20301214 リサナウト 悠久なる大スクープ
【リサナウト】 前、失礼するわよ
昼休みのチャイムが鳴ると リサナウトはマスターの席の前に座る
新聞部は順調そうだね とマスターは話しかける
【リサナウト】 ええ、おかげさまで あの一件以来、新聞部の知名度も ちょっとずつ上がってきた気がするわ
たまに生徒達の会話の中に 新聞記事の話も持ち上がるほどだ
【リサナウト】 まだまだ課題はあるけど、 新聞部のほうも軌道に乗ってきて よかったわ
新聞部のほう? 他にも何かしているの? とマスター
【リサナウト】 あら?言ってなかったかしら 私、オカルト研究部の部長なのよ
それは初耳だよ! と驚くマスター
【リサナウト】 まぁ、こっちも新設で 部員は私ひとりなんだけどね
オカルト研究部って どんなことをしているの…? と恐る恐る尋ねるマスター
【リサナウト】 …見たい?
ふふん、と得意げに笑うリサナウト
嫌な予感を覚えつつも、 マスターは見てみたいと答えた
【リサナウト】 ふっふっふ そこまで頼みこまれちゃ 仕方ないわね!
リサナウトは嬉しそうに笑い スカートのポケットから 不思議な模様のついた紙を取り出す
怪しげな呪文を唱えると 紙から黒い影が もくもくと姿を現した…!
【リサナウト】 ふふん これがオカルト研究部の成果よ 最近、この術に成功したの
へー、凄いね でも、これってなんなんだろうね? マジマジと影を見るマスター
【リサナウト】 えっと、確か降霊術の一種だから 幽霊か何かじゃないかしら?
空中を漂っていた黒い霧は サッと逃げてしまう
【リサナウト】 あー、もう! また写真撮れなかったわ
…あれって新聞に載っていたのと 女子生徒に憑いていたのと似てるね と気づくマスター
【リサナウト】 …………え?
ねえ、初めて降霊術が 成功したのはいつなの? 問いかけるマスター
【リサナウト】 3日前ね
マスター 僕の写真を撮ったのは? もう一つ質問をする
【リサナウト】 3日前ね
……黒い影ってさ 君が呼んだ幽霊なんじゃないの? とマスターが突っ込む
【リサナウト】 ………はっ!
【リサナウト】 ……私としたことが 自分で原因を作って、 スクープって言ってたってこと?
【リサナウト】 うう…… なんてこと 記者の風上にも置けないわ
まあまあ、 わざとじゃなかったんだし とフォローを入れるマスター
【リサナウト】 うう……
それより、昼食を食べ終えたら 一緒に行こうか とリサナウトに言うマスター
【リサナウト】 へ?どこに?
さっき逃げた幽霊 害はないと思うけど 放っておけないでしょ、とマスター
【リサナウト】 これは私がやったことなんだから 私が解決するわ 当主様はここにいて
いいよ、手伝うよ 術が見たいって言ったの、僕だし とマスターが笑う
【リサナウト】 手伝ってくれるの?
もちろんだよ とマスターは微笑む
それに、また君の書いた 新聞が読みたいからね 何かあったら、また手伝うよ
あの新聞は君にしか 書けないと思うしね そう言って微笑むマスター
【リサナウト】 ふふ、ありがとう、当主様 応援してくれて
【リサナウト】 私はこの学校で 新聞部とオカルト研究部を続けて、 私なりにこの学校のために活動するの
【リサナウト】 当主様の言うように きっと、私にしか書けない記事が あるはずだから…!
より一層部活に励もうと 意気込むリサナウト
その心境は彼女に 『悠久なる大スクープ』 を与えていたようだ
【リサナウト】 …こんなこと言うのも水臭いけど 本当に、あなたと出会えてよかったわ
【リサナウト】 誰も足を止めてくれなかった 私の新聞を読んでくれて、 学校の楽しさを教えてくれた…
【リサナウト】 ありがとう、当主様
そ、それほどでもないよ… と顔を真っ赤にして 照れてしまうマスター
【リサナウト】 …そんなに照れなくても いいじゃない
【リサナウト】 なんだかこっちまで 恥ずかしくなってくるわ…っ!
【リサナウト】 調子に乗った当主様からは 1000ポイントと おかずを一品没収よ!
そんな…! とマスターの嘆く声
【リサナウト】 …ふふんっ
ひょいっとおかずを抜き取り リサナウトは得意げに 微笑むのだった…
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