202210640 初心者クエスト 異聞不可分フォーハング 異聞不可分フォーハング 異聞不可分フォーハング 第2部 2 - 異聞不可分フォーハング-1 異聞不可分フォーハング 第2部-1 異聞不可分フォーハング 第2部-1
【ヒョウハ】 はぁ、はぁ、はぁ…
【ヒョウハ】 くそっ、なんだってんだよ…っ!
スイハの影を追い 走り続けるヒョウハ
だが、すぐにスイハの姿は消え… ただがむしゃらに走るヒョウハ
【ヒョウハ】 またかよ!
【ヒョウハ】 ああ、もう!
走るのをやめそうになると また、スイハの影が姿を見せる
【ヒョウハ】 …なんで、なんでお前は! いつもあたしの前にいるんだよ!
それは影に投げた言葉なのか 自身が抱える想いを吐き出したのか
追っているはずの相手に 追い詰められているような感覚
【ヒョウハ】 逃げるなよ…逃げるなって!
逃げているのは誰 逃げているのは何から
【ヒョウハ】 あたしが…何をしたっていうんだよ
何もしなかったのは――
それは「裏側」へ向かう ほんの少し前の、些細な会話
【ティルフィング】 私が観測できるのは ヒョウハに「裏側」のマナが 引き付けられているということ…
【ティルフィング】 すなわち、「揺らぎ」の兆しが ヒョウハの心にあるということ
【ヒョウハ】 さっきも聞いたけどさ そうでなかった自分を気にするのが 原因になるっていうんだろ?
【ヒョウハ】 後悔とか、ああしたかったなーとか
【ティルフィング】 はい、「裏側」はそうした 感情に反応するもの、と
【ヒョウハ】 やっぱわかんないんだよなー!
【ヒョウハ】 だってさ、今こうなった自分が 自分でしかない訳じゃん?
【ヒョウハ】 選ばなきゃいけないなら 正しいなって思うほうを選ぶし そう行動してきたんだよ
【ヒョウハ】 …そりゃ、失敗したりもするけど それだって選んだ結果だしさ
【ヒョウハ】 だから、そうでなかった 自分のことなんて 想像すらできないんだよなー
【ティルフィング】 ふふ、そうですね ヒョウハは特にそうだと思います
【ヒョウハ】 だろー? だから、どうしてあたしにって… やっぱわかんないよなぁ?
【ティルフィング】 …だからこそ 行く必要があるのだと思います
【ティルフィング】 自分の認識のその外側 向き合う必要のある 「裏側」がきっと、そこに…
【ヒョウハ】 …………
【ヒョウハ】 ま、これもさっき言ったことだけど 行ってみたらきっとわかるよな!
【ヒョウハ】 どんなことがあったって あたしはいつだってそうやって 前を向いてやってきた訳だし!
【ヒョウハ】 よっしゃあああ! 超爆・燃えてきたぞぉぉぉ!
こんな風にヒョウハは今まで 選んで、信じた正義に向かって 走ってきたのだ
【ヒョウハ】 あたしが選んだんだ ほかのことなんて、考えなかった
そうやって考えないところと 少しだけ向こう見ずなところは 神令された軍神の影響もある
【ヒョウハ】 でも、決めたのはあたしだ! 選んだのはあたしなんだ!
だって――
選ばれなかったのは、自分だったから
【マナナン】 さぁさぁ、始まるよ 「裏側」への道行をおもてなし! 熱血、勧善懲悪活劇!
【マクリル】 さぁさぁ、終わらせよう そんなに「裏側」が羨ましい? 冷血、跳梁跋扈夢幻劇!
【マナナン】 あなたとあたしは表裏一体 裏と表の物語
【マクリル】 あたしとあなたは渾然一体 表が裏の物語
【ヒョウハ】 あれ、ふたりはいつの間に? っていうか、ミーミルと一緒に いたんじゃなかったっけ?
【マナナン】 ミーミルと一緒だよ!
【マクリル】 一緒だから繋がってるんだよー
【ヒョウハ】 ふーん? ま、でもふたりじゃないと 「裏側」に繋げられないんだもんね
【マナナン】 そうそう! 私達は幕を開ける為に来たの!
【マクリル】 表と裏の物語に相応しい 主役にスポットライトを当てに来たの
【ヒョウハ】 んんっ? それってどういう意味?
【マナナン】 それは――
【ヒョウハ】 待った! ふたりに説明されても あたし、たぶんわかんない!
【ヒョウハ】 イチイバルみたいに アレコレ考えるの得意じゃないからさ
【マクリル】 …そう?
【ヒョウハ】 バカにされそうだけど…あはは
【ヒョウハ】 そんじゃ、よろしく!
【マナナン&マクリル】 それではご案内~♪ これより始まりますは独り芝居!
【マナナン&マクリル】 そこにいるのはあなた あそこにいるのはあなた どこにもいないのも、あなた
【マナナン&マクリル】 ここに立っているのは、だぁれ?
【マナナン&マクリル】 それではとくとご覧あれ~!
【ヒョウハ】 …………?
「裏側」への道は有って、無い
その道行を永いと捉えるか 瞬きするほどだと感じるか そんな感覚さえも無駄で、意味がある
【ヒョウハ】 もしかして、暇ってやつ?
悠久にも感じる一瞬の中 ヒョウハは先ほどのことを考える
【ヒョウハ】 説明されてもわかんないのは 本当なんだけど…
それでも、言われた言葉が 胸のどこかでつっかえている
【ヒョウハ】 ま、「裏側」のことだって 考えてもわかんなかったし一緒か!
【ヒョウハ】 …って、こういうとこが よくないのはわかってるんだけど
【ヒョウハ】 でも、それがいいとこでもあるし!
【ヒョウハ】 テュールはちょっと強引だけど 一歩踏み出す勇気には助けられたし
イチイバルのように考えてから 動くのが苦手ならば先に動けばいい
それが自分の役割だと ヒョウハは認識している節がある
【ヒョウハ】 …ん、なんか変わった感じ これが「裏側」?
【ヒョウハ】 …………あー
【ヒョウハ】 ここ、「裏側」なんだよな? そしたら…あー、そういう感じ?
思わず「うわー」 という声が漏れるヒョウハ
考えなしに動いてしまう自分に 多い失敗の代表格である他者との関係
もちろん、考えなしと言っても 考えていない訳ではない
【ヒョウハ】 だから、考えをシンプルに しようとして失敗するんだよなぁ
どっちが強いのか
自分のことをどう考えているのか
選ばれたのが自分だったら
【ヒョウハ】 スイハ…
もはや、その関係性すら失敗なのか なんなのかもわからなくなっている
けれど、絶対に目の前に 居続けるであろう相手がそこにいた
【ヒョウハ】 …ま、あたしが何と向き合って この「裏側」を乗り越えればいいか 一発でわかったから、いいことか!
だから、そういう考えなしな ところがよくないんだってば
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