=== スタルーク & アイビー === --- C --- [アイビー] ………… [スタルーク] ………… [アイビー] スタルーク王子。 私に何か用でもあるの? [スタルーク] ………… [アイビー] そう。 無視するのね。 [スタルーク] 言ったはずですよ… 僕はまだ割り切れていません… [スタルーク] 父上の死の責任は あなたにもあると思ってますから… [アイビー] ………… [アイビー] 貴方のお父様のことは謝罪します。 [スタルーク] なっ…!? [アイビー] 私の謝罪など貴方の心の傷を癒すことには なんの役にも立たないとは思うけれど… [アイビー] でも、今はこうして 同じ陣営に立っているのだから… [アイビー] 歩み寄ることが必要なのだと思う。 [スタルーク] ………… [アイビー] だから、初めの一歩は… 私から歩ませてもらうわ。 [アイビー] 貴方のお父様のこと…ごめんなさい。 [スタルーク] アイビー王女… [スタルーク] かつては争っていた国の王女と 今はこうして同じ陣営にいる… [スタルーク] 人生とは不思議なものですね。 [スタルーク] …拒絶ばかりしていては、 僕たちは前に進めない。 [スタルーク] 僕もこれからはあなたに歩み寄ってみます。 [アイビー] ありがとう。でもだからといって、 人の顔をじろじろと見るのは失礼よ。 [スタルーク] ! ご、ごめんなさい。 今後は気をつけます。 [スタルーク] [アイビー] さて…これからどうなるかしらね。 --- B --- [スタルーク] ………… [アイビー] ………… [スタルーク] アイビー王女。 もしかして僕のことを睨んでいますか? [アイビー] いいえ、スタルーク王子… そんなつもりはないわ。 [アイビー] けれど… 貴方の甲冑はつい見てしまうの… [アイビー] ブロディア王国の甲冑は、 イルシオンにとっては最も警戒すべきものだから。 [スタルーク] そういうことですか… [スタルーク] 確かにブロディアは度々、 イルシオンに攻め入ってましたからね… [スタルーク] ごめんなさい。 [アイビー] …今の謝罪、どういう意味? [スタルーク] えっ? [アイビー] ブロディアの王子が我が国への度重なる侵攻を謝罪した。 そう受け取っていいのかしら。 [アイビー] それなら貴方は自国の非を認めたということになり… 今後の外交にも影響が生まれるわ。 [アイビー] 今の謝罪…決して軽くないわよ。 [スタルーク] そ、そういう意味では…! [スタルーク] もちろん、こちらに非があるのなら 僕はいくらでも謝るべきだと思いますが… [スタルーク] 僕はその立場にはない。 政治は父上や兄上、宰相が執り行っていましたから。 [スタルーク] つまり、さっきのごめんなさいは あくまで個人としてのごめんなさいで… [アイビー] ふふ。 冗談よ。わかっているわ。 [スタルーク] アイビー王女… 驚かさないでください… [アイビー] ブロディアにいい感情を持っていなかったことは本当よ。 だから、少しだけ意地悪をしたくなったの。 [アイビー] でも、冗談が言えるくらいの仲にはなった。 そう前向きに受け取って欲しいわ。 [スタルーク] …そうですか。 心臓が止まるかと思いましたよ… --- A --- [スタルーク] あの、アイビー王女… [スタルーク] この間、ブロディアにはあまりいい感情は 持っていないと言っていましたよね… [アイビー] ええ。 言ったわ。 [スタルーク] あの、生意気かもしれませんけど これだけは言わせてください… [スタルーク] 確かに今までのイルシオンとブロディアの関係は 良好とは言えませんでした。 [スタルーク] でも今はこうして、 同じ陣営に立てていますよね。 [アイビー] …その通りよ。 [スタルーク] 僕はこの状況が、 とてもいい状況だと思っています。 [スタルーク] この戦いが終わっても… いい関係が築けるよう、僕も尽力します。 [スタルーク] 第二王子である僕にできることは、 兄上よりは少ないかもしれませんが… [スタルーク] 思いだけは、あなたに… 伝えておかなければと思いました。 [アイビー] ………… [アイビー] 卑屈で精神力の弱い王子… 貴方への最初の印象よ。 [アイビー] でも、今は少しだけ違うわ。 [スタルーク] え… [アイビー] ここぞというときには自分の意見も言える。 何よりも…不思議と人を惹きつけるその優しさ。 [アイビー] 王子としての資質… ないわけではないようね。 [スタルーク] か、買い被らないでください。 僕なんてアイビー王女に比べたら… [アイビー] つまり貴方を評価した私には人を見る目がない。 そう言いたいの? [スタルーク] ち、違います! [スタルーク] …あっ。 今のは冗談…ですか? [アイビー] よくわかったわね。 [スタルーク] はは… いい関係が築けている証拠ですね。 [アイビー] そういうことね… これからもっと良い関係になれればいいわ。 [アイビー] 私たちのお父様… そして、国の未来のためにも。 [スタルーク] はい、アイビー王女。 --- S ---