210112020 インテグラルノア編(擬彩されし不可逆世界編) 第11章 問いかける幻獣 ―ダイアローグ― 第2話 対話のために-2
【老婆】 それで…ユニアは無事なのかいっ?
【カシウス】 お婆さん…どうしたの?
【老婆】 カシウスちゃん…! この町と隣町の間で争いが始まった みたいでね…
【老婆】 どちらも領主様がキル姫を出してきて 大変な騒ぎなんだよ…
【カシウス】 争い… それは、旅をしているとき、 何度も目にした…
【老婆】 この辺りの町は穏やかに暮らしていた のに…何でこんなことにっ…
【カシウス】 何だろう… 胸の奥がざわざわする…
【カシウス】 ユニアに…会いたいっ
【住民達】 もう、あいつらと話すことは 何もない!
【住民達】 こうなったら実力行使だ!
【カシウス】 ここがユニアの嫁いだ隣町… みんな殺気立ってる… ユニアはどこ?
【ユニア】 カシウス! 何でこんなところにいるのっ?
【カシウス】 ユニア… 何となく顔を見たくなって
【ユニア】 そっか 私もカシウスに会いたかったよ 家に来てっ
【ユニア】 …それで、こんな騒ぎに どっちが悪いってわけじゃないと 思うの
【ユニア】 もっと話し合ってくれれば解決すると 思うんだけど…
【カシウス】 ユニアは、それを望んでいるの?
【ユニア】 もちろんだよっ あの人も、近頃気が立ってて…
【ユニア】 だから、カシウスはちっとも 変わってなくて安心した
【カシウス】 変わってないから安心したの? 変わらない方がいいの?
【ユニア】 そうだよ… 変わらない穏やかな日常が一番… 争いは嫌い…
【カシウス】 そう… じゃあ、ちょっとやってみるね
【ユニア】 カシウス? ちょっ…どこ行くの!?
【カシウス】 不思議…胸の奥が熱くなってる わたしにできることなら やってみようと思えてくる
【カシウス】 話し合いで収まるのなら…
【ユニア】 すごいよ、カシウス! あんなに気が立ってた人達を宥めて 話し合いで解決させるなんてっ
【ユニア】 カシウスにはすごい才能が あったんだね!
【カシウス】 才能? これはすごいことなの? わたしはただ…
【カシウス】 お互いの言い分を聞いて、 間を取り持っただけなのに
【ユニア】 それがすごいんだよ! カシウスはみんなの救世主に なれるねっ
【カシウス】 対話を促すことが、そんなにすごい こと?
【ユニア】 すごいことだよっ 意外とできないものなんだからっ
【カシウス】 そう…
【カシウス】 わたしは…そのために生きているの? まだ分からないけれど…
【カシウス】 胸の奥が…じんわり温かい
【ユニアの娘】 カシュウス! カシュウス!
【カシウス】 わたしはカシウス ユニアに似て、この子もちゃんと 名前を覚えない…
【ユニア】 仕方ないわよ まだ小さいもの …はぁ
【カシウス】 また、ため息… どうしたの?
【ユニア】 また町が隣町と揉めてるみたいなの…
【カシウス】 また話し合えばいい それができないの…?
【ユニア】 カシウスはいいね… あなたは変わらない… 私が生まれたときから
【ユニア】 変わらない穏やかな日常は… 永遠には続かないのかな…?
【カシウス】 …………
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