210011103 マサムネ 『熱帯瞬殺斬』
マサムネは マスターの姿を捜すが どこにも見当たらない…
【マサムネ】 主君! いずこにおられるか!? …主君!主君!!
マサムネの呼びかけに答えるのは 野鳥の鳴き声だけ…
【マサムネ】 も、もしや 主君の身になにかが…?
【マサムネ】 主君に万が一のことがあったら 拙者はいったいどうすればいいのだ ああ、主君よ、いずこに…っ!
マスターの身を案じる マサムネの視界に 動くものが映る
【マサムネ】 あれ…は…人影? いや、待て、あの海パンは… 主君ではないか!
【マサムネ】 ああ、良かった…ご無事で…! 主君、マサムネだ…! …はっ!?
マサムネは、 マスターの頭上に動く 影を見つける
【マサムネ】 あれは…毒蛇!? あ、危ないっ!! 噛まれたら…っ!!
慌ててマスターへと 走り出すマサムネ
だが彼女は急に浮遊感に襲われる 地面を踏み外していたのだ
【マサムネ】 な…っ!? い、池…だと…っ!
【マサムネ】 げふっ! な、なんという…不覚っ!
いつもならなんということのない 池の水が、慌てて我を忘れていた マサムネに襲いかかる!
【マサムネ】 か、身体が…動かない…っ! ば、馬鹿な…立てばいいのだ! 立てなければ、泳げばいい…っ!
【マサムネ】 だ、だめだ…落ち着け…っ! 慌てれば慌てるほど…身体が…!
必死にもがくマサムネの身体が、 次の瞬間、抱きかかえられた
【マサムネ】 え…? しゅ、主君…? 主君が…拙者を…抱き上げ…
マスターは池から マサムネを助け出した
【マサムネ】 か、かたじけのう…ござる とっさのこととは言え 我を忘れるなど…
【マサムネ】 このマサムネ、一生の不覚…
たしかに君らしくなかったね とマスターは笑い マサムネに一輪の花を差し出す
【マサムネ】 こ、この…花は…? な、なんという…可憐な…
マスターはマサムネの髪に 花をそっと挿し これを探しに行っていたんだ、と
【マサムネ】 もうちょっと肩の力を 抜いていい?え?
マサムネの真っ直ぐさ 真面目さは尊敬できるが…
硬さ、強さだけでは 刀は折れてしまう、とマスター
【マサムネ】 硬く、強いだけでは 刀は折れる…ま、まさに 主君の仰る通りかもしれぬ…
【マサムネ】 良い刀は強靱さの裏に 柔軟な粘りあってこそ… まさに、その通りでござる
【マサムネ】 確かに拙者は 融通の利かないところがある そこは猛省せねばならぬか…
【マサムネ】 主君の仰る通り、時には 肩の力を抜くことも必要… このマサムネ…感服つかまつった
自らの欠点に気づかせてくれた マスターの慧眼に マサムネの胸が熱くなる…
マサムネは新たなスキル 『熱帯瞬殺斬』を 身につけた!
【マサムネ】 こ、この力は…? マスターが拙者の心の曇りを 払ってくれたおかげか!
【マサムネ】 なにからなにまで… 本当にかたじけのうござる 我が主君よ…
わかってくれればいいんだよ、 と笑うマスターは…
じゃあちょっと 水浴びしていこうかと マサムネを誘った
【マサムネ】 しょ、…承知つかまつった 主君の御意に…従います…
マサムネは頬を赤らめ マスターの差しだした手を そっと握るのだった…
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