=== アンバー & ジェーデ === --- C --- [ジェーデ] アンバー、今日もいろいろと話を聞かせて。 小説の参考にするから。 [アンバー] ああ。わかった。 俺の活躍が小説になるなんて最高だぜ! [ジェーデ] まずはアンバーの好きなものに ついて教えてもらえるかしら。 [アンバー] 俺の好きなものと言ったら、 アルパカしかないな。 [アンバー] 昔は一日中アルパカを乗り回していてな。 アルパカ騎乗の達人と言ってもいいだろう。 [ジェーデ] ふむ、ふむ。 なるほど。 [アンバー] 近くにアルパカがいれば、 すぐ俺の勇姿を見せられるのだが… [アンバー] 生憎この辺りにはいないからな。 残念だ… [ジェーデ] 何、この音は… [アンバー] これはアルパカの走る音だ! [ジェーデ] 本当だわ! 暴走してこっちへ向かってくる! [アンバー] ここは任せてくれ。 俺はアルパカ騎乗の達人だからな。 [アンバー] そこのアルパカーーーっ! とまれーーーーっ! [アンバー] って、うおっ! 暴れるな! [アンバー] あっ、あああああーーーっ! [ジェーデ] アンバーーッ! [アンバー] うう…アルパカに振り落とされて 池に落ちてしまうとは… [ジェーデ] どうして突然現れたのかしら。 なんとか捕まえられてよかったけど… [アンバー] 結局、ジェーデが捕まえることになるとは… [アンバー] やっぱり、俺は何をやっても、 ジェーデには敵わないんだな… [アンバー] ううっ!! [ジェーデ] そんなに落ち込まないでいいわよ。 [ジェーデ] 池に落ちるアンバーから発想が湧いたから… 今回も面白くなりそうよ。ありがとう。 --- B --- [ジェーデ] アンバー。 今日も話を聞かせてもらうわね。 [アンバー] その前にジェーデに頼みがある。 [アンバー] アルパカの捕獲に失敗したことは、 小説に書かないでほしいんだ! [ジェーデ] えっ… [アンバー] アルパカを捕まえられないということは、 俺の故郷ではとてつもない恥なんだ。 [アンバー] この前は落ち込んでて頼むのを忘れていたが、 見なかったことにしてほしい。 [ジェーデ] 急にそんなこと言われても… 約束はできないわ。 [ジェーデ] アンバーを題材にする以上、 避けて通れない話になるかもしれないし。 [アンバー] ………… [アンバー] だったら手合わせをしてくれ! それで俺が勝ったら書くのはなしだ! [ジェーデ] 私はそれでも構わないけど… [アンバー] ジェーデと戦うのは、ディアマンド様の臣下を決める 武術大会以来だな。 [アンバー] あのとき俺は、 決勝戦でジェーデに負けた。 [アンバー] それ以来、何をやっても… 俺はジェーデに勝てる気がしなくなった。 [ジェーデ] あの決勝戦のことなら仕方ないんじゃない? [ジェーデ] アンバーは試合開始直前まで、 迷子の子供の親を探してバタバタしていたから。 [アンバー] そんなこと、負けた理由にはならない! そもそも親を見つけたのは、ジェーデだっただろ! [ジェーデ] …まあ、そうね。 [アンバー] 成功を手にするのはジェーデで、 俺はいつも二番手… [アンバー] アルパカのことだけじゃない! これを機に俺は二番手を卒業する! [アンバー] ジェーデ、勝負だ! [ジェーデ] …勝負ありね。 [アンバー] くっ…やはり… ジェーデには勝てないのか… [ジェーデ] 私が勝ったんだから、 好きに書かせてもらうわね。 [アンバー] 約束は約束だ。 好きに書いてもらって構わない。 [ジェーデ] そうさせてもらうわ。 作品が完成したら一番に見せに行くわね。 --- A --- [ジェーデ] 小説が完成したわよ。 アンバー、読んでみてくれないかしら。 [アンバー] わかった… [アンバー] 正直読むのが恐いが… 確認させてもらおう。 [アンバー] ふむ…ふむふむ… [アンバー] こ、これは…! [ジェーデ] ふふ… [アンバー] これは… 本当に俺を題材にした本なのか? [ジェーデ] もちろん。 アンバーから聞いた話を参考に書いたわ。 [アンバー] で、でも、アルパカを止められなかったことが 書かれてない! [アンバー] それどころか、全編にわたって 俺が格好良く書かれてるじゃないか…! [ジェーデ] アンバー。 貴方は二番手なんかじゃないわよ。 [ジェーデ] アルパカを真っ先に止めようとしたのは、 貴方。 [ジェーデ] 武術大会で迷子の親を先に探していたのも、 貴方。 [ジェーデ] 貴方はいつも… 私より先に行動していたじゃない。 [アンバー] ………… [ジェーデ] 心優しくて、強い。 私もディアマンド様も一目置く頼もしい臣下よ。 [アンバー] うううっ!! [アンバー] ジェーデ、ありがとう…! この小説とジェーデの言葉で自信が湧いてきた! [ジェーデ] 私たちは背中を預け合う仲間だもの。 自信を持ってもらわないと困るわ。 [アンバー] ああ。もっと強くなって 本の内容に見合うような男になってみせる。 [ジェーデ] 期待してるわよ。 [アンバー] よし、こうはしていられない! すぐに鍛錬開始だ! [アンバー] あっ! 足元に石が…! うわーーーーっ! [ジェーデ] ………… [ジェーデ] ふふ…言ったそばから転ぶなんて… 先が思いやられるわね。 [ジェーデ] これからも、強さと優しさと面白さで、 みんなを楽しませてちょうだいね。 --- S ---