=== リュール & ゼルコバ === --- C --- [リュール] ゼルコバ、何をしているのですか? [ゼルコバ] あ、神竜様。今、ロウを溶かして 「キャンドル」を作っているところです。 [リュール] えっ、すごいですね… キャンドル作りが趣味なんですか? [ゼルコバ] 「趣味」と言うと聞こえがいいですが、 まあ「暇つぶし」ですね。 [リュール] 暇つぶし? [ゼルコバ] 「人生は死ぬまでの暇つぶし」なんて言う人が いますが、俺はその「考え方」に賛成です。 [リュール] ゼルコバは哲学的な人なんですね。 話す言葉も意味深な感じがしますし。 [ゼルコバ] あっはっは。「そんなこと」ないですよ。 [ゼルコバ] 確かに俺は「意味深な」ものの言い方をします。 でも「全く」意味がありません。 [ゼルコバ] これも「暇つぶし」の一つ。 意味など何もない「自己満足」なのです。 [リュール] へえ…! [ゼルコバ] な、なんですか? そんなに「キラキラ」とした目で俺を見て… [リュール] なんか、すごく興味深いのです。 私とは感性が違うというか… [リュール] 私が知らないものを、たくさん知ってそうな気がして… [ゼルコバ] ふっ、「変わった」お方ですね。 では今度、「面白いところ」にお連れしましょう。 [リュール] 面白いところ? [ゼルコバ] ええ。「今」は言えません。 来ていただいてからの「お楽しみ」です。 [リュール] わかりました。楽しみにしています! --- B --- [ゼルコバ] ここが、前に言っていた「面白いところ」… 俺の「趣味」の結晶、「秘密の小屋」です。 [リュール] うわぁ! 壁一面が棚に! [ゼルコバ] ええ。 ここに趣味のものを「収集」しているんです。 [ゼルコバ] それは凝りに凝った「料理」の調理法。 これは俺だけが知る秘密の「散歩道の地図」。 [ゼルコバ] そっちは俺が開発した「鍛錬方法の極意集」。 あれは「ピカピカ」になるまで磨いた「小石」たち。 [ゼルコバ] こっちは「何となく」拾ったフワフワの「毛玉」たち。 それから… [ゼルコバ] ふっ、「この辺で」やめておきましょう。 説明「だけ」で何時間もかかってしまうので。 [ゼルコバ] とにかく全てが「暇つぶし」の結晶です。 どうぞ、「ご自由に」見たり触ったりしてください。 [リュール] ありがとうございます! うわぁ…どれもこれもすごい…! [ゼルコバ] 俺は毎日、「仕事」が終わると すぐに「こういったもの」に没頭しています。 [ゼルコバ] それは目の前の暇つぶしを楽しむと同時に、 「明日の暇つぶし」を「確保」する作業でもあります。 [ゼルコバ] 「生きる目的」が急になくならないよう、 俺は常に「備え」をして生きているのです。 [リュール] か、かっこいい… やはり、ゼルコバは哲学的ですね! [ゼルコバ] そうですか? [ゼルコバ] こんな「戯れ言」に付き合っていただいて 「退屈」じゃなければいいのですが… [リュール] とんでもないです。もうワクワクしちゃって。 正直、ここから出たくないです! [ゼルコバ] あはは、「そう」言っていただけて光栄です。 好きなだけ「楽しんで」ください。 --- A --- [ゼルコバ] ふぅ…今日も仕事が終わった… あとは寝るまで最高の「暇つぶし」を… [リュール] あ、ゼルコバ! 「待って」ましたよ! [ゼルコバ] し、神竜様!? [リュール] 今日は「早く」用が終わったので、 「一人で」きちゃいました。「いい」ですよね? [ゼルコバ] べ、別に「いい」ですけど… 「しゃべり方」が…無駄に意味深ですよ…! [リュール] そうですか? ゼルコバに「影響」されたのかもしれませんね。 [ゼルコバ] 気をつけてくださいよ… 周りの人たちに「変な目」で見られてしまいます。 [リュール] そんなの全然「いい」ですよ。 悪いことをしているわけではありませんからね。 [リュール] ただ、「意味深に話す」という名の「暇つぶし」に 「興じて」いるだけですから。 [ゼルコバ] いやいやいやいや、いけませんよ、神竜様! 