=== ミスティラ & パネトネ === --- C --- [ミスティラ] あー、楽しかった! 久しぶりの走りだったね! [パネトネ] はい、姫様。 やはりオオカミに乗って爆走するのは最高ですわね。 [ミスティラ] 昔はよく、夜中にこうやって 二人でオオカミに乗って爆走できたのにねー。 [パネトネ] 仕方ありませんわ。 今は戦の最中ですから。 [ミスティラ] ふふふ。 でもさ、パネトネって昔に比べると丸くなったよね。 [パネトネ] な、何を急に言い出すのですか!? [ミスティラ] だってパネトネと初めて会ったときはさ… [ミスティラ] 野盗を木に縛り付けて オオカミのエサにしようとしてたじゃない。 [パネトネ] お、脅しですわよ! 本気で食べさせようとしてたわけじゃありません! [ミスティラ] それに言葉使いだって、 昔は… [ミスティラ] いーい度胸だ! オモテに出やがれ、ザコどもが! って、感じだったし。 [パネトネ] や、やめてくださいですわ! 昔のわたくしのモノマネは! [ミスティラ] ふっふふ~。 [ミスティラ] あたしは昔のパネトネも 今のパネトネもどっちも好きだけどな~。 [パネトネ] ま、まったくもう… 困った姫様ですこと! --- B --- [パネトネ] 昔と比べると丸くなった… 確かにそうですわね。 [パネトネ] ですが、それは全部、 姫様のせいですわ。 [ミスティラ] あたし? なんかしたっけ? [パネトネ] 姫様と出会った頃のわたくしは、 荒れに荒れていましたわ。 [パネトネ] 家庭環境がよろしくなかったので、 そのうっぷんを晴らすために街へ出て… [パネトネ] シャクに障る方と出会ったら 片っ端からケンカをするような毎日… [パネトネ] 今、思い返しても 本当にロクでもない日々を送っていましたわ。 [パネトネ] ですが、そんな時に姫様と出会ったのです。 [パネトネ] わたくしと同じような 不良少女だと勘違いしてましたけどね。 [ミスティラ] あははは。 あたしたちって、出会ってすぐに意気投合したよね。 [ミスティラ] 朝まで荒野をオオカミで爆走したり、 一緒に野盗を壊滅させたりして。 [パネトネ] ええ。 そうですわ。 [パネトネ] 姫様と出会ったことで少しずつですが、 わたくしは正しい方向へと向いていったのですわ。 [ミスティラ] 正しい方向って… オオカミで爆走も? [パネトネ] そ、それではなく! 泥棒退治とか、野盗退治とかですわ! [パネトネ] 姫様はわたくしの行き場のない怒りを よいことに使うように導いてくれたのですわ。 [ミスティラ] そんなつもりはなかったんだけどね。 [パネトネ] ええ、わかっていますわ。 [パネトネ] ですが、姫様と出会っていなかったら… [パネトネ] わたくしは自身の怒りに飲まれ、 見境なしに他者へとその怒りをぶつけたり… [パネトネ] 己の不遇を嘆くだけの 寂しい人生を送っていたかもしれませんわ。 --- A --- [ミスティラ] あたしと出会ってなかったら パネトネは寂しい人生を送っていた… [ミスティラ] あたしはそうは思わないけどなー。 [パネトネ] なぜそう思うのですか、姫様? [ミスティラ] 確かに昔のパネトネは荒れてたけど、 それでも真面目で優しい性格なのはわかったもん。 [ミスティラ] 悪党を懲らしめるときも 必要以上には痛めつけなかったし。 [ミスティラ] 夜通し爆走した後は ずっとオオカミたちの体をいたわってたし。 [ミスティラ] そんな子は、あたしに出会わなくても 満足できるような人生を送れてたと思うよ。 [パネトネ] 姫様… [ミスティラ] ま、そんないい子だってわかってたからこそ 強引に臣下になってもらったんだけどね。 [パネトネ] あの時は本当に驚きましたわ。 まさか不良爆走仲間が王女様だったなんて。 [ミスティラ] めちゃくちゃお願いしたよね! あたしの臣下になって! お願いお願いって! [パネトネ] 最初は信じられませんでしたわ。 わたくしみたいな爆走娘を臣下に迎えるなど。 [ミスティラ] ありがとう、パネトネ。 あたしの臣下になってくれて。 [パネトネ] あ、あらためて言われますと恥ずかしいですわ。 それにお礼を言いたいのはわたくしの方ですのに… [ミスティラ] あたし、ちゃんと知ってるからね。 [ミスティラ] あたしに恥をかかせないよう、 王家に失礼のないよう、 [ミスティラ] 臣下になったその日から… [ミスティラ] パネトネが臣下にふさわしい言葉使いや、 所作を学んでくれたって。 [パネトネ] そ、そんなのは当然のことですわ。 [ミスティラ] パネトネ。 覚えておいて。 [ミスティラ] あなたのその努力に報いるためにも あたしは立派な女王になってみせるから。 [ミスティラ] 臣下のあなたが恥ずかしくないような女王に。 [パネトネ] はい、姫様… どこまでも信じてついていきますですわ。 --- S ---