで着替えて籠に入れておいてください。 [リュール] 気遣いありがとうございます。 でも、洗濯ぐらい自分でやりますよ。 [リュール] ヴァンドレには他に仕事もあるのでしょう。 [ヴァンドレ] 私は神竜様の世話係です。 遠慮することはありません。 [リュール] でも… [ヴァンドレ] 私は神竜様が眠られている頃から ずっとお世話をしてきたのです。 [ヴァンドレ] 君主ともあろう御方がそんなことを気にしては 私の立場がなくなってしまいます。 [ヴァンドレ] 面倒事はすべて私にお任せし、 神竜様は時間を有意義に使ってください。 [リュール] それは嬉しいのですが… なんだか申し訳ないような。 [ヴァンドレ] 神竜様は何も気にされなくていいのです。 [ヴァンドレ] さぁ、早くお着替えください。 汗冷えで風邪を引いてしまいますぞ。 --- B --- [ヴァンドレ] 神竜様。 武器と防具の手入れをしておきましたぞ。 [リュール] ありがとうございます。 [ヴァンドレ] 明日の作戦会議で必要な資料と道具も 準備して置いておきました。 [ヴァンドレ] 寝る前にでも目を通しておいてください。 [リュール] ………… [リュール] ヴァンドレ… やっぱり申し訳ないです。 [ヴァンドレ] 神竜様? [リュール] 自分でもわかっているんです。 私が頼りないから世話を焼きたくなるんですよね。 [ヴァンドレ] それは違います! 私は貴方を頼りないと思ったことなどありません。 [ヴァンドレ] 神竜様は人の上に立つ、立派で尊き御方です。 [ヴァンドレ] その優しさも承知しております。ただ… 部下を使うことをもっと覚えていただければと。 [リュール] それは私の柄ではありません。 どうしても申し訳ない気がして。 [ヴァンドレ] 私は神竜様に付きっきりになる前に、 ルミエル様の世話係もしておりました。 [ヴァンドレ] ルミエル様は完璧な方でしたが、 私のお世話を嫌がったことはありません。 [ヴァンドレ] 神竜様も慣れるまで辛抱です。 [リュール] 母さんのことはもちろん尊敬しています。 ですが、私と母さんとは違います。 [リュール] ヴァンドレ。どうか母さんと比較せずに、 私のことを見てください。 [ヴァンドレ] 神竜様… [ヴァンドレ] …申し訳ありません。 私は自分の理想を貴方様に押しつけてしまったようです。 [ヴァンドレ] 神竜様の意見を尊重し、 これからは気を付けましょう。 [リュール] ありがとうございます。これからは何かする前に 一声かけてくれると嬉しいです。 [リュール] ヴァンドレのお世話になることも、 たくさんあるはずですから。 --- A --- [ヴァンドレ] 神竜様。 武器防具の手入れはいかがいたしましょう。 [リュール] 今日は余裕があるので私がやります。 [ヴァンドレ] 承知しました。 それでは私は他の作業をさせていただきます。 [リュール] いつもありがとうございます。 [ヴァンドレ] いえ、そんな。 ………… [リュール] ヴァンドレ、どうかしましたか? [ヴァンドレ] …神竜様。 少しだけ私の話を聞いていただけませんか? [リュール] もちろんです。どうしました? [ヴァンドレ] 神竜様は以前… ルミエル様と自分は違うと仰いました。 [ヴァンドレ] しかし、お二方に仕えた私には お二人が重なって見えるのです。 [ヴァンドレ] 特に今、私にはそう見えました。 [リュール] え… [ヴァンドレ] 思いやりがあり、誰にでも優しく 誰からも好かれるところが… [ヴァンドレ] 違いがあるとすれば、それは神竜様が まだ成長中だということなのだと思います。 [ヴァンドレ] 貴方様には無限の未来があります。 私はそれをできる限りの力で応援したいと思うのです。 [リュール] ヴァンドレ… [ヴァンドレ] 気分を害されたら申し訳ありません。 ただ、思いを伝えたかったのです。 [リュール] 話してくれて嬉しいです。 ヴァンドレの言うとおり、私はまだまだ未熟者ですが… [リュール] いつかは、私も母さんのような 頼られる存在になりたいと思います。 [ヴァンドレ] 神竜様なら絶対に成し遂げられます。 そのために私がいるのですから。 [リュール] ヴァンドレが付いていれば、 きっと大丈夫ですね。 [リュール] これからも私に力を貸してください、ヴァンドレ。 私も強くなってお返ししますから。 [ヴァンドレ] はっ! --- S --- [ヴァンドレ] 神竜様。貴方に… 懺悔しておきたいことがあります。 [リュール] 急にどうしたのですか? [ヴァンドレ] 神竜様の臣下として支えていく以上、 すべてを話しておくべきだと思ったのです。 [ヴァンドレ] 私は当初…ソラネルへ移った際、 神竜様のお世話をするのが嫌でした。 [リュール] …え? [ヴァンドレ] 昔の私は、命尽きるまでルミエル様の 守り人でいたいと願っておりました。 [ヴァンドレ] ですが、ルミエル様は私の申し出をはね除け、 眠る貴方様のお世話を命じられました。 [ヴァンドレ] 自分が不要だと告げられたような気がして、 私は失意の気持ちでソラネルへと移ったのです。 [リュール] そうだったのですね。 では、どうして私の世話をこれほどまでに? [ヴァンドレ] 最初はルミエル様のご命令に従うため。 ですが、今は… [ヴァンドレ] 貴方様のお人柄、そして、 その意志に忠誠を誓っているからです。 [リュール] ヴァンドレ… [ヴァンドレ] これはルミエル様が亡くなられてから気付いたのですが… ルミエル様は自分の命が短いことを悟っておられました。 [ヴァンドレ] ですから、私を貴方様の世話係に任命し、 助力するように采配されたのです。 [ヴァンドレ] ルミエル様の大切な御子を託されるなど、 竜の守り人として最高の栄誉… [ヴァンドレ] なのに、愚かな私はそのことに全く気付かなかった。 これが私の懺悔したかったことです。申し訳ありません… [リュール] 謝ることなどありません。 よく話してくれました、ヴァンドレ。 [ヴァンドレ] 神竜様…貴方の臣下として、この場で、 改めて忠誠を誓わせていただけないでしょうか。 [リュール] はい。 [ヴァンドレ] 神竜様… 私は貴方に永遠の忠誠を誓います。 [リュール] ヴァンドレ。 あなたを一番の騎士として承認いたします。 [リュール] …その証として、これをあなたに。 [ヴァンドレ] こ、これは…『約束の指輪』!? いけませぬ。このような大切なものを、私などに! [リュール] いいえ。 この指輪はあなたに渡そうと思っていたのです。 [リュール] これは神竜族に伝わる、神竜と特別な絆を結ぶ指輪。 であれば… [リュール] 母さんと、私…その両方に仕えてくれた あなたにこそ相応しい。 [ヴァンドレ] そんな… まさか、このような栄誉を賜れるなど… [リュール] ふふ。その言葉、私が目覚めた時と同じですね。 あの時からずっと、あなたは傍にいてくれました。 [リュール] ヴァンドレ。 これからもずっと…共にいてください。 [ヴァンドレ] …!! 承知いたしました。 例え地の果てであろうと、私は神竜様に付いて参ります。 [ヴァンドレ] この指輪に相応しいよう…もう二度と、 主君を死なせてしまうような過ちは犯しません。 [ヴァンドレ] このヴァンドレ、貴方様を必ずやお守りいたします。 剣となり、盾となり、この命尽きても…ずっとお傍に。