=== ヴェイル & モーヴ === --- C --- [モーヴ] ヴェイル様、見つけましたよ。 [ヴェイル] 見つけましたって… わたしを探していたの? [モーヴ] そうです。 [モーヴ] そのご様子だと、自覚されていないようですが… お一人で町を歩かれるのはとても危険です。 [ヴェイル] 危険? [ヴェイル] どうして? この町にいるのは、みんないい人よ。 [モーヴ] そうは言っても、俺たちがしたことを考えたら、 仕返しをしようとする人がいるかもしれません。 [ヴェイル] そのときは謝るしかないよ。 だってそれだけのことをしたんだから。 [モーヴ] 謝っても済まなければどうするのですか? もし、ヴェイル様の身に何かあったら… [ヴェイル] わたしは子供じゃないんだよ。自分でなんとかするよ。 だから、もう付いてこないでね。 [モーヴ] まっ、待ってください! [ヴェイル] わたしは一人でやりたいことがあるの。 [ヴェイル] [モーヴ] 行ってしまわれた… [モーヴ] ヴェイル様はご自身の状況が わかっておられるのだろうか… --- B --- [ヴェイル] ………… [ヴェイル] [モーヴ] ヴェイル様… [モーヴ] 付いてくるなとは言われたが… 見つからないようにして監視だけでも… [モーヴ] ヴェイル様にもしものことがあっては、 マロンに申し訳が立たない… [モーヴ] [ヴェイル] モーヴ! 付いてきてるのばればれだよ! [モーヴ] ヴェイル様!? [ヴェイル] もう… そんなにわたしのことが信用できないの? [モーヴ] そういうわけではありません。 俺はヴェイル様が心配なのです。 [モーヴ] もしお怪我でもされては、 俺はヴェイル様の騎士失格ですから。 [ヴェイル] モーヴは騎士の前に大切な友だちだよ。 だから、心配するより信用してほしかったわ。 [モーヴ] 俺のことを友だちだなんて… 恐縮です… [モーヴ] ですが、そう言っていただけるなら せめて町へ出歩く理由を教えてください。 [モーヴ] 友だちのことを理解できないのは悲しいです。 [ヴェイル] ………… [ヴェイル] 罪を償うためだよ… [ヴェイル] わたしのせいで大勢の人が傷ついたから… 町に貢献できる何かを探してたの… [モーヴ] ヴェイル様… それなら尚のこと、俺が必要ですよ。 [モーヴ] 俺も四狗の一人として罪を犯しました。 だから償いをしたいという気持ちは同じです。 [モーヴ] どうか孤独にならないでください。 俺とて、いた場所は同じなのですから。 [ヴェイル] モーヴ… [ヴェイル] …ありがとう。 [ヴェイル] それなら一緒に探してくれる? みんなが喜ぶことを。 [モーヴ] 無論です、ヴェイル様… --- A --- [ヴェイル] たくさんお礼を言ってもらえたわ。 喜んでくれて、よかった。 [モーヴ] 町で人助けを始めて幾日か経ちましたが、 日に日に感謝の声が聞こえるようになりました。 [ヴェイル] わたしたちの気持ちが、 少しずつ町の人たちに伝わったならいいな。 [モーヴ] 仕返しをされるかもしれないなどと 俺は考えすぎだったのでしょうか… [ヴェイル] だから、言ったでしょ。 この町はいい人ばっかりだって。 [モーヴ] そうですね。 [モーヴ] ヴェイル様と共に、温かく迎えられ… 俺は感無量です。 [ヴェイル] ………… [ヴェイル] ねぇ、モーヴ… [ヴェイル] マロンとも、こうやって 楽しく町を歩ける未来があったのかな… [モーヴ] ヴェイル様… [モーヴ] わかりません… しかし… [モーヴ] マロンはきっとこちら側でも、 人々に愛されるいい騎士になったと思います。 [ヴェイル] うん…わたしもそう思う。 [ヴェイル] 今のわたしがこうやって、 モーヴと一緒に罪を償えるのはマロンのおかげ。 [ヴェイル] 感謝してもしきれないよ… [モーヴ] ヴェイル様に褒められて、 マロンもきっと喜んでいると思います。 [モーヴ] 一生懸命に生きて、大勢の人を救いましょう。 マロンのためにも。 [ヴェイル] そうね… [ヴェイル] わたしたちは罪を犯してしまった。 これは一生消えない罪だと思う。 [ヴェイル] けど… これからたくさん正しいことができる。 [ヴェイル] モーヴ。 これからもわたしに手を貸してね。 [モーヴ] もちろんです。騎士として… 畏れながら、友だちとして。 [モーヴ] これからも、ヴェイル様と共に。 --- S ---