=== メリン & ボネ === --- C --- [ボネ] やあ、メリン。よくきてくれた。 そこに座ってくれ… [メリン] わざわざ呼び出して、どうしたんだい? [ボネ] 料理の新作を作った。 お前に試食してもらいたい。 [メリン] 新作? [ボネ] 世界に平和が訪れたら、 実家の食堂を再建したいと思っている。 [ボネ] そのときのためにも、 暇を見ては新しい料理作りに励んでいるんだ。 [メリン] そうなんだ。すごいね…! [ボネ] 今日は、鶏肉の煮込みを作ってみた。 [メリン] うわっ…本格的…! [ボネ] なかなか手に入らない珍しい鶏肉を、 弱火で数日間煮込んだ。 [ボネ] 香辛料は多種多様なものを用いている。 体を温める効果のものもあるから健康にもいい。 [ボネ] さ、食べてみてくれ。 [メリン] うん、では試食させてもらうよ。 いただきます! [メリン] ………… [メリン] なんだこれは… 鶏肉が溶けるように柔らかい。 [メリン] 口の中に素朴なうま味が広がっていく… 素材本来の味とでもいうのかな。 [メリン] 香辛料たちは鶏肉のうま味の邪魔をせず… 互いに引き立てあって、見事に共存している… [ボネ] …味の表現がうまいな。 [メリン] ご馳走様! [メリン] すごいよ、ボネ。 とっても美味しかった。 [ボネ] よかった。 寝る間を惜しんで作った甲斐があった。 [ボネ] 協力に感謝するぞ、メリン… [メリン] こちらこそ。 素晴らしい料理をありがとう。 --- B --- [メリン] ボネ、噂を聞いたよ。 珍獣が好きなんだってね? [ボネ] え…? [メリン] 偶然にも、僕も同じなんだ。 今度、珍しい動物たちのいる場所を案内するよ。 [メリン] そこで、心ゆくまで珍獣を眺めよう。 この間のお礼をさせてほしい。 [ボネ] ………… [ボネ] いや、私は… そういったことには興味はないんだ。 [メリン] そうなのかい? 見るだけじゃ物足りない? [ボネ] いや…その… [メリン] どうしたんだい、ボネ… [メリン] ………… [メリン] あっ、もしかして!! [ボネ] ? [メリン] まさか君は! よからぬことを考えているね! [ボネ] よからぬこととは…? [メリン] 君は料理人だ。動物の肉を料理する… この前だって、珍しい鶏肉とか言っていた。 [メリン] もしかして…! 珍獣を料理したいと考えているんじゃ…! [ボネ] い、いや…! そんなことは考えていない! [メリン] 本当かい? じゃあ、僕に優しくしてくれた理由は? [ボネ] そ、それは… [メリン] 忠告しておくよ。 僕は怒らせると怖いんだ。 [メリン] もし珍獣を料理しようと考えているのだとしたら、 とんでもない目に遭わせるよ。 [ボネ] メリン、落ち着いてくれ。 そういうことじゃないんだ。 [メリン] 君が珍獣を料理する前に、僕が君を料理する。 よく覚えておくんだね。 [メリン] [ボネ] うぅ…違うと言っているだろう… --- A --- [メリン] …ボネ。 こんなところに呼び出して、なんの用だい? [メリン] もし珍獣の料理を出そうというのなら、 そのときは… [ボネ] 落ち着け。それは誤解だ。 [メリン] えっ? [ボネ] 私が興味があるのは、 いわゆる珍獣のことではない… [ボネ] お前のことだ。 [メリン] ………… [メリン] …はい? [ボネ] メリンとは同じソルムの王族に仕えていながら、 あまり深く関わる機会がなかった。 [ボネ] なかなか話しかけにくくてな… 私は内に籠るタイプだが、お前は活動的だ。 [ボネ] 口を開けば、珍獣、珍獣… しかし、いつも…本当に楽しそうだった。 [ボネ] そんなお前のことを、私は「珍獣メリン」と呼び、 いつの日か友だちになりたいと思っていた。 [ボネ] …それだけのことだ。 [メリン] ………… [メリン] ぼ、僕が珍獣…? [ボネ] すまない。言葉が足りなかったか… 珍獣好きのメリン、という意味だ。 [ボネ] 決して侮辱しているわけでは… [メリン] 珍獣メリン!!!! 最っ高の呼び名じゃないか!!!! [ボネ] ん? [メリン] ごめんよ、ボネ! 僕と仲良くなりたいと思ってくれていただなんて。 [メリン] 僕は完全に誤解していたみたいだ…! [ボネ] いや、謝る必要はない。 誤解させてしまったのは私のせいだ。 [ボネ] 私は変わり者でな。人に誤解されやすい。 申し訳ない… [メリン] そんなことを言ったら、 僕だって変わり者さ! [メリン] 変わり者同士、これからは仲良くしよう。 ボネ…! [ボネ] 誤解がとけたところで、 今日も試食してもらえないか…? [ボネ] そして… 食べたら料理に名前をつけてほしい。 [メリン] えっ? 僕が? 好きな名前をつけていいの? [ボネ] ああ…この前の味の表現に感銘を受けてな。 自由につけてくれ。 [メリン] じゃあ…どうしようかな…? やっぱり珍獣の名前にしようかな… [ボネ] それはやめたほうがいい。 珍獣の肉だと誤解されるぞ… [メリン] あっ! た、確かに…! [ボネ] 今日はたっぷり時間がある。 料理を食べながら、じっくりと名前を考えてくれ。 [メリン] ああ、そうだね。 --- S ---