=== スタルーク & オルテンシア === --- C --- [スタルーク] あの、オルテンシア王女… [オルテンシア] スタルーク王子? あなたから話しかけてくるとか、珍しいわね。 [スタルーク] その…実は… [スタルーク] やっぱりいいです。 [オルテンシア] 何よ、それ! すっごく気になるんだけど! [オルテンシア] いいからとりあえず話してみなさいよ。 ほら早く。 [スタルーク] …えて欲しいんです。 [オルテンシア] 声ちっちゃ! もっと大きな声で! [スタルーク] あの…その… [スタルーク] 自信の付け方を教えて欲しいんです!! [オルテンシア] 今度は声が大きい! [オルテンシア] ま、まあいいわ。 それ、どういうこと? [スタルーク] オルテンシア王女はいつも… 自信満々ですごいなと思っていて… [スタルーク] 僕は自信がないので… 自信の付け方を教えてもらえたら嬉しいです。 [オルテンシア] なるほど。 そういうことね。 [オルテンシア] でも、残念でした! そんなの教えてあげませーん! [オルテンシア] あなたがブロディアの王子じゃなかったら 丁寧に優しく教えてあげたんだけどなー! [スタルーク] そうですよね… [オルテンシア] …あら? [スタルーク] ブロディアは何度も、 イルシオンに攻め込んでいますから… [スタルーク] それに僕みたいなゴミのために 貴重な時間を割くなんて無駄でしかないですし… [スタルーク] 僕はなんて傲慢なんだ… 恥ずかしいです…すぐに消えますね… [スタルーク] [オルテンシア] ちょっ、ちょっと待ちなさいよ! あたし、そこまでは言ってないわよ? [スタルーク] いいんです… どうか僕のことなどお気になさらずに… [スタルーク] 僕のような恥の塊は オルテンシア王女に二度と話しかけませんから… [スタルーク] [オルテンシア] え…ちょっと! スタルーク王子ったら! [オルテンシア] てっきり怒って突っかかってくると思ったのに… かわいそうなことしちゃったわ。 [オルテンシア] …仕方ないわ。 次に会ったときに協力してあげましょ。 --- B --- [オルテンシア] スタルーク王子。 [スタルーク] ………… [オルテンシア] おーい! スタルーク王子、聞こえてるでしょ! [スタルーク] ひーっ! オルテンシア王女! [スタルーク] 僕なんかと話していても、 あなたの人生にはなんの利益もありませんよ! [オルテンシア] 相変わらず後ろ向きな性格ね。 でも、だからこそ協力のしがいがあるってもんよ。 [オルテンシア] いーい? お望み通り、 あたしが自信の付け方を教えてあげるわ。 [スタルーク] え…! ありがとうございます… [スタルーク] でも、どうして心変わりを? あんなに嫌がっていたのに。 [オルテンシア] この間はごめんなさい。 ちょっと冗談が行き過ぎたわ。 [オルテンシア] 正直、ブロディアのことは苦手だけど… スタルーク王子とは、もう仲間だから。 [オルテンシア] 仲間が困ってたら協力してあげるのは 当たり前のことでしょ? [スタルーク] オルテンシア王女… [オルテンシア] な、何よ!? そんなうるうるした目をしちゃって! [オルテンシア] ちょっと可愛いじゃない。 あ、お礼ならいらないわよ! [スタルーク] ち、近づかないでください… それにこっちも見ないで欲しいです… [オルテンシア] …へ? [オルテンシア] はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!? [オルテンシア] なーんであたしが! そんなこと言われなくちゃいけないのよ! [スタルーク] だって、僕なんかのことを仲間と言ってくれて… 協力までしてくれるだなんて… [スタルーク] オルテンシア王女… あなたは間違いなく善良な方です。 [スタルーク] ですが、あなたが善良な方であればあるほど… 僕の心が荒んでしまうのです… [オルテンシア] えええ!? [スタルーク] あなたの心の光が! 僕のゴミ虫のような汚い心を照らし出してしまう! [スタルーク] ですから、どうか僕に構わないでください! ごめんなさい! [スタルーク] [オルテンシア] 後ろ向きな性格にもほどがあるでしょ! なんなのよ、もう! --- A --- [オルテンシア] スタルーク王子。 [スタルーク] ひゃっ!? オルテンシア王女… [オルテンシア] 逃げる前に聞いて。 あたし、あなたに協力するのやめたわ。 [オルテンシア] どうやったって、 あなたが自信持つなんて不可能って感じだし。 [スタルーク] 賢明な判断だと思います… 最初は僕の方から頼んでおいてなんですが… [オルテンシア] 本当よね。 あなたは失礼で自分勝手な人よ。 [スタルーク] ごめんなさい… [スタルーク] どうぞこれからは気兼ねなく、 僕のことなど無視をしてください… [オルテンシア] いいえ。 そんなのお断りだわ。 [スタルーク] え? [オルテンシア] 卑屈で、自信がなくて、とことん後ろ向きな性格… それがまぎれもないあなたの真の姿よ。 [オルテンシア] でも、そのままのあなたを あたしは仲間として受け入れるわ。 [スタルーク] えっ… [オルテンシア] あなたは自信の付け方を教えて欲しいって、 あたしに言ってきた。 [オルテンシア] それは後ろ向きな性格を直して あたしたちに歩み寄ろうとした…ってことでしょ。 [スタルーク] …はい。 [スタルーク] この性格が治れば… もう少しみんなと仲良くなれるかと思いました… [オルテンシア] その気持ちは素敵よ。 でも、そんなことをする必要はないわ。 [オルテンシア] 後ろ向き過ぎる性格は問題かもしれないけど、 あなたには他にいい所がたくさんあるんだから。 [オルテンシア] だから、あたしはありのままのあなたを 仲間として受け入れるわ。 [スタルーク] オルテンシア王女… ありがとうございます。 [オルテンシア] お、お礼なんていらないわ! 別に思ってることを言っただけだし! [スタルーク] …優しいですね。 やっぱりその善良さが眩しいですが… [スタルーク] もう傍にいても大丈夫そうです。 王女の考え方がわかったからでしょうか。 [オルテンシア] へ!? いきなりすっごい目を合わせてくるじゃない…! [スタルーク] はい。今までの分までと思って… いつも、急に逃げたりしてすみませんでした。 [オルテンシア] …なにかしら。近いわ。 今度はこっちが恥ずかしくなってきた。 [オルテンシア] や、やめなさいよ、スタルーク王子… 王子なのにそんな可愛い顔で見られたら… [オルテンシア] あたしの立場がないじゃなーい! わーーん!! [オルテンシア] [スタルーク] あ…オルテンシア王女。 [スタルーク] …ふふ。 いつもとは逆になってしまいましたね。 --- S ---