=== スタルーク & セアダス === --- C --- [スタルーク] セアダス。 聞きたいことがあるんですけど。 [セアダス] なんでしょうか、スタルーク王子。 [スタルーク] セアダスは隊商の方たちと 一緒に暮らしていたと聞きましたが… [スタルーク] それは本当ですか? [セアダス] ええ、そうですよ。 [セアダス] 商人や大道芸人、それに踊り子たち。 色々な職の仲間と各地を転々としていました。 [スタルーク] そうだったんですね。 いいなぁ。羨ましいです。 [セアダス] 羨ましい、ですか。 そう思われるなんて少し意外です。 [スタルーク] 僕は立場もありますから あまり王国を出ることはできないので… [セアダス] なるほど。 確かにそうですね。 [スタルーク] 団体行動はすごく苦手ですけど いろいろな場所を巡れるのは羨ましいです。 [セアダス] 世の中には自分が想像したこともないような 驚くべき景色などもありますからね。 [セアダス] 俺が目にしてきたものでいいのなら お話ししますよ。 [スタルーク] 本当ですか!? ぜひお願いします。 [セアダス] ですが、できるだけ 魅力が伝わらないように話さないと。 [セアダス] ブロディアの王子が国を飛び出して旅がしたい… なんて言い出したら責任を持てませんからね。 [スタルーク] そ、そんな心配は無用ですよ。 僕にそこまでの度胸はありませんから。 --- B --- [スタルーク] すごいです…! 闘狼場ってそんなに活気がある場所なんですね! [セアダス] ええ、スタルーク王子。 [セアダス] 白熱し過ぎてお客同士が揉め出すことなど 日常茶飯事でしたよ。 [セアダス] 娯楽産業が盛んなソルム内でも 闘狼場は一番、熱気のある場所でしたね。 [スタルーク] セアダスの話はとても面白いです。 [スタルーク] 話を聞いただけでまるでその場に行ったかのような 錯覚を起こすほどですよ。 [スタルーク] 隊商生活かぁ… やっぱりとても楽しそうですね。 [スタルーク] 自由に行きたいところへ行き、 気のすむまでその場所で暮らす。 [スタルーク] 飽きたらまた次の場所を目指せばいい。 何者にも縛られない生活。 [スタルーク] ああ… 憧れちゃいます… [セアダス] ………… [スタルーク] そういえばセアダスは どんなきっかけで隊商生活を始めたんですか? [スタルーク] 元々、隊商で生まれたわけでは ありませんよね…? [セアダス] …俺は綺麗な海のそばにある町で生まれました。 [セアダス] 物心つく頃には父は亡くなっていて、 占い師の母親に育ててもらいました。 [セアダス] ですが、母も体が丈夫ではなく… 幼い俺を残してこの世を去りました。 [セアダス] それからまた色々とあって、 俺は路上で生活することになるのです。 [スタルーク] え? どうしてまた… [セアダス] 身寄りのない子供が一人で生きていくのは 簡単ではなかった…そういうことです。 [スタルーク] ………… [セアダス] そんなときです。偶然通りかかった キャラバンの皆が俺に声をかけてくれて… [セアダス] それから一緒に行動するようになったんです。 [セアダス] その時の俺は満足に口も利けませんでしたけど… 師匠が踊りを教えてくれて、救われた。 [セアダス] 言葉以外で気持ちを伝えられるようになったおかげで、 今ではすっかり明るくなりましたよ。 [スタルーク] そうだったんですね… [セアダス] …あまり楽しい話ではなかったですね。 [スタルーク] いいえ、セアダスは悪くありません。 何も考えていなかった僕が悪いんです。 [セアダス] すみません、スタルーク王子。 何か調子が変わってしまいましたね。 [セアダス] 今日はこの辺にしておきましょう。 では、また… --- A --- [スタルーク] セアダス… この間は申し訳ありませんでした… [スタルーク] セアダスの気持ちも考えずに… 隊商生活を始めたきっかけを聞いてしまって… [セアダス] 俺は何も気にしていませんよ。 だから、謝罪も必要ありません。 [スタルーク] あの後、考えたんです。 [スタルーク] 僕は隊商生活は楽しいという前提で話をしていました。 でも、そんなわけはないですよね… [セアダス] ああ… 確かにそうですね。 [セアダス] 胸を引き裂かれるくらい辛い思いもしましたよ。 襲撃で仲間が命を落とすところだって、見てきました。 [スタルーク] …! [スタルーク] そう…だったんですね…なのに僕は、 楽しそうだなんて口にして… [スタルーク] 少し考えればわかることなのに… 本当に申し訳ありませんでした。 [セアダス] スタルーク王子… [セアダス] 最初にも申し上げましたが、 あなたは何も悪くありません。 [セアダス] キャラバンでの生活で辛い思いをしたのは 事実ですが… [セアダス] それ以上に楽しい思い出がたくさんあります。 [セアダス] キャラバンのみんなは家族と同じ。 俺はあの場所で生活できて幸せでした。 [スタルーク] セアダス… [セアダス] だから遠慮などせず、 好きなだけ話を聞いてください。 [セアダス] 辺境の村を訪れたときの、 見たこともない料理の話から… [セアダス] 砂漠のオアシスに映る、 焼けるような朝日の話まで。 [セアダス] スタルーク王子に聞いてもらいたい楽しい話が まだまだたくさんありますから。 [スタルーク] ありがとうございます、セアダス。 あなたの話は浪漫があって時間を忘れてしまいます。 [スタルーク] …今日は朝まで話を聞かせてください。 [セアダス] ふふ。 喜んで、スタルーク王子。 --- S ---