202210620 初心者クエスト 異聞不可分フォーハング 異聞不可分フォーハング 異聞不可分フォーハング 第1部 3 - 異聞不可分フォーハング-2 異聞不可分フォーハング 第1部-2 異聞不可分フォーハング 第1部-2
【マナナン】
さぁさぁ、始まるよ
悲しい寂しい喜劇が始まるよ
【マクリル】
さぁさぁ、終わらせよう
嬉しい楽しい悲劇を終わらせよう
【マナナン】
どんな困難も
仲間達に頼らず乗り越えよう！
【マクリル】
どんな喜びも
仲間達と分かち合わず噛み締めよう
【マナナン＆マクリル】 さぁさぁ！
【イチイバル】
キミ達、どうしてここに？
違うな、ここにはいないのか
【マナナン】
よくわかったね！
やっぱり天才は違うなぁ♪
【マクリル】
大正解！
疑り深い探偵は間違いを犯さない♪
【イチイバル】
…ああ、そうか
「裏側」への道を開くのに
実体である必要はないのか
【マナナン＆マクリル】 そうそう、私達は舞台装置 主役はあなた、脇役はあなた
【イチイバル】
木や岩の役は勘弁してほしいな
【マナナン＆マクリル】 ぜーんぶリアルだから大丈夫！ なんならあなたもちゃんといるよ！
【イチイバル】
…………
【イチイバル】
すべてが選ばれたものがなくて
すべてのそうでなかったがあって
すべてがあってすべてがない「裏側」
【イチイバル】
…なるほど、「裏側」に向かおうと
行動を起こした時点ですでに
不安定な状態になっていると言えるか
【イチイバル】
そもそもティルフィングと会った
あそこに四人が集ったことすら
事実かどうかもわからない
【イチイバル】
だからこそ事実とも言える
不確定で確定している
安定した不安定
【マナナン】
あー！
それ私のセリフなのにー！
【マクリル】
次のセリフを先に言っていいのは
台本が飛んじゃった時だけだよ？
【イチイバル】
いやいや、悪かったよ
「裏側」への興味が尽きないものでね
【イチイバル】
それじゃ始めておくれよ
穴を開いてくれ
【マナナン＆マクリル】 それではご案内～♪ これより始まりますは悲劇か喜劇か
【マナナン＆マクリル】 決めるのはあなた 決めないのもあなた
【マナナン＆マクリル】 それではとくとご覧あれ～！
【イチイバル】
…ん？
【イチイバル】
これが、「裏側」
マナナンとマクリルに誘われ 向かった世界、「裏側」
そこにあったのは――
――いや、 そこには「何もなかった」
【イチイバル】
…ああ、これが自分にとって
選ばれなかった可能性のひとつか
【イチイバル】
思えば、ボクは無意識で
気付いていたのかもしれない
【イチイバル】
可能性から目を逸らすことで
可能性をなかったことにした
【イチイバル】
選ばれなかった可能性を
「選ばなかった」
そう考えることで納得した
【イチイバル】
――そう
ボクが選ばなかった
可能性の先には
【イチイバル】
「何もなかった」
これが「そうならなかった」
だというのは喜ばしいことなのかな
【イチイバル】
でも、これじゃあ何もできない
どうしようもないじゃないか
【イチイバル】
まぁでも、何も望まなかったのが
ボクだと言われればそうかもね
そうイチイバルが呟くと 遠くに光が見えた
【イチイバル】
あれは…――
イチイバルにとってかけがえのない 酷く、酷く眩しい光
【イチイバル？】 ボクはね 世界を救わないといけないんだよ
その思いに突き動かされ ただただ自分にできる最善を 行い続けた日々
独り、その思いを 抱えているだけならまだよかった
【イチイバル？】 こうして当たり前のように、 おはようを言える相手がいるなんて
孤独な旅人は 光に出会ってしまった
【？？？】 わたしは… イチイバルさん一人に 背負わせたりしませんっ
【イチイバル】
ああ…
ロジェはどこでだってそうなんだ
イチイバルは その光に触れようと手を伸ばす
胸を締め付けるような思い その根源にあるのは――
熱い、熱い、熱い
マグマのような熱さを感じる …それは光に近づいたからではない
【イチイバル】
そうだ、この熱さは…
欲望
すべてを投げうってでも 手にしたいという想いは イチイバルにはないはずだった
イチイバルという名が宿す その歴史は執着を手放したはずだから
【イチイバル】
オーディン…
その神の名が持つ 飽くなき探究心、そして欲望 イチイバルを形作っていく
【イチイバル】
…ああ、そうだ
【イチイバル】
今のボクもそう
オーディンの欲深さが根底にあるのさ
【イチイバル】
…だから、やられた
【イチイバル】
オーディンはロジェを求めるという
欲でもってボクを操ったんだ
イチイバルは伸ばした手を下ろす 掴めなかった光は遠ざかり、 胸にあった熱も次第に冷めていった
【イチイバル】
これは「裏側」が見せる幻想だ
ボクが選ばなかった…
選べなかった可能性
【イチイバル？】 それは違うんじゃないか？
【イチイバル】
違わないだろう？
ボクは何も求めていなかったんだから
【イチイバル？】 なら、どうしてあの光を 眩しいと、それでも手にしたいと そう願ったんだい？
【イチイバル】
それは…そう見えただけさ
オーディンに飲み込まれてしまった
ボクの言葉は負け犬のソレだけどね
【イチイバル？】 自分の気持ちじゃないと？
【イチイバル】
そうだよ、そうであってたまるもんか
それは自問自答なのか否か わかるのは「そうならなかった」 自分相手の問いに答えはないこと
【イチイバル】
ん、あれは…？
イチイバルはもがく自分の姿の先に 同じようにもがくティファレトを見る
【イチイバル】
そうか…
キミもそうやって抗っていたんだ
【イチイバル】
なら、初めから
他者に何も望まなければ
楽だったっていうのにねぇ
突然の声に驚いた表情のティファレト
イチイバルもまた驚いていた そんなことを言ってしまう自分に
【ティファレト】
たしかに最初から何も望まなければ
「揺らぎ」を起こすことにも
ならなかったのでしょうね
【ティファレト】
それでも、私達はここにいます
【イチイバル】
…そうならなかった世界に
こうなった自分達がいる、か
【ティファレト】
こうなった意味と
こうはならなかった意味
【ティファレト】
それを知ることが、
きっと何かを救うことができるのかと
【イチイバル】
何か、ってなんだい？
ボク達は「揺らぎ」による
世界の危機を防ぎにきたんだろう？
【ティファレト】
…あれ、そうですね
私は一体どうして？
【イチイバル】
ま、救いたがりな
キミらしくていいと思うよ
【マナナン】
物語は風雲急を告げる！
【マクリル】
どうしよう
目的がわからなくなっちゃった？
【マナナン＆マクリル】 それでもページは次に進む 願いへ向けて歩むしかないのです
【マナナン＆マクリル】 さぁさぁ始めよう
【マナナン】
設定はわかった？
【マクリル】
ここから舞台が始まるよ
【マナナン＆マクリル】 さぁさぁ始めよう
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