=== メリン & パネトネ === --- C --- [メリン] さてと、今日も歌の練習を始めよう。 [メリン] 今日からは、姫が作詞作曲した 『行け行け前向き三人娘』の練習だよ。 [メリン] 次に姫と一緒に練習するときまでに しっかり歌えるようにしておかないとね。 [パネトネ] ええ…そうでございますですね… [メリン] ん? どうしたんだい? 元気がないけれど… [パネトネ] よくない御噂を聞いてしまったので ございますです… [メリン] よくない噂って? [パネトネ] なにやら、わたくしたちは『ソルムの騒音』と 呼ばれているらしいのでございますです。 [メリン] えっ? [メリン] もしかして、僕たちの歌が騒音ってこと? [パネトネ] そういう意味だそうで… [メリン] ………… [メリン] た…確かに僕は歌がうまくない。 子供のころからそうだった。 [メリン] でも、姫が「個性的でいいよ」ってほめてくれるから いつの間にかうまくなったんだと思ってた。 [パネトネ] わたくしもでございますです。 [メリン] 困ったね… 急にやりにくくなったよ。 [パネトネ] 今日は、少し小さめの声で 練習するでございますですか? [メリン] ああ、それがいいかもね。 [パネトネ] では、慎ましく始めるでございますです… せーの… --- B --- [メリン] …この間の練習、どうだった? [パネトネ] 何がでございますですか? [メリン] ほら、慎ましく歌の練習をしただろう? 苦情とかこなかったかい? [パネトネ] それでしたら御安心を。 何の報告も届いていないでございますです。 [メリン] それならよかった… 心配していたんだよ… [メリン] ………… [メリン] …いや、違う。 それじゃダメだ! [パネトネ] えっ? [メリン] 騒音だと言われて、コソコソ練習しては 苦情が来なかったと胸を撫で下ろす… [メリン] 全然、かっこよくない! 歌がうまくなれば、そんな心配いらないのに! [パネトネ] 確かにその通り… [パネトネ] こんなコソコソ生きるのは、 ミスティラ隊らしくないでございますです! [パネトネ] こんなことが姐さんに知れたら、 泣かれてしまうでございますですわ! [メリン] そんなのダメだ…! 姫を泣かせたりしたら、僕は生きていられない! [パネトネ] わたくしもでございますです! [パネトネ] でも、どうやったら、 歌がうまくなるのでございましょう… [メリン] こうなったら、姫に助言してもらうのはどうだい? [パネトネ] 姐さんに? [メリン] ただし、今度は真面目に助言してもらうんだ。 個性的とかいうのは無しで。 [パネトネ] それは名案でございますですね! ぜひそういたしましょう! --- A --- [メリン] 姫から歌の助言をもらったけど… 難易度が高かったね… [パネトネ] ええ… [メリン] 「メリンはもっと、歌いたいっていう気持ちを ヘソの下にグッと溜めて!」 [パネトネ] そんなこと言われても、困りますですわよね… [メリン] でもね、少しわかってきたんだ。 [メリン] 確かにヘソの下辺りを意識して歌うと、 歌声がブレなくて安定するんだよ。 [パネトネ] あの御助言を自分のものにするなんて、 素晴らしいでございますです。 [メリン] ンッフフ、ありがとう! パネトネはどうだい? [パネトネ] 「パネトネのはボーン! だけど、 もっとキューン! がほしいよね」と言われ… [パネトネ] 目まいがするぐらい混乱したでございますです。 [パネトネ] ですが、試しに「ボーン!」と「キューン!」を 意識してみたら… [パネトネ] うまくなったような気がいたしますです! [メリン] 良かった! これでもう二度と、 ソルムの騒音なんて言わせないね。 [パネトネ] ええ。わたくしたちの歌は、 皆様を喜ばせるためにあるのですわ! [メリン] そうだ! 鼓膜を破るためじゃない! [パネトネ] わたくしたち、このまま上手くなれば 御演奏会も夢ではないと思いませんか? [メリン] 演奏会? [パネトネ] ソルムの天使、圧倒的な歌唱で国民を魅了する… とか言われるに違いないのですわ…! [メリン] そ、そんなの最高じゃないか! 天使って言われたい! [パネトネ] あぁ…ワクワクしてきましたですわ! 早く練習を始めましょうです! [メリン] じゃあ行くよ。 今日も『行け行け前向き三人娘』の練習だ! [パネトネ] ミスティラ隊の名に恥じない 素敵な歌に仕上げるでございますです! --- S ---