=== ロサード & モーヴ === --- C --- [ロサード] あ、モーヴだー。 [モーヴ] ロサードか… [ロサード] ねえ、モーヴ。 なんかいつも難しい顔してるよねー? [モーヴ] 自分ではそんな心算はないのだがな。 [ロサード] だってオレのかわいい顔を見ても ぶすーっとしてるし。 [モーヴ] そう言われても困る。 [モーヴ] 俺は娯楽などを知らずに生きてきた。 だから、かわいいというものがわからない。 [ロサード] それだ! それだよ、モーヴ! [モーヴ] 何だ? [ロサード] かわいいを知らないから、 ぶすーっとしてるんだよ! [ロサード] そんなんじゃ人生楽しくないから、 オレがかわいいとは何かを教えてあげるよー。 [モーヴ] …本当に必要なことなのか? [ロサード] 当然。 何よりも最優先だよ。 [ロサード] かわいいを知らない人生なんて、例えば… 激辛鍋から激辛を抜いたようなものなんだよ? [モーヴ] それは味気ないな。 ならばここは教えを乞うとしよう。 [ロサード] 任せといて。 モーヴにとびっきりのかわいいを教えてあげるよ。 --- B --- [ロサード] ええとね、これなんかどう? ミミナガウサギの形をした小物入れ。 [ロサード] なかなかのかわいさだよねー。 モーヴもそう思うでしょ? [モーヴ] ふむ… ウサギの形をしている、とは思う。 [ロサード] じゃあこっちは? 夏に咲く花がたくさん刺繍されてる手ぬぐい! [モーヴ] そうだな… 見事な刺繍だ、とは思う。 [モーヴ] だが、やはり俺には かわいいという感覚がわからないようだ。 [モーヴ] すまん… [ロサード] なかなか手強いなー。 どうすればかわいいを教えられるんだろ。 [ロサード] モーヴはさ、 こう胸がきゅんきゅんしちゃう瞬間はない? [モーヴ] きゅんきゅん? [ロサード] はぁぁぁ! 何これ! 胸がきゅんきゅんする! かわいい! [ロサード] みたいな感じだよー! [モーヴ] 胸がきゅんきゅんか… [モーヴ] 敵から毒矢を受けたときに そんな状態になったことはある。 [ロサード] それはかわいいじゃない… ただ毒で鼓動が早くなってるだけだよ… [モーヴ] やはり俺には無理なのだ。 かわいいを理解することはな。 [モーヴ] 幼少時はずっと邪竜信徒の教育を 洗脳に近い形で受けてきた。 [モーヴ] 俺に洗脳は効かないが… かわいいとは無縁の生活を送ってきたのだ。 [モーヴ] だから、今さら俺がかわいいを理解するのは… [ロサード] モーヴ… [モーヴ] 悪かったな。 手をわずらわせた。 --- A --- [ロサード] モーヴ。 [モーヴ] ロサードか。どうしたんだ? かわいいを教えてもらう授業はやめたはずだが。 [ロサード] そうだねー。 残念だけど今は機会が悪いかも。 [ロサード] モーヴは真面目で優しいからさ。 戦が続いてる限りはそっちに集中してるだろうし。 [モーヴ] 確かに余計なことを考えられるほど 器用でもない… [モーヴ] もっと早くに気づければ、 貴殿に迷惑をかけなかった。 [モーヴ] すまなかったな。 [ロサード] そ、そんなの気にしなくっていいって! …代わりにさ、約束しない? [モーヴ] 約束? [ロサード] 今は余計なこと考えられないんだったら… 平和になった後、たくさん余計なことをしようよ! [モーヴ] …平和になった後、か。 [モーヴ] ふっ。 ロサードは変わっているな。 [モーヴ] 俺なんかよりも他の者と周った方が 有意義な時間を過ごせると思うが? [ロサード] いいんだよー! オレはモーヴと一緒に周りたいんだ! [モーヴ] ロサード… [ロサード] じゃ、約束ねー! 平和になったら、一緒にかわいいもの巡りをする! [モーヴ] ああ。 お前が望むのならいくらでも付き合おう。 [モーヴ] だが、激辛料理巡りにも付き合ってもらうぞ。 [ロサード] ええ!? でも、モーヴが楽しいなら、いいよ! [モーヴ] ふっ。楽しみだ。 早くこの戦を終わらせねばな。 --- S ---