=== リュール & ヴェイル === --- C --- [ヴェイル] ………… [リュール] ヴェイル。 じっと見つめて、どうしたんですか? [ヴェイル] 本当にもう、体は大丈夫なんだよね? [リュール] はい。 異形兵から復活したのは不思議な気分ですが… [リュール] 今はすっかり元気です。 ヴェイルが力を貸してくれたおかげですよ。 [ヴェイル] 良かった… [ヴェイル] あのね、それから… 今までのことずっと、きちんと謝りたかったの。 [ヴェイル] たくさん人を死なせてしまったのはわたしのせい。 わたしが弱くて、自分に負けたせいで。 [ヴェイル] 許されないけど、どうか謝らせて。 本当にごめんなさい。 [リュール] ヴェイルが気に病むことはありません。 全ては、邪竜の洗脳の仕業… [リュール] あなたは自分の力で邪竜の洗脳を解きました。 それは本当にすごいことなんですよ。 [ヴェイル] ありがとう… [ヴェイル] わたし、もっと強くなるわ。 あの日言ったように、世界を救う竜になりたい。 [ヴェイル] この夢が叶うように頑張るから、 わたしのこと見ていてくれる? [リュール] もちろんですよ。 私はお兄ちゃんなんですからね。 [リュール] もちろんですよ。 私はお姉ちゃんなんですからね。 [リュール] 今まで近くにいられなかった分、 できることがあれば手伝います。 [リュール] きょうだいとして、一緒に頑張りましょう。 [ヴェイル] うん! --- B --- [ヴェイル] 竜石を渡してくれた時のこと、覚えてる? [リュール] ごめんなさい。 目覚める前のことは曖昧で… [ヴェイル] わたしね、千年前… 一度だけお兄ちゃんに会ったことがあるんだよ。 [ヴェイル] わたしね、千年前… 一度だけお姉ちゃんに会ったことがあるんだよ。 [リュール] 一度だけ? [ヴェイル] うん。 会ったことがあるのは一度だけ。 [ヴェイル] わたしたちのきょうだいは、 みんな戦争で死んじゃった… [ヴェイル] でもお兄ちゃんだけは生き残って、 わたしに会いにきてくれた。 [ヴェイル] でもお姉ちゃんだけは生き残って、 わたしに会いにきてくれた。 [ヴェイル] 泣いてばかりの弱くて幼いわたしに、 竜石を渡して、励ましの声をかけてくれたの。 [ヴェイル] 一緒にはいられないけど、 私はあなたの味方だ…って。 [リュール] そうだったんですね。 昔の私が… [ヴェイル] もう砕けちゃったけど… あの竜石はずっと、わたしのお守りだった。 [ヴェイル] 辛いことがあった日も、ママが死んだ日も、 再会できたパパに酷いことを言われた日も。 [ヴェイル] 竜石を見て…また会える日を夢見て、 頑張ろうって思ってたんだ。 [リュール] ヴェイル… [ヴェイル] えへへ…覚えてないかもしれないけど、 わたし、とっても感謝してるんだ。 [ヴェイル] あのとき竜石をもらってなかったら、 きっとこうして再会できなかったから。 [リュール] 私こそ感謝しています。千年もの間、 思い続けてくれてありがとうございます。 [リュール] 私も、ヴェイルがいなかったら… こうしてここにいることはできませんでした。 [ヴェイル] これからはずっと一緒にいられるよね? [リュール] もちろんです。 もう離れ離れにはなりませんよ、ヴェイル。 --- A --- [ヴェイル] えへへ、今日も楽しかった! [ヴェイル] 家族で一緒にいられるのって、 こんなに幸せなことなんだね。 [リュール] …ひとつ、聞きたいことがあります。 [リュール] 父親のソンブルのことについては どう思っていますか? [ヴェイル] え… [リュール] 聞いておきたいんです。 敵として対峙する相手ですから。 [ヴェイル] ………… [ヴェイル] パパは、昔も今も大勢の人を傷つけてる。 とても悪い存在だわ。 [ヴェイル] 優しくされた記憶なんて全然ないし、 わたしのことなんて気にも留めてないと思う。 [ヴェイル] でもね… [ヴェイル] パパもお兄ちゃんと同じ家族だから、 心から嫌いになることなんてできないんだ。 [ヴェイル] パパもお姉ちゃんと同じ家族だから、 心から嫌いになることなんてできないんだ。 [リュール] …そう、ですよね。 [ヴェイル] 本当は、三人で仲良くできたらなって思う。 でも、それが無理なのもわかってる。 [ヴェイル] それならせめて…これ以上悲しい思いをする人が 増えないように、パパのことを止めなきゃいけない。 [ヴェイル] …ううん、絶対に止めてみせる。 [ヴェイル] これがわたしの、 パパへの気持ちよ。 [リュール] …ありがとうございます、ヴェイル。 私も同じ気持ちですよ。 [リュール] わかり合うことは、もうできない。 私も全力でソンブルを止めるつもりです。 [リュール] そのためには、あなたの助けが必要です。 [ヴェイル] わたしとお兄ちゃん。 それから、みんながいれば絶対にできるわ。 [ヴェイル] わたしとお姉ちゃん。 それから、みんながいれば絶対にできるわ。 [リュール] 勝ちましょうね、ヴェイル。 その先に私たちの未来はあります。 [ヴェイル] ええ。 --- S --- [ヴェイル] ねえねえ。 お兄ちゃんに渡したい物があるの。 [ヴェイル] ねえねえ。 お姉ちゃんに渡したい物があるの。 [リュール] 渡したい物? [ヴェイル] これ! 大切にしてくれたら嬉しいな。 [リュール] 綺麗な石ですね…! 透き通った青色です。 私のために探してくれたんですか? [ヴェイル] うん! 千年前にもらった竜石のお返しをしたくて。 [ヴェイル] また二人が離ればなれになっても 再会できるようにって願いを込めてるんだよ。 [リュール] …私たちは本当に考えが似ていますね。 [ヴェイル] どういうこと? [リュール] ヴェイル。私からも、あなたに 受け取ってほしい物があるんです。 [ヴェイル] これって…『約束の指輪』!? [リュール] きょうだいとして、大切なパートナーとして、 ヴェイルに持っていてほしいんです。 [ヴェイル] でも… [リュール] この指輪を持つ相手は、 あなた以外に想像できません。 [ヴェイル] だ、ダメだよ。 これは神竜の、特別なものだもん…! [ヴェイル] ルミエルの命を奪ったわたしに… その資格はない…! [リュール] そんなことありません。 私がそう望んでいるんですから。 [リュール] それに、母さんはきっと…ヴェイルの、 私たちの幸せを願ってくれるはずです。 [リュール] …絶対に。 [ヴェイル] ………… [ヴェイル] …わかったわ。 ありがとう。指輪、お受けします。 [ヴェイル] 竜石の次は、この指輪が… わたしの一番のお守りだね。 [リュール] 良かった… [リュール] ずっと大切にしてくれていたと聞いていましたから、 竜石の代わりになる物をと考えていたんです。 [リュール] いえ、代わりになるだけではなく、 私たちの新しい絆を象徴できればと… [リュール] でもまさか、私が渡す前に、 ヴェイルから石をもらうとは思いませんでした。 [ヴェイル] 嬉しいな… わたしたち、本当にそっくりなんだね。 [リュール] さっきヴェイルは、 また二人が離ればなれになってもと言いましたが… [リュール] 私はもう、どこへも行きません。 これからはずっとヴェイルと一緒です。 [ヴェイル] この指輪と石があれば、 もう絶対に離ればなれになんかならないわ。 [ヴェイル] 平和を願っていたルミエルのためにも、 絶対にこの戦を終わらせよう。 [リュール] ええ、がんばりましょう。 [ヴェイル] ありがとう。これから何千年だって傍にいるわ。そして、 この指輪に誓う。共に、世界を救う竜となることを…!