=== ゼルコバ & カゲツ === --- C --- [ゼルコバ] ………… [ゼルコバ] うむ。「悪く」ない。 [カゲツ] ゼルコバ! 手合わせじゃ! [ゼルコバ] !? [ゼルコバ] 脅かすな… 「びっくり」しただろう… [カゲツ] 吃驚した、じゃと? はあー情けない。失望落胆じゃ! [カゲツ] このようなことで肝を冷やすようでは アイビー隊は務まらぬぞ! [カゲツ] さあ、手合わせじゃ! [ゼルコバ] 悪いが、「断る」。 今は「忙しい」んだ。 [カゲツ] 忙しいって、何にじゃ? 今度は野鳥観察か? 粘土細工か? [カゲツ] どうせまた、わけのわからぬ趣味に没頭して ニヤニヤしているのじゃろう! [ゼルコバ] うるさい。 「絵」を描いているんだ。集中させてくれ。 [カゲツ] ああー、絵画もいつか手を出すと思っておった。 それはあとにして、手合わせじゃ! [ゼルコバ] 悪いが、「本当に」忙しい。 「他」を当たってくれ。 [カゲツ] むむ… [カゲツ] ゼルコバは… 余よりも絵が大事と言うのか… [カゲツ] そなたは余の唯一の同僚。 もっと一緒に過ごしたいんじゃ…! [ゼルコバ] ………… [カゲツ] 集中して、返事もなしか… 完全無視とは…寂しいものじゃ… --- B --- [カゲツ] ゼルコバ! 手合わせじゃ! [ゼルコバ] 「断る」… [カゲツ] むー! もうその言葉は聞き飽きた! ゼルコバに断る権利などないぞ! [カゲツ] 今すぐ手合わせをしないなら… その絵を破壊してやろう! [ゼルコバ] …何? [カゲツ] そなたはいつも何かにふけっていて、 絶っっ対に余の相手をせぬ! [カゲツ] このままでは余とそなたは一生仲良くなれん! ならば、破壊も辞さぬ! [ゼルコバ] 落ち着け。「言いたいこと」はわかった。 だが、絵を破壊するのは「違う」だろう。 [ゼルコバ] そんなことをしたら「二度と」口をきかない関係になる。 「武器」を降ろすんだ… [カゲツ] ふふふ… [ゼルコバ] 「何」を笑っている… [カゲツ] いい緊張感じゃ! 余もそなたも臨戦態勢… [カゲツ] 今、ゼルコバは余のことを真剣に考えておる。 [カゲツ] やっと向き合ってくれた… こういう感じがほしかったんじゃ… [ゼルコバ] …「いい加減」にしろ。 [カゲツ] なぜ構えを解く? 絵が惜しくないのか? [ゼルコバ] お前は「本気」ではない。目に「殺気」がない。 ただ構ってほしいだけの「子ども」のようだ。 [カゲツ] そ、そんなことはない! [ゼルコバ] 頼むから「向こう」に行っていてくれ。 これは「本気の」警告だ… [カゲツ] くっ…! まさに切歯扼腕…! 歯ぎしりせずにはおれぬ…! --- A --- [カゲツ] ゼルコバ、今日こそ手合わせじゃ! [カゲツ] …とは言わぬ。 別にもういいんじゃ… [ゼルコバ] …どうした。 [カゲツ] 余は…余は… ゼルコバに嫌われていると知っておる。 [ゼルコバ] お前を「嫌う」? なぜ? [カゲツ] なぜって…どう見てもそうじゃろう。 そなたもアイビー様も、余のことが嫌いなんじゃ… [カゲツ] まさに意気消沈じゃ… しゅん… [ゼルコバ] 「嫌い」? 「何」を言っているんだ… [ゼルコバ] 本当は「アイビー様」がお越しになってからに したかったが、仕方あるまい。 [ゼルコバ] これを見てくれ。 俺が「描いていた」絵だ。 [カゲツ] むむ!? これは…! [ゼルコバ] 俺、お前、アイビー様の「三人」を描いた。 やっと「完成」したところだ。 [カゲツ] どうしてこんな絵を… 意味不明…理解不能じゃ… [ゼルコバ] 「アイビー様」に頼まれたんだ。 記念品として「お前」に贈りたいからと言ってな。 [カゲツ] 記念品? なんの記念じゃ? [ゼルコバ] 覚えていないのか? アイビー様と俺が、お前と「初めて」会った日のことを… [ゼルコバ] あれが、暦で言うところのちょうど… 「今日」のことだ。 [カゲツ] …あっ! [ゼルコバ] あの頃、故郷を出たお前は、 「強者」に片っ端から「手合わせ」を挑んでいたな。 [ゼルコバ] そして「もっと強い相手」を求めて 「イルシオン王城」に… [カゲツ] 止めようとした王城兵たちを、余は次々に倒していった。 だが、そなたに…ゼルコバに敗れたのじゃ。 [カゲツ] 生まれて初めての敗北… あんなに悔しい日はなかった… [ゼルコバ] だが、「ハイアシンス王」はお前の「腕」を買い、 お前を「アイビー様の臣下」にした。 [カゲツ] あの時のゼルコバとアイビー様の顔は、 よーく覚えておる。 [カゲツ] ものすごーく嫌そうな顔じゃったからな… [ゼルコバ] 「当然」だろう。いきなり城に殴り込んできたら、 誰だって「嫌な顔」で見る。 [カゲツ] ま、まぁ…確かにそうじゃ… すまなかった… [ゼルコバ] あのころは「確かに」嫌な顔をしていた。 しかし「今」は違う。 [ゼルコバ] アイビー様も俺も、「嫌な顔」をするどころか 「カゲツ」と初めて会った日を「祝おう」としている。 [ゼルコバ] それぐらい、お前のことを… 大事な存在だと思っているんだ。 [カゲツ] ゼルコバ… [ゼルコバ] おいおい…「ちょっと」待て。 「泣きそう」とか言うなよ… [ゼルコバ] そろそろアイビー様を「呼び」にいかないと。 「一緒に」行くか? [カゲツ] 行かぬ…! 余はここで待つ。 たやすく泣くような男だと思われたくないのじゃ。 [ゼルコバ] ふっ… 「気」にするな。 [ゼルコバ] むしろお前の「意外な」一面を見られて、 「もっと」気に入ってくださるかもしれないぞ。 [カゲツ] それなら…いいのじゃが… [ゼルコバ] さあ、行くぞ。 [カゲツ] ううっ、余はゼルコバとアイビー様が大スキじゃ! 未来永劫、大事にするぞ…! --- S ---