=== パンドロ & ヴェイル === --- C --- [パンドロ] ヴェイル様。 少しよろしいでしょうか。 [ヴェイル] ええ。 どうしたの? [パンドロ] オレ、神竜を信仰する教会の聖職者なんです。 [パンドロ] だから、ヴェイル様のことも信仰対象として お祈りさせてもらってもいいですか? [ヴェイル] えっ… [ヴェイル] わたしにお祈りなんて… しない方がいいよ。 [パンドロ] どうしてですか? ヴェイル様は竜族ではありませんか。 [パンドロ] 竜は神聖な生き物… 信仰対象として何ら不自然ではないはずです。 [ヴェイル] 竜族は竜族でも… わたしは、神竜じゃなくて邪竜だわ。 [ヴェイル] パンドロは神竜を信仰する聖職者なんでしょ。 だから、わたしに祈るのは間違いだよ。 [パンドロ] 神竜だとか邪竜だとか、 そのようなことは関係ありません。 [ヴェイル] パンドロだって、わたしが みんなに何をしたか知ってるでしょ? [ヴェイル] わたしにお祈りなんてしたら、 きっと信徒たちに白い目で見られちゃうよ。 [パンドロ] そんなことはありません。 ソルムは自由な国ですから。 [パンドロ] みんな、きっと同じように ヴェイル様にお祈りするはずです。 [ヴェイル] そんなことよくないって… [パンドロ] ヴェイル様は考えすぎです。 絶対に大丈夫ですから。 [ヴェイル] …そうなのかな。 --- B --- [ヴェイル] ねぇ、パンドロ。 [パンドロ] はい、なんでしょうか。 [ヴェイル] ど、どうして… こうなっちゃったの? [パンドロ] 野菜、小麦、お肉に魚… けっこうな量になりましたね。 [ヴェイル] 物が多すぎて身動きがとれないよ。 [ヴェイル] なんでみんな… わたしに贈り物を持ってくるの? [パンドロ] ヴェイル様のことを、 信仰対象として認めている証拠ですね。 [ヴェイル] ソルムが自由な国だっていうのはわかったよ… [ヴェイル] でも、どうしてパンドロやみんなは わたしに優しくしてくれるの? [ヴェイル] 全然…理解できないよ… [パンドロ] 人には怒る気持ちや復讐心だってあります。 でも、他者を許す心も持っているんです。 [パンドロ] ソルム王国だけでなく、大勢の人が ヴェイル様が変わったことを噂で知っています。 [パンドロ] 実際にヴェイル様に会えば、 だれでもきっと優しくしてくれるはずです。 [ヴェイル] そ、そうなのかな… [ヴェイル] だったらわたし… みんなにもお返しがしたいな。 [ヴェイル] 元気をもらったのはわたしも同じだから。 [パンドロ] それはいい考えです。 きっと、みんな喜ぶはずです。 --- A --- [パンドロ] うえーーーーいっ! みんなのってるかーーっ! [ヴェイル] い、いえーい… [パンドロ] ヴェイル様。 声が小さいですよ。 [ヴェイル] で、でも… なんだが恥ずかしくて… [パンドロ] ヴェイル様がみんなにお返しがしたいと 提案した宴ですよ。 [パンドロ] ヴェイル様が楽しまなくてどうするんですか。 [ヴェイル] う、うん… そう…だよね… [ヴェイル] パンドロに相談してやっと開催できた宴だもん… ちゃんと日頃の感謝を伝えなきゃ… [ヴェイル] い、いえーーーーいっ! みんな、きょ…今日はきてくれてありがとう! [ヴェイル] もらった贈り物のお礼がしたいから、 今日はたくさん楽しんでいってね! [ヴェイル] ………… [パンドロ] 参加した人々もほとんどが帰りました。 ヴェイル様、そろそろ片付けのお時間です。 [ヴェイル] …のし…かった… [パンドロ] ? [ヴェイル] 宴…とっても楽しかった… [ヴェイル] みんな笑顔でわたしのことを慕ってくれて、 楽しい話がいっぱいできて。 [ヴェイル] 夢みたいな時間だったよ。 [パンドロ] オレの言ったとおりだったでしょう。 みんなヴェイル様が変わったのを知ってるって。 [ヴェイル] もしかしたら心のどこかでは… わたしに不信感を持っている人もいたかもしれない… [ヴェイル] でも、新しいわたしのことを… 少しはわかってくれた気がするよ。 [ヴェイル] 今日が終わっちゃうのが寂しいな… [パンドロ] 悲しむことはありません。 宴なんて何度でも開けばいいんです。 [ヴェイル] そっか、そうだよね。 [パンドロ] かといって、開きすぎるのも 遊んでいると思われてしまいます。 [パンドロ] 今度この規模の宴を開くなら、 世界が平和になったあとですね。 [ヴェイル] うん… [パンドロ] もちろん、それまでオレも手伝います。 ヴェイル様は信仰対象であり大切な仲間ですから。 [ヴェイル] パンドロ、ありがとう。 [ヴェイル] みんなでまた楽しい宴ができるように、 わたし…これからもっと頑張るね。 --- S ---