=== ヴァンドレ & ザフィーア === --- C --- [ヴァンドレ] ………… [ヴァンドレ] ふぅ… やはり編み物をしていると落ち着くな… [ザフィーア] ヴァンドレ殿…そ、それは!? [ヴァンドレ] ザフィーア殿? [ヴァンドレ] 急に大声を出すな。 驚いて手元が狂うではないか。 [ザフィーア] す…すみません… [ザフィーア] ヴァンドレ殿が編み物をしているとは… 意外で… [ヴァンドレ] まったく。そんなことで驚くとは… 貴方には趣味というものがないのか? [ザフィーア] 私の趣味は鍛錬だけです。 騎士にそれ以外のことは必要ありません。 [ヴァンドレ] まだまだだな。この経験が… 実際の戦場で役立つこともあるというのに。 [ザフィーア] どういうことでしょうか。 [ヴァンドレ] 編み物は地道で小さな作業の連続だ。 [ヴァンドレ] 焦って結果を出そうとすれば、 綺麗な編み目が作れなくなる。 [ヴァンドレ] 戦場でも同じようなことが 言えるのではないか? [ザフィーア] な、なるほど。 一理あるかもしれません。 [ヴァンドレ] どうだ? 編み物に興味が湧いてきただろう。 [ザフィーア] はい。 [ヴァンドレ] では編み物を教えてやろう。 きっと何か感ずるものがあるはずだ。 --- B --- [ヴァンドレ] ザフィーア殿。 糸を通す位置が間違っているぞ。 [ザフィーア] ううう…! 本当だ! こっちのほうだったのかい…! [ヴァンドレ] 糸が絡まるぞ。落ち着け。 [ザフィーア] わかりました。 …あ、もう絡まってます。 [ヴァンドレ] ううむ…これは… 間違えた部分までほどいてやり直しだな。 [ザフィーア] またですか!? ヴァンドレ殿、もう無理です…! [ヴァンドレ] 泣き言を言うな。 不器用でも練習をすればできるようになる。 [ザフィーア] 不器用で悪かったですね。 [ザフィーア] 編み物のような可愛らしいことは、 私に向いてないのです。 [ヴァンドレ] なんだ。 ブロディアの騎士はすぐに諦めて投げ出すのか。 [ヴァンドレ] 強い戦士ばかりだと思っていたが、 案外大したことないようだな。 [ザフィーア] ………… [ザフィーア] ふっ。ヴァンドレ殿は煽るのが下手ですね。 挑発なのがばればれです。 [ザフィーア] ですが、やる気は湧きました。 ブロディアの騎士は決して諦めたりなどしません。 [ヴァンドレ] では、私も今以上に丁寧に教えてやろう。 [ザフィーア] いいえ。お手を煩わせてしまいますので… 残りは自分の力だけでやらせてください。 [ザフィーア] ヴァンドレ殿が驚くような 素晴らしい作品を作ってみせます。 [ヴァンドレ] ふむ… そういうことならやってみるがいい。 --- A --- [ザフィーア] ヴァンドレ殿。 編み物を持ってまいりました。 [ヴァンドレ] ついにできたか。 [ザフィーア] 小さな小物入れですが、 上手くできているでしょうか? [ヴァンドレ] うむ… 編み目も綺麗で素晴らしい。 [ヴァンドレ] これこそ努力の賜物と言えよう。 見事だ。 [ザフィーア] 集中して編み物をしているときは まさに瞑想をしているかのようで… [ザフィーア] これもまた鍛錬の一つなのだと、 気付くことができました。 [ザフィーア] 感謝の気持ちに、 ヴァンドレ殿に渡したいものがあるのです。 [ザフィーア] つまらない物ですが… [ヴァンドレ] 手編みの襟巻きではないか。 [ヴァンドレ] 小物入れだけではなく こんな物まで作っていたとは驚きだ。 [ザフィーア] ブロディア王国の騎士は探究心が強く、 誰にも負けたくないという気概があるのです。 [ヴァンドレ] なるほど。 だが、編み物の腕なら、まだまだ負けんぞ。 [ザフィーア] そう簡単に乗り越えられるとは思っていませんよ。 [ヴァンドレ] ザフィーア殿。 今度は一緒に鍛錬をしないか? [ザフィーア] 鍛錬? [ヴァンドレ] お互いの趣味を教え合うのもいいと思ってな。 今度はザフィーア殿の技術を教えてくれ。 [ザフィーア] は、はい! 喜んで! [ザフィーア] 二人で腕を磨き合いましょう! きっと素晴らしい成果が出ると思います! --- S ---