210101120 インテグラルノア編(擬彩されし不可逆世界編) 第10章 勝利を招く悪魔 ―フレイルティ― 第1話 誓約の条件-12
【ツカサ】 …………
【シェキナー】 お帰りなさい、マスター そろそろお休みに…きゃっ?
【シェキナー】 また私の羽に顔を埋めて… まるで子供みたいに… マスター?
【ツカサ】 …………
【シェキナー】 泣いているのですか? 何が…
【ツカサ】 …シェキナーは、覚えてる?
【シェキナー】 何についてでしょう?
【ツカサ】 エンクウのお父さんとお兄さんを 討った戦いのことを…
【シェキナー】 …大がかりな防衛戦なら、 幾つか覚えています… ただ、相手の名前までは…
【ツカサ】 そうだよね… ごめん…
【シェキナー】 マスター… マスターはこの地を治める領主として 当然のことをしただけです
【ツカサ】 ううん、違うの… そうじゃないんだ、シェキナー 僕が辛いのは…
【ツカサ】 そのときのことを、覚えていない ことなんだよ
【ツカサ】 僕は領主であることに精一杯で、 戦う相手のことなんか見てなかった… だから、覚えてないんだ…
【ツカサ】 エンクウの家族がどんな最期を 遂げたのか…覚えてない… それが…申し訳なくて…
【アフロディーテ】 あらぁ マスターは甘えん坊ですね♪
【シェキナー】 アフロディーテ、茶化さないで 下さい
【アフロディーテ】 エンクウの話を聞いた後も、 随分と気にされて一人で考え込んで いましたけれど…
【アフロディーテ】 今はコマンドキラーズとの戦いに 専念すると決めたのでは なかったのですか?
【アフロディーテ】 それとも、ティファレトとミカエルの 誓約が上手くいって、満足したの かしら?
【シェキナー】 アフロディーテ、 いい加減にしなさい!
【アフロディーテ】 ああ、愛を感じますわぁ! さすが守護天使ですねぇ でも…
【アフロディーテ】 わたしは“色欲”の悪魔 “大罪”を背負いし者ですから
【アフロディーテ】 マスターには、どこまでも美しく あっていただきたいですわぁ
【アフロディーテ】 その代わり、あなたの罪も何もかも 受け入れて、ともに墜ちてさしあげ ます
【アフロディーテ】 さあ、お立ちになって 狂おしいほどの美と愛で包んで あげますわ
【シェキナー】 あなたというキル姫は…!
【ツカサ】 ありがとう、シェキナー でも、大丈夫だよ
【ツカサ】 うん…そうだったね、アフロディーテ 僕達は前に進むしかないんだ
【ツカサ】 まだ戦いは終わっていない この思いは、今は封じておこう エンクウもクレイも大切な仲間だ
【ツカサ】 償いは、いつか必ず
【アフロディーテ】 ふふっ ああ、美しいですわぁ♪
【ゴウバラ】 本気で言っているのか、二人とも!?
【北】 もちろんだ 壁が崩壊してしまった南地区は 捨てる
【西】 南を治める奏官には申し訳ないが、 我ら三地区で防衛線を張り直すべき だろう
【ゴウバラ】 何ということを! 今こそ、中心部が一致団結して 臨むときであろうに
【北】 甘いことを 南地区はもうダメだ
【西】 じきに奏官もキル姫も討たれる 足手まといは切るべきだ
【ゴウバラ】 おぬし達は…そうやって南を追放 したいだけであろう!
【ゴウバラ】 儂は決して認めんぞ! 中心部は四地区揃ってこそ 盤石でいられるのだ
【北】 反対ということかな?
【ゴウバラ】 無論だ!
【西】 いいだろう では、東も南とともに滅ぶがいい
【ゴウバラ】 何を言っておるのだ!? 儂らまで分裂しては…
【北】 もう話すことはない 私達は、私達だけで防衛線を 張ることにするよ
【西】 さようなら、東の 君を失うのは残念だが、仕方ない
【ゴウバラ】 バカな真似はよせ! それはコマンドキラーズに利する だけだっ
【ゴウバラ】 …………
【ゴウバラ】 …何ということだ このままでは、中心部は本当に 崩壊してしまう
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