=== パネトネ & パンドロ === --- C --- [パネトネ] 兄さん。 今、時間はありますですか? [パンドロ] 何だ水臭い。 妹のためなら、時間ぐらいいくらでも作ってやる。 [パネトネ] ありがとうございますですわ。 実は前から聞きたいことがあったのでございます。 [パンドロ] …その言葉遣いも水臭いぞ。 [パネトネ] ですが… [パンドロ] それが努力して身に着けたものだってのは知ってる。 でも、ここにはオレしかいない。 [パンドロ] 兄の前でぐらい、楽に話せって言ってるんだ。 パネトネ。 [パネトネ] ………… [パネトネ] 兄さんはどうして聖職者なんかしてんだよ? [パンドロ] 何を聞くかと思えば。 [パネトネ] 酒浸りの父親と、子供の面倒もろくに見ない 堕落した聖職者の母親… [パネトネ] アタイたちの両親は最低だっただろ。 [パネトネ] なのに、なんで両親の意志を継いで 実家の教会を守っているのか疑問なんだよ。 [パンドロ] パネトネがいなくなったあと、 両親が蒸発したって話はしたよな。 [パネトネ] ああ。 [パンドロ] オレは教会を愛してくれる人たちを 失望させたくなかった。 [パンドロ] だから、聖職者になったんだ。 [パネトネ] そうだったのか… [パンドロ] パネトネもたまには教会にきて 祈ってくれてもいいんだぜ? [パネトネ] それは遠慮させてもらう。 [パネトネ] アタイにとって実家の教会は、 忌まわしい場所だ… [パネトネ] 何があったとしても、 再び足を踏み入れることはないさ。 [パンドロ] …そうか。 --- B --- [パネトネ] アタイが家出をしたこと、 兄さんは一度も悪く言わないよな? [パンドロ] パネトネが自由になれたんだ。 悪く言う必要なんてないだろ。 [パネトネ] そうか。 アタイはてっきり恨まれてるものとばかり… [パンドロ] オレには逃げ出す勇気がなかっただけだ。 家を出たところで生き残れる保証もなかったからな。 [パンドロ] お前はすげーんだよ。臣下として雇われるまで… 一人で生き残ってきたんだから。 [パンドロ] パネトネが生きていると知ったら、 あの両親もきっと驚くと思うぜ。 [パネトネ] どうだか。 アタイには何の興味もないと思うね。 [パンドロ] ………… [パンドロ] この話をするべきか正直迷うが… 隠し事は嫌だから、一応話しておくぜ。 [パンドロ] パネトネが家出をしたあと、 実は両親はパネトネを探していたんだ。 [パネトネ] まさか… そんなこと…あるはずない。 [パンドロ] オレも驚いたぜ。 [パンドロ] もしかしたら… 世間体のためだったのかもしれないけどな… [パンドロ] でもこの事実だけは、お前に伝えておくぜ。 [パネトネ] ………… [パネトネ] そんなことを今さら言われても… アタイは… --- A --- [パンドロ] ………… [パネトネ] 兄さん、お祈り中か? [パンドロ] …よく教会にきてくれたな。 [パネトネ] 嫌な思い出が多すぎて、 本当は来たくなかった。 [パネトネ] でも、ここは実家の教会じゃない。 兄さんが守ってきた教会だ。 [パネトネ] 少しは顔を出してやるのぐらい、 いいかもと思っただけだよ。 [パンドロ] それでも、よく来てくれた。 [パネトネ] それじゃ… お祈りさせてもらうよ… [パネトネ] ………… [パネトネ] 世界の平和を願って、 祈らせてもらったよ。 [パネトネ] ついでに少しだけ… 両親がどこかで元気でやってることも。 [パンドロ] パネトネ… [パネトネ] アタイたちの両親は… 今ごろ何をしてるんだろうな。 [パンドロ] さぁな… もう死んでるような気もするが… [パンドロ] パネトネとオレが再会したように、 どこかで会うこともあるかもしれない。 [パネトネ] アタイたちは、もう大人だ。 感情的だったあの頃とは違う。 [パネトネ] もし、また会う機会があったら… そのときはきちんと、話をしてもいいかもな。 [パンドロ] そうだな… [パンドロ] きっと驚くはずだぜ。 オレもパネトネも立派に成長したからな。 [パネトネ] ………… [パンドロ] パネトネ… この戦いで、絶対に死ぬんじゃねーぞ。 [パンドロ] もう家族が離ればなれになるのは こりごりだからな。 [パネトネ] 当たり前だ。 アタイは絶対に死なない。 [パネトネ] むしろ、アタイが兄さんのことを しっかり守ってやるよ。 [パンドロ] はははっ、頼もしい妹だ。 パネトネがいれば、絶対に負けることはねーな。 [パネトネ] アタイら兄妹は最強だ。 絆は誰にも負けねえよ。 --- S ---