=== スタルーク & フォガート === --- C --- [スタルーク] ああっ!? フォガート王子! [フォガート] どうしたっていうのさ、スタルーク王子。 なんで逃げようとするの? [スタルーク] だって、フォガート王子はあまりにも僕と違い過ぎて。 一緒にいたら失礼のような気がしているんです… [フォガート] ははは! そんなことあるわけないってー! [フォガート] それに俺とスタルーク王子って、 似ているところがあると思うけど。 [フォガート] ほら、第二王子的な立場とか。 俺は第一王子だけど、うちは女王制だからねー。 [スタルーク] そ、そうですね… [スタルーク] …はぁ。 [フォガート] あれ? なんでため息出ちゃってるんだろ。 [スタルーク] 育った立場が似ているというのに… どうしてこうも違うのでしょう。 [スタルーク] フォガート王子は気さくで人付き合いもよく… 僕は陰気で人付き合いも得意じゃない。 [フォガート] もう。 相変わらず後ろ向きな性格だなー。 [フォガート] ま、そんなスタルーク王子も嫌いじゃないけどね。 むしろ好きだよ。 [スタルーク] 好き!? やめてください! 僕なんかには勿体ない感情です! [スタルーク] というか…危険です。 これ以上は危険過ぎます! [フォガート] んん? 何が危険だっていうのさー? [スタルーク] それですよ! そんなに眩しい目で僕を見ないでください! [スタルーク] フォガート王子の善良な心の光が… 僕のゴミクズのような心を照らし出してしまいます! [スタルーク] 早くここから逃げ出さなければ! [スタルーク] ごめんなさい! [スタルーク] [フォガート] はっはっは。 スタルーク王子は面白いなー。 --- B --- [フォガート] スタルーク王子はさ、 子供の頃はどんな感じだったの? [スタルーク] どうして知りたいのですか…? 僕なんかの子供の頃のことを。 [フォガート] ほら、この間言ってたじゃん。 [フォガート] 俺たちは同じような境遇で育ったのに 全然、違う性格だって。 [フォガート] なんか子供の頃とかに、 その秘密が隠れてるんじゃないかと思ってさ。 [スタルーク] そういうことですか… なら、お話しますけど別に面白くないですよ? [フォガート] 大丈夫、大丈夫。 聞かせて欲しいな。 [スタルーク] 僕はブロディア国王の次男として生まれて… 兄上とは年齢が結構離れていました… [スタルーク] それで物心ついたときから 兄上の評判をずっと耳にしていたのです。 [スタルーク] 次期国王はディアマンド様だ… あんなに立派な王子はいない…と。 [スタルーク] それに何かと兄上と比較されました… ディアマンド様ならできたのに…なんて言われたり。 [フォガート] 誰も自分のことを認めてくれない感じかー。 ああ、それは結構キツイねー。 [スタルーク] でも、仕方ないことなんです。 全部、僕がダメ人間なのが原因なんですから。 [フォガート] 兄上より僕を認めろー! とかさ、 そういう風には思わなかったの? [スタルーク] まさか。 そんなことは思いもしませんでした。 [スタルーク] 兄上が偉大なのは事実ですし。 僕への失望は当然だと思いますよ。 [スタルーク] でも、そんな日々を送っていたから こんな性格になってしまったのでしょうね… [フォガート] 兄や周囲の者を恨む方向には向かわず、 自分の無力さをただただ意識する日々かー。 [フォガート] やっぱり根が優しいんだよ、スタルーク王子は。 うん。俺は好きだなー。 [スタルーク] ひえ… [スタルーク] こんな僕を好きと言ってくれるなんて… 本当にフォガート王子は善良な方ですね… [スタルーク] やっぱり僕みたいな人が お付き合いしていい方ではないんです! [スタルーク] これで失礼します! ごめんなさい! [スタルーク] [フォガート] ありゃ、行っちゃった。 またねー、スタルーク王子。 --- A --- [フォガート] やぁ、スタルーク王子。 [スタルーク] ひえっ!? フォガート王子! [フォガート] あはは! いつになったら俺に慣れてくれるんだろうな。 [スタルーク] ごめんなさい… でも、フォガート王子の笑顔がまぶしくて。 [スタルーク] 一体、どんな幼少期を過ごせば… そんなに友好的な性格になれるんでしょうか。 [フォガート] 俺の子供の頃のこと知りたいの? なら、いくらでも話してあげるよ。 [フォガート] って言ってもさ、 そんなに特別なことはしてないと思うよ? [フォガート] ソルムの第一王子として 一通りの教育は受けたけど… [フォガート] がちがちに縛られて育ったわけでもないし。 むしろ自由にさせてくれたからねー。 [フォガート] しょっちゅう城を抜け出して、 町へと繰り出して遊んでたよー。 [スタルーク] ソルムの人たちは 自由を大切にすると聞きましたけど… [スタルーク] まさか王族の人たちまで… これほどまでに自由とは思いませんでした… [スタルーク] でも、そういう生き方が、 今のフォガート王子を作ったのでしょうね。 [スタルーク] 誰にでも優しく… 親切に接してくれる素晴らしい人に… [フォガート] 褒めてくれてありがとう、スタルーク王子。 [スタルーク] ひょええ…! またフォガート王子が、僕を眩しい目で見つめて… [フォガート] あーっと、逃げちゃう前に言っとくね。 [フォガート] スタルーク王子はなかなか 素直に言葉を受け取ってくれないよね。 [スタルーク] あ… ごめんなさい… [フォガート] 俺が君を好きだっていうのくらいは、 信じてくれてもいいんじゃない? [フォガート] 弟王子の立場同士… これだけ仲良くなれたんだしさ。 [スタルーク] フォガート王子… [スタルーク] は、はい… 信じます。 [スタルーク] 僕なんかのことを好きと言ってくれて… ありがとうございます。 [スタルーク] 僕もフォガート王子のこと… 好きですから… [フォガート] ほんと!? 今、好きって言った!? 嬉しいなー! [スタルーク] あ、あああ…! 僕ったらなんて恥ずかしいことを! [スタルーク] すみません、すみません…! [フォガート] 謝ることないよ。これで俺たちは好き同士。 もう親友みたいなもんだね! [スタルーク] 親友…? は、はじめてできました。親友… [スタルーク] 僕、ちょっと…いえ、 すごく嬉しいです。フォガート王子。 --- S ---