=== スタルーク & シトリニカ === --- C --- [シトリニカ] やっ! [シトリニカ] ふぅ… なかなかうまくいかないわね。 [スタルーク] シトリニカ。 魔法の特訓をしているのですね。 [シトリニカ] スタルーク。 どうしたの? 迷子? [スタルーク] ち、違いますよ! 偶然、通りがかっただけです! [シトリニカ] そう。 それならよかったわ。 [スタルーク] シトリニカは立派ですね。 時間が空けば魔法の特訓を重ねていますから。 [スタルーク] 僕はシトリニカ以上の努力家を知りません。 [シトリニカ] ありがとう、スタルーク。 [シトリニカ] でも、まだ足りないわ。 今のままじゃ全然、だめなの。 [シトリニカ] わたしはもっと強くならないと。 [スタルーク] 今のままでも大丈夫ですよ。 シトリニカのことは僕が守りますから。 [シトリニカ] 自分よりも周りの人を優先しようとするその姿勢… スタルークは昔から変わらないわね。 [シトリニカ] でも、その優しさに甘えるわけにはいかないの。 [シトリニカ] だって、わたしは… [スタルーク] シトリニカ? [シトリニカ] ううん。 なんでもないわ。 [シトリニカ] わたし、特訓を続けないと。 それじゃあね、スタルーク。 [スタルーク] はい… [シトリニカ] [スタルーク] シトリニカ… 何か悩んでるみたいですね。 --- B --- [シトリニカ] …ダメね。 この程度の力じゃ全然、足りないわ。 [シトリニカ] わたしはスタルークの臣下として… 失格よ。 [スタルーク] 僕はそうは思いません。 [シトリニカ] スタルーク? いつからそこにいたの? [スタルーク] シトリニカの悩みがなんなのか知りたくて、 特訓しているところを隠れて見ていました。 [スタルーク] でも、臣下として失格だと思っていたなんて… そんなことあるわけないのに。 [シトリニカ] ………… [シトリニカ] わたしたちはいとこ同士で、 子どもの頃からきょうだいのように育ったわね。 [シトリニカ] スタルークは昔から後ろ向きな性格で、 いつもおどおどしていて… [シトリニカ] 何かにつけてディアマンドと比較されてしまって、 自信をつける機会もない。 [スタルーク] そうでしたね… 今も大して変わっていませんけど… [シトリニカ] でも、わたしはスタルークのいいところを たくさん知っているわ。 [シトリニカ] 人の価値をすぐに見抜き、認めてくれるところ。 [シトリニカ] 他人を素直に褒めるところ。 [シトリニカ] スタルーク。 わたし、あなたのいいところならまだまだ言えるわよ。 [スタルーク] か、買い被りですよ… [シトリニカ] 小さい頃から思っていたの。 わたしがスタルークを守ってあげなきゃ、って。 [シトリニカ] でも、それは間違いだったわ。 思いの強さだけではあなたを守れない。 [シトリニカ] わたしにはあなたを守るだけの力がないの… [スタルーク] そ、そんなことありません! [シトリニカ] ごめんなさい、スタルーク。 わたしがあなたの臣下になったばかりに。 [シトリニカ] きっと、わたしがいなかったら… もっと優秀で、強い誰かがいてくれたはずなのに。 [スタルーク] シトリニカ… --- A --- [スタルーク] シトリニカ。 [シトリニカ] スタルーク… [スタルーク] 血筋だからでしょうか。 僕とシトリニカは、よく似ています。 [スタルーク] 僕は自分に価値があるとは思えない… でも、それはシトリニカも同じなんですね。 [シトリニカ] どういうこと? [スタルーク] シトリニカは僕の臣下として失格だと言いました。 でも、それは大きな間違いですよ。 [シトリニカ] 慰めはいらないわ。 [シトリニカ] わたしが王族の臣下として力が劣っていることは まぎれもない事実なんだから。 [スタルーク] そうですね。 単純な力では劣っているかもしれません。 [スタルーク] ですが、だからこそシトリニカは 臣下になってからずっと特訓を続けています。 [スタルーク] 雨の日も、 嵐の日も一日も欠かさずにです。 [スタルーク] 自らの理想のために努力を続けることができる力。 それはとても素晴らしい力だとは思いませんか? [シトリニカ] それは、そうかもしれないけど… 王族の臣下としての力とは別よ。 [スタルーク] いいえ。 僕はそうは思いません。 [スタルーク] そんな努力家のシトリニカだからこそ 臣下として信頼できる部分もあるんですから。 [シトリニカ] スタルーク… [スタルーク] シトリニカが臣下になってくれると聞いたとき 僕がどれほど心強かったことか。 [スタルーク] シトリニカ、はっきり言いますね。 [スタルーク] 僕はシトリニカが臣下になってくれて 本当によかったと思っています。 [スタルーク] きょうだいのように育った仲だから… 親族の縁故だから… [スタルーク] 臣下になれた理由なんてどうでもいいです。 [スタルーク] それよりも大切な… 臣下になりたかった理由を聞けましたから。 [シトリニカ] スタルークを守りたい… [スタルーク] はい。 こんな僕なんかには勿体ない気持ちです。 [スタルーク] シトリニカ。 あなたが僕の臣下で本当によかったです。 [シトリニカ] …スタルーク。 [シトリニカ] そんなうれしいことを言われたら、 ますます特訓を頑張らなくっちゃ。 [シトリニカ] だって、わたしがスタルークを守るんだから。 [スタルーク] いいえ。 僕がシトリニカを守るんです。 [シトリニカ] ふふふ。 ありがとう、スタルーク。 --- S ---