=== ヴァンドレ & ゴルドマリー === --- C --- [ゴルドマリー] ひゃああーーーーっ! [ヴァンドレ] ゴルドマリー殿! いったいどうしたんだ!? [ゴルドマリー] ううう…木に引っ掛かって… 服が破れてしまいました… [ヴァンドレ] 服が破れただと? [ヴァンドレ] それだけのことで悲鳴を上げたのか。 まったく、駆けつけて損をしたぞ。 [ゴルドマリー] す、すみません… [ゴルドマリー] 透き通るような可愛い悲鳴で 驚かせてしまってすみません… [ゴルドマリー] うう…どうしよう… このまま帰るのは…恥ずかしいです… [ヴァンドレ] まったく、実に嘆かわしい。 [ヴァンドレ] 仕方のないやつだな。 ほら、見せてみろ。 [ゴルドマリー] ? [ヴァンドレ] 破れた箇所を見せろと言っているんだ。 そのままでは恥ずかしいのだろう? [ゴルドマリー] でも、戻らないと裁縫道具は… [ヴァンドレ] 私が持っている。 その程度ならすぐに直せる。 [ゴルドマリー] ヴァンドレさんが…裁縫道具を? [ヴァンドレ] おかしいか? [ゴルドマリー] いえ。意外ではありましたが… すごいなと思いまして… [ヴァンドレ] さぁ、早く服を見せるんだ。 私も暇ではないからな。 [ゴルドマリー] ヴァンドレさん… ありがとうございます… [ヴァンドレ] あくまでも応急処置だ。 元通りになるわけではないからそのつもりでな。 --- B --- [ゴルドマリー] ヴァンドレさん… こんにちは… [ヴァンドレ] 用事なら後にしてくれ、 今は編み物をしているんだ。 [ゴルドマリー] この前のお礼を言おうと思ってきたんです… 先日は…助けていただきありがとうございます… [ヴァンドレ] たまたま通りかかっただけだ。 他の者でも助けてくれただろう。 [ゴルドマリー] だとしても…それがヴァンドレさんだったから… お礼を言っているんです… [ゴルドマリー] あの…ヴァンドレさん… 何を作ってるんですか? [ヴァンドレ] レースを編んでいるんだ。 ここから何を作るかはそのときの気分次第だ。 [ゴルドマリー] すごいです…装飾品にしたら… 可愛いわたしが…もっと可愛くなりそうです… [ヴァンドレ] 装飾品か。 それもいいかもしれないな。 [ゴルドマリー] ヴァンドレさん…本当にすごいです… 戦いも強いのに手先も器用だなんて… [ヴァンドレ] ずっとルミエル様の世話係をしていたからな。 [ヴァンドレ] 編み物だけではなく料理や掃除、 家庭的なことは一通りできるように勉強済みだ。 [ゴルドマリー] わたしも…家事全般得意ですけど… ヴァンドレさんには…敵わないかもしれません… [ゴルドマリー] ヴァンドレさんはすごいです… 若い頃なんて…すごくモテたのではないですか? [ヴァンドレ] …そうでもないぞ。 [ヴァンドレ] 神職の仕事に掛かりきりだったからな。 恋愛などする暇は全くなかったぞ。 [ゴルドマリー] そうでしたか… [ヴァンドレ] ………… [ヴァンドレ] ほら、これをやるからどこかへ行くんだ。 [ゴルドマリー] これ…今まで編んでいたレース… [ゴルドマリー] ありがとうございます…でも… 誰かのために編んでいたんじゃないんですか? [ヴァンドレ] 考え事のついでに編んでいただけだ。 別に誰のための物でもない… --- A --- [ゴルドマリー] ヴァンドレさん… これ…見てください… [ヴァンドレ] ほう。 渡したレースを装飾品に加工したのか。 [ゴルドマリー] 申し訳ありませんが… わたし…更に可愛くなってしまいました… [ヴァンドレ] まったく、ゴルドマリー殿は 気持ちのいい性格をしているな。 [ゴルドマリー] そうでしょうか… [ヴァンドレ] 自信があるのはいいことだ。 これからもその調子でいるといい。 [ゴルドマリー] ありがとうございます… [ゴルドマリー] あ、あの… [ゴルドマリー] 折り入って…ヴァンドレさんに… 頼みたいことがあるのですが… [ヴァンドレ] なんだ? 言ってみろ。 [ゴルドマリー] ヴァンドレさんは編み物を… 考え事のついでにやっていると言ってましたよね… [ゴルドマリー] もしよろしければ… わたしのために…編み物をしてくれませんか? [ヴァンドレ] ……ん? [ゴルドマリー] ハッキリ言うと… 編み物を教えてほしいです… [ゴルドマリー] 編み物を習って…もっと可愛く… モテるようになりたいんです… [ヴァンドレ] まったく。謙虚そうにみえて、 図々しい性格もしているようだな。 [ゴルドマリー] す、すみません… だめ…でしょうか… [ヴァンドレ] いいや、気に入った。 編み物なんかでよければいくらでも教えてやろう。 [ゴルドマリー] 本当ですか? あ、ありがとうございます… [ゴルドマリー] 代わりにわたしは… ヴァンドレさんの話し相手になってあげます… [ゴルドマリー] 一人で編み物をしていると… 人恋しい時もあったと思いますから… [ヴァンドレ] はっはっは! 言うではないか。 [ヴァンドレ] 自信があるだけでなく、 思ったことをきちんと言う。 [ヴァンドレ] それもゴルドマリー殿の長所だな。 [ヴァンドレ] 話し相手が増えるのは嬉しいものだ。 これから楽しくなりそうだな。 [ゴルドマリー] 楽しくするのには自信があります… これから…よろしくお願いしますね… --- S ---