210112090 インテグラルノア編(擬彩されし不可逆世界編) 第11章 問いかける幻獣 ―ダイアローグ― 第2話 対話のために-9
【フォルカス】 この町も滅んでしまったんですね…
【フォルカス】 あの大きな反動によって、 三国時代の秩序は崩壊しました
【フォルカス】 栄華を誇ったハルモニア、 ケイオスリオン、トレイセーマ そのどれもが滅んで…
【フォルカス】 また群雄割拠の乱世に…
【フォルカス】 あれから、どれだけの年月が 流れたのでしょう…
【フォルカス】 それでも、私には為さねばならない ことがあります
【ルシファー】 クククッ… 覚えておけ、理を外れたキル姫よ
【ルシファー】 世界は終焉を迎える それも、遠くない未来にな
【フォルカス】 世界の終焉… それを阻止するための手立てを 探っていかなければ
【フォルカス】 この町にも世界の終焉についての 情報はありませんでしたね…
【フォルカス】 あちこち旅して回って様々な書物を 読み、人々の噂話にも耳を傾けて いるのですけれど…
【???】 お待ち下さい、フォルカス
【フォルカス】 あなたは…エクスカリバー 私に何か用ですか?
【エクスカリバー】 私のマスターが、あなたのことを 気に掛けておられます この町で何をしているのかと
【エクスカリバー】 ですから、マスターの一番の配下で ある私がお尋ねに参りました
【エクスカリバー】 ああ、聖なるかな…我が君 その憂いは私が払ってみせます
【フォルカス】 大げさな方ですね… 少し調べ物をしていただけですよ
【エクスカリバー】 我が君に害を成そうという考えでは ないでしょうねっ?
【フォルカス】 そんなつもりは全くありません 心配しすぎです、エクスカリバー
【エクスカリバー】 我が君にもしものことがあっては 一大事ですから ああ、聖なるかな…聖なるかな
【フォルカス】 …あなたはマスターに心酔し過ぎ なのでは?
【エクスカリバー】 いいえ! マスターは最も優先されるべき 聖なる存在なのです
【エクスカリバー】 ああ、聖なるかなっ 我が君のことを思うだけで… ぐすっ…涙がっ
【フォルカス】 あなたのそれは、やはり極端だと 思います…
【フォルカス】 エクスカリバーにも困ったものですね 確かにマスターは私達にとって 大切な存在なのでしょうけれど…
【フォルカス】 私には…理解できません…
【ハルパー】 そぉれ
【フォルカス】 くっ…
【ハルパー】 ここはもうマスターの領地なの 勝手な真似は許さないわよぉ
【フォルカス】 私は調べ物をしているだけです! あなた達を脅かすつもりは…
【ハルパー】 口では何とでも言えるものねぇ だけど…
【ハルパー】 ハルモニアが消滅して かなりの年月が経ったのよぉ 今では私も…
【ハルパー】 新しいマスターの下で戦っているの マスターが作り出す新しい秩序が 最優先
【ハルパー】 マスターの邪魔になりそうなものは み~んな排除するわぁ
【フォルカス】 ギルドが中心になって、 新しい国が幾つも生まれているのは 知っています
【フォルカス】 そのお陰で、少しずつ争いも 収まってきているようですね
【フォルカス】 何度も言いますが、私はあなた達の 邪魔をするつもりはないんですっ
【ハルパー】 ふふっ ごめんねぇ あなたが何を言っても…
【ハルパー】 マスターの命令を覆すことは できないわぁ
【フォルカス】 また、マスターですか…! その言葉は聞き飽きましたっ
【ハルパー】 あらあらっ マスターのいないあなたには 理解できないのねぇ
【ハルパー】 気に入ったもの…マスターのためなら 命すら惜しくないっていう この気持ちはっ
【フォルカス】 今日も大した情報は 得られませんでした…
【フォルカス】 近頃は、どこに行ってもキル姫に 狙われて上手く調べ物ができません
【フォルカス】 マスター、ですか…
【フォルカス】 彼女達は、程度の差や表現の仕方に 違いはありましたけれど…
【フォルカス】 誰もが皆、自分のマスターを最優先に 考えて行動していました
【フォルカス】 私にもいつか、そんな方が 現れるのでしょうか? もし現れたとして…
【フォルカス】 マスターが何より優先されるなんて 思えるものでしょうか?
【フォルカス】 ふぅ… それにしても…
【フォルカス】 あれから、あまりに長い年月が 過ぎました… 人々は新たな社会を築き上げています
【フォルカス】 本当に世界の終焉なんて来るの でしょうか?
【フォルカス】 あれはルシファーの戯言だったの では…
【フォルカス】 私はいつまでこんなことを続けて いればいいのでしょう…
【フォルカス】 もう…やめてしまっても…
【フォルカス】 !?
【フォルカス】 今のは…予知…? ウリエルの力、ですか…?
【フォルカス】 でも、今の映像は一体…? ユグドラシルの上に反転した ユグドラシルが…
【フォルカス】 えっ…!? 今の言葉は…
【フォルカス】 インテグラルノア… 聞き覚えのない言葉…
【???】 おや? 頭を抱えたりして、 どうしたんだい?
【フォルカス】 あ…いえ…
【パラケルスス】 君、顔色が悪いよ わたくしが診察してやろう さあ、来るんだ
【フォルカス】 いえ、私は…
【パラケルスス】 君の意見は聞いてない 患者は黙ってついてくるんだ
【パラケルスス】 ふぅん…予知ね 興味深い研究対象だ
【パラケルスス】 君が聖鎖されている天使は、 ウリエルなんだろ?
【フォルカス】 はい 私の直感はウリエル由来のものです きっと、あの予知も…
【パラケルスス】 ウリエルはミカエル、ガブリエル、 ラファエルと並ぶ四大天使だな
【パラケルスス】 確か、ウリエルは太古、洪水が起きる ことをノアという人物に伝えた天使…
【パラケルスス】 洪水によって世界は一度、滅んだと 言われているよ…その伝承と大きく 関わりのある天使だ
【フォルカス】 その力で反転したユグドラシルを 予知したというのなら…
【フォルカス】 あれこそが、世界の終焉に繋がる… 調べなければなりませんっ
【パラケルスス】 ふっ 何か閃いたようだね
【パラケルスス】 まあ、君が何を背負っているのか わたくしは知らないが…
【パラケルスス】 調べ物をしたいなら、 あそこに行ってみるのも いいかもしれないな
【フォルカス】 あそこ、とは?
【パラケルスス】 わたくしも聞いた話なんだけどね 今も随分と興味深い実験を続けている らしいと専らの噂だ
【パラケルスス】 遙か昔、わたくし達を生み出したと されている地 特務機関ラグナロクだよ
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