=== アンバー & モーヴ === --- C --- [モーヴ] ………… [アンバー] モーヴ、まだ警備をしてくれていたのか。 もう遅いから休んでくれ。俺が代わる。 [モーヴ] いや、大丈夫だ。気にするな。 [アンバー] ええ? まったく… あんたには頭が下がるぜ。 [モーヴ] なぜだ? [アンバー] だって、ずーっとピシッとしてるからさ。 いったい、いつ休んでるんだ? [モーヴ] 今だ。 警備など、休んでいるようなものだからな。 [アンバー] そんなこと言ってちゃダメだぞ! ちゃんと休まないと! [モーヴ] 必要ない。 休みたいと思わない。 [アンバー] すごいけど… それじゃ疲れがとれないんじゃないか? [モーヴ] 心配無用。 疲れなど溜まらない。 [アンバー] えーっ… いったいどういう体してるんだ… [アンバー] ま、とにかく今夜は休んでくれ。 警備は俺が代わるから。 [モーヴ] 断る。 [アンバー] もう…わからない奴だなぁ… だったら、力尽くで… [アンバー] うっ!? [モーヴ] どうした? [アンバー] なんか…力を込めた時に、 筋を違えてしまったようだ… [モーヴ] …ふっ。 どうやら休むべきなのは、お前のようだな。 --- B --- [モーヴ] ………… [アンバー] モーヴ、今日も警備か。 付き合うぞ。 [モーヴ] この間、筋を違えていたのは、 もう大丈夫なのか。 [アンバー] あはは! あんなものはすぐに治ったぜ! [モーヴ] そうか。 それは…よかった…な… [アンバー] モーヴ!? [モーヴ] いや、気にするな。大丈夫だ… [アンバー] 大丈夫なわけないだろ! ここに座っていてくれ。水を汲んでくる! [アンバー] どうだ? よくなったか? [モーヴ] あぁ…おかげさまでな… お前の言うとおり、少し疲れていたようだ… [アンバー] はは、それを聞けて安心したよ。 [モーヴ] えっ? [アンバー] あんたも同じ人間ってことだ。 もう無理しちゃいけないぞ。 [モーヴ] ふふ、まいったな… [アンバー] そうだ。これを飲んでみてくれ。 疲労回復に効くっていう伝説の秘薬だ。 [モーヴ] 本当か? 悪いな。 ん? この匂いは… [アンバー] どうした? [モーヴ] これは疲労回復の秘薬ではない。 腹下しの秘薬だろう… [アンバー] えっ? 嘘!? [モーヴ] まったく…危なかったぞ… 危うく飲むところだった… [アンバー] あは…あははは… [モーヴ] どうした? [アンバー] 今さっき、味見しちまったぜ… [モーヴ] えっ? [アンバー] うぅ…きた…さっそくきたぞ… [モーヴ] まったく… 今日も休むべきはお前のようだな… [モーヴ] そこで休んでいろ。 俺は警備に戻る。 [アンバー] うおおおお…面目ないいい…! --- A --- [アンバー] 今日も警備か。相変わらずだな。 お疲れさま。 [モーヴ] 腹はもう大丈夫なのか? [アンバー] ああ。なんとか。 あんたは? 疲れは取れたか? [モーヴ] 心配いらない。 [アンバー] しかし、本当にがんばり屋さんだな。 [アンバー] ………… [アンバー] もしかして、気にしてるのか? 敵の側にいたってこと。 [モーヴ] 何? [アンバー] 図星だろ? [モーヴ] ………… [モーヴ] 気にしていないと言えば嘘になる。 [モーヴ] 信用を失うことはたやすいが、 信用を得るのは並大抵のことではない… [アンバー] やっぱりな。 だからこんなに強がって頑張ってたわけだ。 [アンバー] でも、そのことなら心配はいらない。 みんな、あんたの頑張りを知ってる。 [モーヴ] ああ。俺の働きぶりを… お前がみんなに話してくれているからな。 [アンバー] えっ? どうして知ってるんだ!? [モーヴ] こんな限られた人数の中では、 何をしても筒抜けだ。 [アンバー] まいったな… [モーヴ] 不思議だな。 お前を見ていると、自然と明るい気分になる。 [モーヴ] 難しく考えていたことを忘れて、 お前の笑顔を見たくなる。 [アンバー] まあ、明るさだけが取り柄だって、 よく言われるからな。 [モーヴ] あはは。 そんなことを言われているのか。 [アンバー] そういえば、まだお互いのことを、 ほとんど話してなかったな。 [アンバー] まだ夜明けまで時間がある。 少し話してみないか? [モーヴ] ああ、よろこんで。 [アンバー] やったぜ! このアンバー様が、 朝までにまた何度も笑顔にしてやるよ。 --- S ---