「俺」みたいな奴の影響だけは「受けちゃ」ダメです! [リュール] 「どうして」ですか? [ゼルコバ] だって、俺と神竜様では「何もかも」が違って… 神竜様には大事な「やるべきこと」がありますから… [ゼルコバ] 俺から「変な」悪影響は受けずに、 ご自分の道を「しっかり」歩んでください。 [リュール] 「嫌」です。少なくとも、この部屋では。 [ゼルコバ] えっ? [リュール] 確かに「私」と「ゼルコバ」の間には いろんな「違い」があります。 [リュール] でも、この部屋に「いる」ときは、 そんな「違い」なんて「関係」なくないですか? [リュール] 私もあなたも、「暇つぶし」に 「心」をときめかせているだけです。 [ゼルコバ] …「ぐうの音」も出ません。 「下らないこと」を言ってすみませんでした… [リュール] 謝らないでください。それより「早く」! 今日も収集の「説明」をしてください! [ゼルコバ] わかりました。 では今日は、「これ」はどうですかね。 [ゼルコバ] 「無駄に意味深に言ってみたい、100の言葉」 [リュール] うわぁ! 「興味」あります! 「ぜひ」お願いします! --- S --- [ゼルコバ] お待ちしていましたよ、神竜様。 さ、「そこ」におかけになってください。 [リュール] 今日は何を話してくれるんですか? [ゼルコバ] …今日は「俺のこと」をお話ししようと思います。 [リュール] あなたのこと? [ゼルコバ] 前に言いましたが、俺は「生きる目的」が急に なくならないよう、常に「備え」をして生きています。 [ゼルコバ] どうして、そんな「生き方」をするようになったのか… そこには俺の「闇」が関係しています。 [ゼルコバ] 実は俺は子どものころ、家族を「全員」失いました… 賊に襲われて、「皆殺し」にされたんです… [リュール] そんな… [ゼルコバ] 俺は賊への「復讐」を誓い… 「暗殺」を生業にするようになりました… [ゼルコバ] そして「十年」ほど前、憎き賊を探し出し、 望み通りに「復讐」を果たしたのです… [ゼルコバ] でも目的を達した瞬間、俺は「灰」になりました… 「生きる目的」を失ってしまったのです… [ゼルコバ] …その後、俺は運良くハイアシンス王の目にとまり、 王城兵に「取り立てて」いただきました。 [ゼルコバ] 久々に「やるべきこと」が見つかった俺は、 寝る間も惜しまず働き、王女の臣下へと栄転しました… [ゼルコバ] …「話」は以上です。 [リュール] 話してくれてありがとうございます。 でも、どうして私にそれを… [ゼルコバ] 人生という名の暇つぶしを、神竜様のパートナーとして、 一緒に楽しみたいと思ったからです… [リュール] え… [ゼルコバ] …「今の」は忘れてください。 嫌ですよね、「こんな奴」がパートナーだなんて。 [リュール] いえ、その逆です。 すごく嬉しいです… [リュール] 私も、これを渡したかったんです。ずっと。 今の言葉で、やっと勇気が出ました。 [ゼルコバ] これは…『約束の指輪』…? [リュール] あなたの人生の暇つぶしに付き合わせてください。 叶うなら、あなたの一番近くで。 [ゼルコバ] し、神竜様…「本気」ですか? [リュール] はい。 嘘で言えることだと思いますか? [ゼルコバ] いいえ。ありがとうございます…! 喜んでお受けいたしましょう… [ゼルコバ] 神竜 様… 俺からも、これを。 [リュール] ネックレスですか? すごく綺麗です。 [ゼルコバ] あなたのために手作りした、想いの証です。 素材、工法、全てにおいて…徹底的に凝りました。 [リュール] ありがとうございます。 [リュール] …あれ? [ゼルコバ] どうされましたか、神竜様。 [リュール] ゼルコバの話し方が… 少し、変わったような気がして。 [ゼルコバ] ふっ…こんなときにまで、 意味深な言い回しなどしなくてもいいでしょう。 [ゼルコバ] 今はあなたに…俺の飾らない言葉を 聞いていただきたい気分なのですよ。 [リュール] ふふ…そうですか。 [リュール] ではゼルコバ、ぜひ聞かせてください。 ネックレスのどういうところを凝ったのか。 [ゼルコバ] わかりました。 一から十まで全てお話ししましょう… [ゼルコバ] ネックレスに込めた、俺なりのこだわり… そして…ずっと胸に抱いてきた、あなたへの想いを…