210111080 インテグラルノア編(擬彩されし不可逆世界編) 第11章 問いかける幻獣 ―ダイアローグ― 第1話 久遠問答-8
【アスカロン】 マスター! マスター、どこですかっ?
【グリモワール】 ああ、もうっ… やっと魔獣化したキラーメイルを 追い払ったのに…
【グリモワール】 マスターとはぐれるなんて 最悪だわ…!
【アスカロン】 早く合流しないと… またマスターが…
【グリモワール】 そうね また無茶したら大変よ 急がないとっ
【リサナウト】 うーん… タイミングが悪かったわね… なかなか上手くいかないわ
【アスカロン】 リサナウト! …あなた一人ですかっ?
【リサナウト】 ええ、そうよ あら?カミトは?
【グリモワール】 さっきの騒ぎのせいで はぐれたのよ!
【グリモワール】 キミは何で呑気にしてるの! 腹立たしいわねっ
【グリモワール】 元はといえば、キミがマスターを 地底に誘ったから、こんなことに なったんでしょ!
【アスカロン】 リサナウト… あなたは何を企んでいるんですか? もし、マスターを害するつもりなら…
【リサナウト】 二人とも、顔が怖いわよ
【グリモワール】 茶化さないで! 返答次第では、この場でキミを 灼き尽くすわ
【アスカロン】 嫉妬の氷で凍てつかせます!
【リサナウト】 焼かれたり凍らされたり 大変ね…
【リサナウト】 うーん… あまり不確定なことを話しても 仕方ないと思うんだけど
【リサナウト】 それに、聞いたところで絶望感が 増すだけかもしれないわよ?
【グリモワール】 勿体つけてないで、さっさと 知ってることを話しなさい!
【アスカロン】 絶望するかどうかは、 聞いてみないと分かりませんっ
【リサナウト】 そう… それもそうね…
【リサナウト】 この前も名乗ったけれど、 私はリサナウト・針枷・クロノスよ
【グリモワール】 知ってるわよ だから、何?
【リサナウト】 針枷されてるクロノスの力で、 私はある程度、未来を観測できるの
【アスカロン】 未来を観測…そんな力を持ってる なんて…羨ましいっ
【アスカロン】 あ、いえっ その力で、未来を見たんですか?
【リサナウト】 ええ あなた達もすでに知っているわよね もうじき、この世界は終わる
【リサナウト】 “終焉”が訪れるの
【グリモワール】 そうさせないために、 マスターも天上世界のアルマス達も 動いているのよっ
【リサナウト】 そうね コマンドキラーズも、“終焉”を 回避しようという考えは同じよ
【リサナウト】 ただ…不可能なの
【アスカロン】 えっ…?
【リサナウト】 不可能なのよ “終焉”から逃れるのは
【リサナウト】 幾つもの可能性を観測したわ 何百、何千、何万という分岐し続ける 未来への道程…
【リサナウト】 そのどれもが、“終焉”による 世界の終わりへと続いていた 全てが必ずそこに行き着くの
【リサナウト】 あなた達が何をどうしようとね このままだと、世界は確実に終わるわ
【リサナウト】 これは予言ではない… 不本意だけど、確定事象の報告に 過ぎないの
【グリモワール】 なっ…!? 嘘でしょ… そんなわけが…!
【リサナウト】 信じられないのも無理はないわ 観測した私だって信じたくないもの だけど…
【リサナウト】 どこにも“存続”の未来はなかった 必ず、この世界は終わる “終焉”は避けられない
【リサナウト】 だから…私は――
【フォルカス】 面白そうな話をしていますね
【アスカロン】 フォルカス! どうして、ここに…?
【グリモワール】 フン! 理由なんてどうでもいいわ アスカロン、チャンスよ!
【グリモワール】 今度こそフォルカスを縛り上げて マスターのところまで連れていくわ!
【アスカロン】 はい! 必ず捕まえてみせますっ
【フォルカス】 …まだ諦めていなかったんですか
【グリモワール】 何でワタシ達が諦めないといけないの キミには言いたいことが山ほどある のよ!
【フォルカス】 あなた達の相手をしている場合では ないのですけれど…
【リサナウト】 ここは私に任せて先に行きなさい!
【アスカロン】 えっ? どうしたんですか、リサナウト…
【リサナウト】 言葉通りの意味よ フォルカスは私に任せて あなた達は急いだ方がいいわ
【リサナウト】 今頃、カミトは危険な状況に 陥ってるから
【フォルカス】 …………
【グリモワール】 ちょっと! 何でキミがそんなことを――
【リサナウト】 言ったでしょう これは確定事象の報告に過ぎないの
【グリモワール】 ぐぬぬぬ…
【アスカロン】 フォルカス… でも、マスターが… どうしたら…
【グリモワール】 …行くわよ、アスカロン!
【アスカロン】 グリモワール… は、はいっ
【グリモワール】 フォルカス! キミは後で必ず捕まえるから、 待ってなさいよ!
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